1インチセンサーの360°カメラ「THETA Z1」レビュー:360°写真カメラの頂点。しかし、まだ360°カメラの域は出ない

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  • author 武者良太
1インチセンサーの360°カメラ「THETA Z1」レビュー:360°写真カメラの頂点。しかし、まだ360°カメラの域は出ない
Photo: 武者良太

いや、ほんと、写真はね…。

360°全天球画像・動画のブームを作ったリコーのTHETAファミリーから、最新モデルかつフラッグシップモデルの「THETA Z1」が発売されました、おめでとー。

THETAシリーズは、2013年の初代「THETA」に始まり、2015年の「THETA S」、2017年の「THETA V」とフラッグシップを更新してきました。そして、2019年2月にこの「THETA Z1」が発表。5月24日に発売されました。

THETA Z1のトピックはなんといっても1インチセンサーですね! アッパーなコンデジでも使われる、ビッグなサイズのセンサーです。

THETA Z1に対する2つの期待

センサーサイズが大きくなるとそれだけ多くの光を受け取れるようになり、暗い場所でもノイズが目立ちにくくなる。ということは? THETA Z1は暗い場所でも難なく撮影できるモデルなのでしょうか?

また1インチセンサー・2000万画素となれば、360°からフツーの画角に写真を切り出しても、余裕に使えるかも? この大きなセンサーはコンデジを置き換える可能性も秘めています。

RICOH THETA Z1

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Photo: 武者良太

これは何?:1インチセンサーを2枚搭載した、リコーの新フラッグシップ・360°全天球カメラ。静止画は6,720×3,360、動画は4Kで撮影可

価格:12万6900円(税込)

好きなところ:静止画、見やすいディスプレイ

好きじゃないところ:動画、起動の遅さ、内蔵ストレージonly(約19GB)

1インチセンサー、物理でねじ込む

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Photo: 武者良太

前述のとおり、THETA Z1には1インチセンサーが備わります。Z1の最大の特徴です。解像度は2000万画素。よく、この細長いボディに組み込めたなーと思ったら、プリズムを使って3回も光を曲げる設計になっているそうな。ご、強引だ。でも嫌いじゃないそういう物理で殴る系って。

レンズの明るさはF2.1。明るすぎる場所でも撮影できるように、F3.5またはF5.6に絞ることもできますよ。

安心感のあるガッシリボディ

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Photo: 武者良太

ボディサイズは前モデルのTHETA Vよりちょっと厚みが増し、約121g→182g。かなり太りました。本体の大型化は、1インチセンサーを載せた影響でしょう。手にしてわかる、確かな手応え。

ぎゅっと握っても華奢な感じはありません。ボディの材質はマグネシウム合金。仕様上2つのレンズがむき出しになっているからラフに扱おうなんて思わないけど、手にして使うモノだからこそ頼れるボディってステキです。

バッテリー・ストレージ残量がわかりやすいディスプレイ

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Photo: 武者良太
表示されるのは撮影モード、通信状態、残り撮影時間/枚数、バッテリー残量など

いままでのTHETAはインジケーターはあれどノーディスプレイでした。でもご覧のようにTHETA Z1にはご立派なディスプレイがつきます。

ディスプレイがあるとないのとでは安心感がぜんぜん違います。スマホアプリを使わなくてもある程度のセッティングができるのがありがたし。またTHETA Z1は外部ストレージが使えず、しかも内部ストレージが19GBとちょっと頼りないところがあるので、あとどれくらい撮れるか・録れるかがわかるのは精神衛生上によきですね。

360°を鮮やかにまとめる実力

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Photo: 武者良太
THETA Z1


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Photo: 武者良太
Insta360 ONE X

では写真の品質から見ていきましょうか。THETA Z1の静止画の解像度は6,720×3,360px。参考までに、ライバル機種の「Insta360 ONE X(6,080×3,040px)」でも撮影してみましたよ。

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Photo: 武者良太
THETA Z1
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Photo: 武者良太
Insta360 ONE X

THE コッテリ。色の違いははっきりと描き分けますね。暗い部分もムリには持ち上げず、でも黒つぶれとはならずにグラデーションで表現しています。やっぱでかいセンサーの絵は余裕があるなあ。

拡大・トリミングしたときも含めてTHETA Z1の鮮鋭感はコンパクトな360°カメラで最高クラス。スマホで見る分なら、もう1段2段とズームアップしても使えるんじゃないかと思える精細さ。2000万画素センサーは伊達じゃない!

