現場から聞こえた「コレ解像度がやばいんですよね」の声にニヤっと。
編集部でも一二を争う堅実派の金本副編集長をして、発売日に飛びついたという 「Google Pixel 3」。2019年にはPixel 4の登場も噂されてるみたいですけど、このGoogle Pixel 3のポテンシャルは計り知れません。
今回、映像作家でyahyelのメンバーでもある山田賢人監督が水曜日のカンパネラ×yahyelによる新曲『生きろ。』のMVを、Google Pixel 3で撮影することに。山田監督は、Suchmosのヒット曲『STAY TUNE』や、宇多田ヒカルの『忘却 featuring KOHH』などのMVを手がけてきました。
映画だと『Unsane』や『タンジェリン』、『Three Minutes』をはじめ、国内だと関西テレビの『だんらん』など、スマホで撮影された映画やドラマも増えてきたこの頃。MVやCMもスマホ撮影モノがありますし、iPadのハウツー動画なんて撮影から編集までiPadでやってるそうですし。
撮影現場に潜入! Google Pixel 3を使った撮影方法とは?

じゃあGoogle Pixel 3の映像作品ポテンシャルたるやいかほどのものなのか。それを確かめるべく、MVの撮影現場にお邪魔してきました。この巨大な倉庫を使った撮影現場、それを撮るのは手のひらサイズのGoogle Pixel 3ッ!
今回のMV『生きろ』は、自死を選ぶ人の多い日本の現代社会や、ある種のシステム的なレール人生といった、生きることへの取捨選択が大きなテーマ。自ら死を選ぶことこそ自分らしいといえなくもなく、そんな紙一重の非日常のそばをわたしたちは生きている。キーワードは、崖っぷちを駆け抜けて。


そんな世界観を、水カン的なひねくれさと脈動するダンスミュージックが表現します。現場では着々と撮影準備が進行中で、スタッフさんの動きも慌ただしい。

ビルのジオラマでしょうか? さっきの東京タワーといい、どう映るんでしょ。

エキストラのサラリーマンおじさんの皆さんも、リハ前に練習中。光景的にはかなりカルト、でも嫌いじゃないよこういうの。『妄想代理人』とか。

お、撮影カメラ発見! そして手前に見えるスマホは、まさしくGoogle Pixel 3(黒)! Google Pixel 3にもデジタルスタビライザーはついていますが、今回は、スタビライザーもガチ中のガチ(ARRI Trinity)です。
そしてあのUIは、本格動画撮影アプリのド定番「Filmic Pro」! やっぱりこのレベルの撮影ともなれば「Filmic Pro」なんですねー。カラーグレーディング前提のlog撮影もできるし、フレームレート設定も細かく調整できるし。


レンズマウント。そもそもGoogle Pixel 3のカメラは、ハードだけでなくソフトウェアの力を駆使し、高精細な画質を実現しています。そこに組み合わせる外付けレンズは、Google Pixel 3から得られる画をさらに変えてくれる素敵アイテムです。

画を見ながらセッティングを調整していくスタッフさん。スマホのディスプレイを見ながらっていうのがなんともエモい状況じゃあないですか。

そうこうしてるうちにセットも準備できまして。

エキストラなサラリーマンおじさんたちのリハも順調に進みまして。

水曜日のカンパネラのコムアイさんと、yahyelの池貝峻さんが現場入り。本番、スタートです!

笑顔で揺れるリーマンおじさんたちと、荒廃した東京のジオラマを背にして歌うコムアイさん&池貝さん。『生きろ』というタイトルを思えば、アイロニーでメタな現代映像的読了感を幻視できたり。それを撮影してるのがスマホっていうのがまた包括的です。


撮影が終わったらGoogle Pixel 3を外して。

皆さんでモニターチェック。ちらほらと「すごーい」「おー撮れてる撮れてる」という声も聞こえました。本格的な映像作品をスマホで撮ってるという感動、まだまだありますよね。
というわけで、完成した『生きろ。』のMVが……こちらッ!
この映像をGoogle Pixel 3で撮ったと言われても、にわかに信じがたい…。ライティングと環境、それにちょっと良いジンバルがあれば、もう誰でもここまでの映像が作れるのかなぁ。後半のおじさんが手招きしてくるところ、好きだ。
最後に、山田監督にいくつかお話を伺ってきました。
山田健人監督にメールインタビュー
GIZ:今回Pixelを使ってのMV撮影をGoogleがサポートするという企画でしたが、どう考えられましたか?
これまでスマホを用いたMVの撮影経験はないので、ある種の実験のようなつもりでした。まずは実機を触りながら性能面などを検証しつつ、企画についてはあえて特別普段と変わらないプロセスで考えました。
GIZ:実際にGoogle Pixel 3でMV撮影をしてみて、画質や映像としてのクオリティはいかがでしたか?
画質については、スマホでもここまで撮れるようになったか、という印象でした。一般ユーザーが日常生活の記録に活用するにはなんら不足のないレベルだと思います。
プロユースでの実用化には課題はありますが、何事も実験的なスタンスから新しいものが生まれていくように、この手軽さでここまで実現できるということが映像業界の今後に影響を与えていくような気がしました。
GIZ:撮影の際に工夫した点や気をつけた点があったら教えて下さい
有線でのモニターアウトができないので、Chromecastのミラーリングを用いて外部モニターにHDMI出力しました。複数のモニターに出力する場合はHDCPの問題をクリアするか、複数台のGoogle Pixel 3を繋ぐ必要があります。暗部のノイズやマッハバンドには弱いので、適正露出よりもいくらか明るい光量を担保するのも有効な策です。
GIZ:スマホで撮影された映画やドラマが増えていますが、今後スマホ撮影の世界はどうなると思われますか?
今後もカメラの機能はさらに高性能化していくはずです。スマホのメリットは加工アプリやSNS等を含め、手軽に簡単な編集からシェアまでオールインワンでできるスピード感にあるので、そのクオリティが上がっていくのは素晴らしいことだと思います。
GIZ:Google Pixel 3への印象を、3つのキーワードで表現するとしたら?
軽い・薄い・実験。
良いですね、実験。映像もMV表現も、Pixelの進化も。実験と挑戦が未知の体験をつくっていく。実験的なガジェットなんて、ワクワクの塊ですもの。



おじさんは画になるなぁ。