ズルいくらいに完璧。楽しすぎ。
「2020年からプログラミングが必修化」もう耳タコです。でも、詳しい情報は入ってこないし、不安ばかり煽られますね。小学生の子どもを持つ親として具体的にどうしたらいいのやら。
でも、もしかしたらその不安を少しだけ「ワクワク」に変えられるかもしれません。DJIの新型プログラミング・ロボット「RoboMaster S1」なら。今日、発表会にいって触ってきたのですが、むちゃくちゃポテンシャルが高かったんです。
こんな教材なら今すぐ学生に戻って学びたいよ!
DJIのRoboMaster S1とは?

・自分で組み立てたラジコンを動かすプログラミング学習キット
・使えるプログラミング言語は、ブロック感覚の「Scratch 3.0」とプロ御用達プログラミング言語「Python」
・6万4800円(税込)という大人が覚悟を決めて買う価格
・バトルモードで相手を叩き潰せる
・ゲル弾を撃てる
・中二病をさらに中二病にする
・(教育現場に取り入れられたら)“ギーク”が最高に格好良くて、最高に危険な存在だと世の中に知らしめることができる
・手に入れたら子供よりも大人がハマる
・大人と子供が取り合って本気の喧嘩をする可能性大
超簡単に書きましたが、ざっとこんな感じです。詳しいスペックとかは公式サイトを見てね。
発表会で聞いた話と現物を触ってみたところ、
「大人がプログラミング教育のことを無茶苦茶本気で考えた結果でき上がった非の打ち所がない最強キット」
という印象を受けました。だって、すごく考えられているんです。さすが「GoProの刺客」と言われた、ほぼ完全無敵のアクションカム「Osmo Action」のDJIが作ったプログラミング学習キットという感じ。あざといんです。
自分の手でロボに命を吹き込む

RoboMaster S1の良いところは、まず組み立て式なんですね。
こんな風にバラバラで届きます。46個のパーツからなるラジコン戦車だそうですが、明らかに「46個」に含まれていない細かなパーツが…。

ドライバーで組み上げる本気仕様。ちなみにこのねじ群は「ねじ収納ボックス」1つと数えられていました。


タイヤを縦横斜め走行に対応させるため、特殊な形状をしています。

可能にしているのは、この小さなローラー。一つ一つが可動します。
今回の発表会ではタレント/ソフトウェアエンジニアの池澤あやかさんが壇上されましたが、彼女は組み立てに2時間費やしたそうです。設計図は単純明快なので、解読に時間がかかったわけではないそうですが、それでも大人が、しかも理系を得意とする人がこの時間。けっこう手強いということがわかります。
そして、組み立てるとすぐに動かすことができるんです。この「自分の手で1から作り上げたものが動く」は感動するでしょうね。「生まれたばかりのアヒルの子供が自分を親と勘違いしてついてきた!(インプリンティングね)」経験に近いかも。

でも大きいので、家庭用にするには難しいかも…。
RoboMaster S1を育てる

RoboMaster S1は、iOS・Android・Windows OS対応のアプリをダウンロードして操作します。ロボ育て(もといプログラミング学習)には、アプリの「RoboMaster」を使います。そこで、回避、全方向移動といった特定の課題に対して独自の動作プログラムを組み上げる方法を学びます。

プログラムできることは幅広く、数字や文字が書かれたビジョンマーカーを認識させれば「1のカードを認識したらカメラで撮影して」なんてことも可能です。

またフォローモードでは、画面内で選択した人を追尾させることも。RoboMaster S1の走行速度はけっこう早く、実際に追いかけられたことがある子からは「恐怖を感じる」なんて意見も出ていたそうです。
なお、ケーススタディ形式でプログラミングが学べる「マスターへの道」のほかに、「ロボアカデミー」というのもあり、そこではロボット工学とコーディングを詳しく紹介するビデオチュートリアルやプログラミングガイドを見られます。これらは継続して更新されるので、飽きることなく学んでいけるとのこと。
育てたRobomaseter S1で戦う

アプリの中には「バトルモード」もあって、ほかのRoboMaster S1と戦わせることができます。
私が体験したのはレースと、対戦シューティングだったんですが、これがどっちも無茶苦茶楽しかったです。私はiPadでFPSをプレイしたことがないので操作するのに手惑いましたが、慣れている方は余裕みたいでした。