夜景撮影にも使いたくなる高感度性能

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Photo: 武者良太
THETA Z1


4-360onex夜景
Photo: 武者良太
Insta360 ONE X

青く染まった空の、色の深みが段違い。THETA Z1はISO1600に感度を上げていますが、Insta360 ONE XのISO575よりもノイズが大人しくてクリアです。

1インチセンサーのメリット

ズームアップに耐えられる精細さと、高いISO値が使えるところ。これは共に2000万画素・1インチセンサーの恩恵です。従来の360度カメラのセンサーとTHETA Z1は、APS-Cサイズとフルサイズセンサーくらいのインパクトの違いがあります。

いやほんと、手持ちで夜景が撮れる360°カメラが出てくるとは思わなかった。ISO値を上げればシャッタースピードも上げられる=ブレも少なくなるわけでさ。これはいいことづくめだなあ。

しかし、起動するまでの時間はストレス

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Photo: 武者良太

撮影ではフルスイングな一方で、細かな使用感にストレスが。

側面にある電源ボタン押すじゃないですか。LEDが点滅するじゃないですか。まだかなまだかなーと待つじゃないですか。まだ点滅が続いているじゃないですか。そして10秒くらい経って、やっと撮影できるようになるじゃないですか。

長いよ! 長すぎるよ!

起動時に電源ボタンを1回押すとスリープモードになって、そこからの復帰は早いんです。でも気がつくと、バッテリーを消費しないように勤めているためか完全にシャットダウンしちゃっていたりする。

即・撮・幸なGR IIIほどのスピードは求めません。でも3秒くらいで起動するInsta360 ONE Xと肩を並べるスピードはほしい!

ぶれ補正は期待しちゃダメ

Video: 武者良太, ギズモード・ジャパン/YouTube
THETA Z1


Video: 武者良太, ギズモード・ジャパン/YouTube
Insta360 ONE X

静止画ではすべてにおいて素晴らしいTHETA Z1ですが、動画となると一転、フレッシュさを失います。なんといってもブレ補正の効果が薄い。3軸補正をしているとのことですが、Insta360 ONE Xの強力な電子手ぶれ補正にまったくもってかないません。

Video: 武者良太, ギズモード・ジャパン/YouTube
THETA Z1


Video: 武者良太, ギズモード・ジャパン/YouTube
Insta360 ONE X

カメラバッグに一脚を挿し、高い位置からサイクリング中の動画を撮ってみましたが、こちらもブレ多し。さらにビットレートが低い(56Mbps)ため、葉や道路が塗り絵っぽくなってしまいます。

Video: 武者良太, ギズモード・ジャパン/YouTube
THETA Z1


Video: 武者良太, ギズモード・ジャパン/YouTube
Insta360 ONE X

シャープネスをきかせすぎなInsta360 ONE Xもクセが強いですけど、動画として使いやすいのでよし。

従来のTHETAも動画に難ありでした。マイクの性能はいいんだけど、映像が追いついてこない。ライバル機の倍以上の価格で、ライバル機の半分くらいのビットレート(56Mbps vs 最大120Mbps)ってのはなんかこう割り切れない。

ただライブストリーミングだとTHETA Z1も、4K 120Mbpsのビットレートが使えるみたいなんですよ。ということはファームウェアのアップデートで、ストレージ書き込みにも対応してくれるかも?

360°パノラマ写真機の頂点

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Photo: 武者良太

2013年登場の初代THETAからはじまった360度カメラの歴史。プロユースなモデルを除けば、その価格帯は4~5万円台がボリュームゾーンです。

しかしTHETA Z1の価格は12万6900円。ライバル機より倍以上高い価格です。納得できるかどうかでいくと、ちょっとビミョー。全天球の動画を撮りたいならナシ。悪いことはいいません。4万円にまで下がってきた「Insta360 ONE X」や、逆に動画に振り切るなら7万円の「GoPro Fusion」などの選択肢があります。

写真機として使うのであればぎりアリかなー。これは写真の一部をトリミングして使うカメラとして、ギリギリ使える画質という意味。もちろんフツーの画角で撮るならスマートフォンをつかったほうがマシで、やっぱりまだTHETA Z1は360°カメラなのです。

じゃあ360°カメラとして考えると、普通のカメラ・スマートフォンでは撮影できないものが、今まで以上に高画質で撮れるというのはZ1の大きなアドバンテージかと。そうですね。GoProを超える、超広角カメラの頂点となるモデルといえばわかりやすいでしょうか。

なので、絶景スポットや夜景スポット巡りが趣味ならばアリよりのアリ。360°パノラマ写真機としては現状パーフェクトな存在です。迷う必要はありません。

Source: リコー

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