2013年に火星探査機キュリオシティが検出したメタン、空からの分析でその存在が確実に?

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  • author George Dvorsky - Gizmodo US
  • [原文]
  • 岡本玄介
2013年に火星探査機キュリオシティが検出したメタン、空からの分析でその存在が確実に?
Image: NASA, JPL-Caltech, MSSS

6年越しに、やっと裏付けが取れました。

現在は粘土が含まれるであろう土地、「グレン・トリドン」へと歩を進めている火星探査機のCuriosity(キュリオシティ)。かれこれ6年前になりますが、キュリオシティ先輩はメタンの存在を見付けたことがあり、地球の科学者たちをビビらせたことがありました。なぜならメタンは、火星で何らかの生命に繋がる大事な化学物質だから。

それ以降、科学者たちは何年もそれに続く結果を確認できずにいたのですが……軌道上で再分析したデータにより、かつての計測が正しかったことが証明されようとしています。


Nature Geoscienceに公開された調査報告では、キュリオシティがゲイル・クレーターを探査中、2012年6月15日にメタンの急増を発見したとあります。

博士の推測

調査を牽引する、ローマにあるIAPS(宇宙天体物理学研究所)のマルコ・ジュランナ博士は、どうして火星にメタンがあるのか説明がつかないものの、こうした証拠は太古の昔、火星に生命がいることが可能な環境があった痕跡であると考えています。さらに根本的には、微生物の生存があり、臭いガスを放出していたのが今になって火星の中から湧き出ていることを提示しているだろう、とも。

メタンは最近放出されたもの

火星におけるメタンの存在は、重要な議論をもたらします。火星の居住適正にとってメタンはとなる要素ですし、かつて何らかの生命がいたかもしれないにもなるのです。

とはいえメタンの持つ問題は、日光で分解されるため大気中で長持ちしないということです。つまり検出されたメタンは、比較的最近になってから地表に放出されているべきだと考えられます。それに岩石だらけの砂漠のような火星なので、そのメタンは地下から出ていることを意味します。加えて、散り散りで断続的な起こる明らかなメタンの急増は、不規則な間隔で放出されていることを示唆しています。

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Image: ESA

火星でメタンの存在を証明することは重要なことなので、科学者たちは間違った結論に至らないよう、注意深く研究してきました。2013年の発見はとても興味深いものでしたが、軌道周回衛星などほかの機器からの確認で裏が取れなかったため、キュリオシティのメタン発見は絶対に確実!とは判断されていなかったのです。

キュリオシティ、やっと報われる

せっかくの発見が宙に浮いたままだったメタンの存在ですが、ここにきてESAのマーズ・エクスプレスが集めたデータにより、改めて分析されることになりました。特に衛星に搭載されたPlanetary Fourier Spectrometer(PFS)という、二酸化炭素や大気の組成を調べる分光計により、2013年6月16日にゲイル・クレーター上空で集めたデータが、1日前にキュリオシティが計測したデータと符号することが判明したのです。これは初めて、地上の計測が空からの計測によって保証された例だとESAがコメントしています。

ジュランナ博士と同僚たちは、マーズ・エクスプレスが20カ月に渡って集めた記録から、ひとつの領域で得られた何百もの計測結果を洗い出す新技術を使い、キュリオシティの計測を確かなものにしました。面白いことに、マーズ・エクスプレスはこの時期の探査でキュリオシティが発見したメタン以外のメタンは見付けていなかったこと。これがかなりの決定打になったでしょうね。

博士は報告書で、こう述べています。

一般的に、我々は大気中にあったおよそ10億分の15ほどの確実なメタンの量を検出した以外、ほかではメタンをまったく検出しませんでした。結果それはキュリオシティが10億分の6のメタン増加を報告した翌日だったのですが。

一般的に十億分率は比較的少量なのですが、火星で見つかったというのは特筆すべきことです。私たちの計測では、 軌道上から見て49万平方kmに平均46tのメタンが放出されていたことになります

当時の憶測は間違いだったらしい

キュリオシティの観測時、科学者たちはメタンが南風に乗ってゲイル・クレーターの北から流れてきたのだろうと考えました。ですが今回の新しい解釈では、そうではないということになります。

見付けたメタンの増加量は地学的にクレーターの中で発生しているものと考えられます。火星表面からのメタン放出の可能性を計算するコンピューター・シミュレーションと、クレーターの地質学的特徴からメタン増加の一致を考えるという、2種類別々の分析からもこの結論が導かれました。

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Image: ESA

地球上だとこうした現象は、典型的にテクトニクス(岩石圏)の断層に沿った場所や、埋蔵された天然ガス鉱床で起こります。そして今回の計測は、Aeolis Mensaeという地域の断層に沿って、時たま火星でも発生している可能性が示唆されました。

地下の氷の層から放出?

この報告書の共同著者で、イタリア国立地球物理学火山学研究所のジョゼッペ・エティオペ博士は、ESAの声明文でこう述べています。

私たちは、地域の地下にが浅く広がっているであろうテクトニクス断層を特定しました。注目すべきことに、我々はふたつ別々に行なった大気のシミュレーションと地質学的評価にて、同じ領域でメタンが発生していることを見付けたのです

研究者たちは、火星で計測されたメタンが常に大気中に出続けているのではなく、小さな地質学的な事象が原因で一時的に放出されている、と理論を固めました。これがどのように起こっているのか、そしていかに大気中で失われているのか、またAeolis Mensaeの地質についても、まだまだ研究が必要です。

以上のことから、マーズ・エクスプレスの観測と、今回開発された新技術を使えば、火星のほかの地域でもメタンが見付かる可能性が出てきました。そうした場所を突き止めれば、もしかしたら生命の痕跡も見付かるかもしれませんね。あとメタンはロケット燃料としても大事ですから!

Source: Nature Geoscience, ESA (1, 2)
Reference: Wikipedia

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