氏は「市井の人々に医療を受けさせない政府の方が悪い」と話しています。
生物物理学の博士号を持ち、NASAのエイムズ研究センターで火星植民地用コロニーの設計に関わり、バイオハッカーとして知られるようになった起業家ジョサイア・ゼイナー氏。彼は反体制的な科学活動で、世界中のマッド・サイエンティストたちを虜にしている人物です。
そんなゼイナー氏が、無免許で医療行為を行なったとして、捜査対象になっているのだとか。
ジョサイア・ゼイナーとは?
彼はこれまで、自らのDNAを改変するため腕にCRISPRを注射したり、自らが抱える消化器官の不良改善のためDIY糞便移植をするなど、様々な実験を公開して支持を得てきました。そして彼が立ち上げたOdinという会社は、自宅の車庫で研究しているような科学者たちに向け、遺伝子工学をより手の届くものにさせるべく活動しています。
彼は2017年にバイオハッカーたちを集め、1986年に書かれた 「ハッカーの良心」 から引用し、彼の信念を説明しました。「そうだ、俺は犯罪者だ」という部分を読み、自らを古い時代のハッカーたちと比較し、「俺の犯罪は好奇心だ」と言ったのでした。
届いた手紙
現在カリフォルニア州は、その宣言の一部に賛成するのかどうかを検討しているようで、ゼイナー氏は州の消費者問題課から手紙が届いた、と水曜日にその書面の写真を投稿したのでした。
ハッシュタグには、レイジ・アゲインスト・ザ・マシーンの名曲『Killing In The Name』の歌詞が引用され、彼は冷静と情熱のあいだで書状に対する魂の叫びを綴っています。
なんてこった!!!! 俺は無免許で自らに遺伝子実験を行なったことで、一般に公開されている知識にアクセスする方法を人々に示したことで訴えられてしまった。
だが真実は、俺は誰にも注射器や注射するものを譲ったこともなければ、病を治す材料や、治療や治癒を提供するなんて謳ったことことなんてないんだ。何故ならこうなることがわかっていたからだ。
クソったれなのは、俺のせいじゃなくてFDA(アメリカ食品医薬品局)と政府が最先端の治療法へのアクセスや、場合によっては基本的な健康管理さえも許可しないせいで、たくさんの人が死んでいるってことなんだ。でも刑務所にブチ込むぞって脅されているのは俺の方なんだ。
適切な医療を拒否されて死んだすべての人たちのために、政治家たちは何年檻の中にブチ込められなければいけないんだろうか? なのにヤツらは俺を追いかけてくる。
チクショー、俺は今ウイスキーで落ち着く必要があるな。
この手紙には、ゼイナー氏に対する捜査内容について「無許可の医療行為に対する訴えを審査する」とあります。そして地域医療コンサルタントが、氏と話をしたがっている、とも。
いっぽう消費者問題課は、米Gizmodoの問い合わせに返答していません。またMIT Technology Reviewに対してもゼイナー氏の捜査を認めておらず、彼が瀕している容疑について話はなく、またゼイナー氏本人からも返答はありませんでした。
この罪の重さ
MIT Technology Reviewによりますと、捜査官は6月11日にゼイナー氏と面談したいと申し入れているそうです。カリフォルニア州での無免許医療行為は重罪、もしくは軽犯罪となり、1万0000ドル(約110万円)の罰金と最高3年間の収監を言い渡されることがあります。
バイオ技術の民主化にも関わる問題なだけに、行く末が気になりますね。
Source: The Atlantic, THE VERGE, Instagram, YouTube, MIT Technology Review Review
Reference: Wikipedia (1, 2)