左のボタンで進み、右のボタンで方向を変えるという基本操作のコツさえ掴んでしまえば、RoboMaster S1の動きは非常に滑らか。それもそのはず、シャーシは全方向に可動、高精度ジンバルのおかげで操作パッドを動かしてもカメラが方向を変えてくれるんです。
DJIのRobomaster S1、ジャイロでグリグリ動く! 機敏! パナい! #DJIpic.twitter.com/hElnLBtw7C
— ギズモード・ジャパン (@gizmodojapan) June 26, 2019
というわけで、ジンバルの精度をシューティングモードのときに実験してみました。ジンバルの性能を試すためにやったのですが、その目的を忘れて「画面が見れない〜」とコメント。恥ずかしい…。
発表会で見たトレイラーによると、バトルモードの楽しみ方は底なし。というのも、上級者ともなればその場でプログラミングしてパワーアップさせたり、危機を脱したりすることができるみたいなんです。これが、ひと昔のSF映画にありがちな「ギークなアジア人が即興でハッキングしてみんなを助ける」シーンのオマージュみたいで胸アツでした。
他の誰よりも強くなりたい、強く育てた自分のロボットをみてもらいたい…。子供の強さへの欲求が、より深いプログラミングへの理解に繋がると思います。いやー、すごい。学んでいると感じさせないで、何よりも学ばせてくれるって本当にすごい!
ゲル弾が中二病心を刺激しまくり
強かわいい #DJI#RobomasterS1pic.twitter.com/xsGquvl9e3
— ギズモード・ジャパン (@gizmodojapan) June 26, 2019
RoboMaster S1がほかのプログラミング教育キットの追従を許さないのが「ゲル弾」です。
RoboMaster S1は頭部にブラスターがついていて、ノズルから柔らかいゲル弾が発射できるんですね。

付属のゴマサイズのビーズ(1万個入り)を水で膨らませて、長方形のカートリッジに入れて機体にセットします。iPad操作で簡単にゲル弾を撃つことができちゃいます。

どれくらいの硬さかというと、寒天くらい。了承を得て潰させてもらいましたが、爪で簡単に潰すことができました。

で、実際にターゲットに向かって撃ってみたのですが…、ゲルが弾ける弾ける! あっという間に床がこんなことに…!
ゴーグルが付属する理由も納得。砕け散ったゲルが跳ね返ってくるんです。
というわけで、ゲル弾戦はプレイする場所をかなり選びます。家の中でプレイしたなら、家の人に馬鹿でかい雷落とされるまでがセットですね。
あ、ちなみに、ゲル弾の代わりにBB弾を撃つことはできるか聞いてみましたが、ゲル弾くらいの柔らかいものしか発射できないように設計されているので、今のところBB弾は撃てないそうです(よかった…)。
ユーザー目線で感じたイマイチなところ
高い

RoboMaster S1がプログラミング教育キットとして最も優秀なのは、そのバトルモードにあると思います。自分の子供に買い与えても、その子がほかに対戦する相手を見つけられなかったら魅力半減です。かといって、親用にもう1台追加で購入できるでしょうか? 約6万5000円って決して安くないですからね。しかもライバルになるには、子供と同じくらい熱心に研究し、カスタマイズする必要があります。時間的にも難しいのでは。
では、学校で教材として導入して班対戦させれば、というとコレもちょっと、なんです。というのも、RoboMaster S1は「自分で組み立てて内部の仕組みもすべて理解」するのも最大の魅力のひとつ。そうなると、理想はひとり1個なんですよね。
意外と難しい
これはRoboMaster S1に限らずすべてのプログラミング学習キットに言えることだと思いますが…、商品説明のトレイラーでは簡単そうなのに、いざ自分で触ってみると実は結構難しいんです。難しいと感じて投げ出してしまうならまだしも、プログラミング全般に苦手意識を持たれたら本末転倒です。なので、導入時期の見極めも大切だと感じました。
プログラミング必修化を目前に悩む親目線でコメントするなら

良いところも気になるところも含めて、RoboMaster S1は「最高」です。
よくぞここまで「こうだったら楽しいね」を詰め込んだものだと、Osmo Actionが出たときと同じくらい感動しました。
初めてプログラミングを始める中学、高校生には、これ以上ないほど魅力的な教材となると思います。自分としては、プログラミング教育の教材はRoboMaster S1一択で、始めるのは、本キットを1〜10まで堪能できる中高生になってから、と提案したいくらい。それくらい、バトルモードに学びにおける強いポテンシャルを感じました。
家庭での導入は大きさ的にもゲル弾的にも難しそうですが、RoboMaster S1をイチから教えるプログラミング学習塾なんかあったら子供を通わせたいです。かなり人気が出そうですよ。
Source: DJI