平成を生き延びられなかったインターネットの象徴たち

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  • author 傭兵ペンギン
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平成を生き延びられなかったインターネットの象徴たち
Video: Gizmodo US

新元号「令和」の発表でもちきりだった4月1日、実はワールド・ワイド・ウェブ(World Wide Web、WWW)が30週年を迎える記念すべき日でもあったのです!

というわけで今回は、そんなウェブ30周年を記念して米Gizmodoの記者Rhett Jonesがまとめた、歴史の中に消えていったネットアイコンたちを紹介します。基本的に海外のものなので、馴染みないものもあるかもしれませんが、知っていた人は過ぎ去りし日を懐かしみながら、今回はじめて知ったという人は新鮮さを感じながら、お楽しみください。


インターネットは、文字とハイパーリンクという最低限のものしかなかった最初のウェブサイトから大きな進歩を遂げました。にもかかわらず、ネットサーフィンを支える多くの部分は驚くほどにそのままだったりします。ほかにも様々な選択肢があるにもかかわらず、未だに缶で作ったマイクで録音したんじゃないかというレベルの音質であるMP3がポピュラーだったりするし、写真をビットマップにしてまとめたGIFが初登場から30年後の2019年の今でもこんなに使われてるなんて、当時のCompuServeの開発者たちは想像すらしてなかったでしょう

その一方で初期インターネットに登場したものは、現在のオンライン地獄絵図に加わるための要素を持ち合わせていないこともありました。それでは早速、英雄として散ったもの、そして永く生き延び過ぎて悪へと変貌を遂げたものたちの例を紹介していきましょう。

閉じられたウェブ

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Image: David Carlson

ウェブが広まる前、America OnlineやProdigyといった企業はインターネットへの限定的なアクセスと共に自分たちで選んだコンテンツを提供していました。Facebookのやってるウェブの中にウェブを作っていく囲い込み戦略みたいなものですが、当時は「天気やスポーツの試合結果を見るための機能をどれだけ用意すりゃ良いかな」という具合で展開されていたのです。

そしてウェブという新天地が見えてくる中で、それらの企業はよりその世界を解放し始めます。しかし、企業らが提供する独自のブラウザは、ほかのプログラムとの連携がうまく取れず、MosaicNetScape Navigatorのような柔軟なブラウザによって倒されていったのでした。

それでもこの人々を箱の中に閉じ込めておくクラシックなフォーマットは90年代の終わりまでなんとか続きましたが、ProdigyのものがY2K問題に対応できなかったところで、正式に死に絶えました。

QuickTime VR

Video: Eric Chen/YouTube

5Gネットワークの普及が目前となり、VRも今度こそ本当に流行ると予測されていますが、その歴史は失敗の連続でした。その歴史の中でも、低画質の写真をダウンロードするのに数分かかった時代に、アップルがVR的な形でウェブを体験させようと試みたということはほとんと忘れ去られています。

Quicktime VRをお披露目したのは1995年のことでしたが、一切流行しませんでした。完全なVRというより360度のパノラマシミュレーターという代物でしたが、当時はかなり奇抜な技術でした。写真を繋げて事件現場となったO・J・シンプソンの邸宅をニュースレポーターに歩かせるなんて使われ方はしたものの、1997年にアップルに復帰したスティーブ・ジョブズによってプロジェクトの優先度は下げられてしまいました。

現在、YouTubeや他のサイトが360度写真やビデオをアップロードする機能を用意していますが、1995年の時と同じく、ほとんどだれも気に留めていません。

RealPlayer

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Image: oldversion.com

YouTubeの創設者たちが動物園に行ってすべてを変えるまで(訳注:YouTubeで初めてアップロードされたのがこの動物園の動画)、RealPlayerこそがストリーム配信のビデオをオンラインで見る方法だったのです。しかしそれは、接続切れや長い読み込み時間、劣悪な画質などの悪夢の連続だっただけでなく、不治の病かのごとくPCを乗っ取るスパイウェアの温床としても悪名高い代物でした。

Shockwave/Flash

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Image: Gizmodo US

フラッシュとショックウェーブは、時代を象徴するインターネット上の奇妙な笑いの宝庫となったアニメーションの数々を届けてくれたソフトウェアとして記憶されることでしょう。それと同時にストリーミング再生を独占していたRealPlayerの打倒を助けてくれました。しかしもっとも大事なことは、ウェブ体験をマルチメディアに満ちたインタラクティブなものに変えてくれたことでしょう。

そのおかげでウェブデザインはあらゆる方向に発展し、結果としてスプラッシュ・ページや派手なボタンエフェクトが必要ないってことを我々が理解するのに数年を要しました。たくさんの醜いウェブサイトが開設され、原始的なアニメーションが労を惜しまず仕込まれていきましたが、最終的にはHTML 5などのより強力なプラットフォームに取って代わられていきました。そしてその死因は重大なセキュリティ・リスクという、その生き様と同じく不名誉なものでした

The Internet Yellow Page

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Image: New Riders Publishing/Amazon

8歳頃に見知らぬ人に「サイバーする?」と意味もわからず聞いて回ってた(訳注:オンラインセックスを意味する)ことを除けば、私の初期のインターネットの思い出といえばこの本のことでしょう。90年代のアーリー・アダプターだった父の机においてあったこのThe Internet Yellow Pageは、オンライン上で何かすることを探すのに役立つ貴重な情報源でした。その時にはまだGoogleはなく、ISP推奨のウェブポータルか、友達に教わったリストに頼るしかありませんからね。ともかく、The Internet Yellow Pageは電話からチャットルームへの時代の変化に対応するのを助けてくれたのでした。

信じられないかもしれませんが、用途別にURLを並べたこのアナログなガイドブックは何十年もの間、時代の変化に耐え新版が発売され続けたのです。しかしいまはGoogleの治世であり、Bingがその中に暮らしてるような時代なのです。

Java Applet

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Image: Snowbound Software

Java Update利用可能」、「このアプリケーションを実行しますか」。ちょっと待った。その必要はありません。Java Appletはもう死んでますからね。人々は長きに渡り、いつも出てくるこのコーヒー入りのカップを何故アップデートしなきゃいけないのか理解もせずに、ただ従ってきました。実際とのころ、Java Appletはたくさんの初期のビジュアル要素や音量操作に加え原始的なゲームなどを扱ってきたものでした。1998年にウェブサイトのビジュアルに感動させられたら、それはだいたいJava Appletのお陰でしょう。しかしそれも、いまやJavaScriptとHTML 5によって取って代わられたのです。

Flashと同じくセキュリティ問題となり様々なブラウザが対応を休止し、Oracleもこの問題児をアップデートをし続ける価値がないと判断するに至ったのでした。

ダイアルアップ接続の音

Video: willterminus/YouTube

コンピューターをポケットに入れて、驚くべき速さで常時接続ができている時代に、このおぞましい音に愛着を感じているのは信じられないような事態。14.4kbpsのモデムがサイバースペースに接続をせんとした時に発するこの悲鳴が、我々に一種のストックホルム症候群を引き起こしたのです。決して楽しいものではなく、ワクワクなんてさせてくれていません。我々をイラつかせた不快なもので、オンラインから遠ざけていました。まぁ、そこが愛されてるのはわかるんですけどね。

工事中のバナー

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Video: animetedgif.net

ダイアルアップ接続の音が最悪だったのとほとんど同じ理由で、工事中のバナーは最高でした。別にわざわざ見たいものではなく、ここが行き止まりであるということを示すというものだったのです。しかし、個人がホームページを作成する間、このサイトに注目してくれよと示すために必要なものであり、数えきれないほどの工事中のGIFが作られていったのでした。

いまや工事中のバナーはめったに使われず、ゾンビとなった個人のホームページのシンボルと化しています。2019年現在、個人のホームページはメールアドレスを見つけてもらうために使われていますが、小規模な事業主の大多数は顧客にニュースなどの情報を伝えたり注目を集めたりするのにはSNSの方が便利であることを知っています。しかし、工事中のバナーこそが、初期のインターネットを最も象徴するアイコンだと私は思うのです。


懐かしのものの数々。特にダイアルアップ接続の音は今でもよく覚えています。初期ホームページのよくわからんGIFやカウンターなんかも懐かしい。フラッシュ動画は、日本でもメチャクチャに流行りましたね。思えば遠くに来たもんだ……。

あ、あとマジで真のVR元年はいつ来るんでしょうね。映画『JM』みたいなウェブブラウジングが出来る世界を、私は待っているんですよ。