今思うと存在したこと自体が不思議な航空会社たち

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  • author Matt Novak - Gizmodo Paleofuture
  • [原文]
  • satomi
今思うと存在したこと自体が不思議な航空会社たち
Image: Erik S. Lesser / 特派員/Getty Images News/ゲッティ イメージズ

今では座席も荷物入れも肩身も狭くなるばかり。

こんなのは空の旅じゃない、昔はもっとラグジュアリーだったはずだ!と、アメリカでは1978年の航空規制緩和法で参入障壁が下がって以降、実にさまざまな航空会社が生まれ、そして、消えてゆきました。

今はなき伝説の航空会社を5社ご紹介します。

全席ファーストクラス。MGMグランド航空(1987~1995)

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Image: VintageBradStaggs/YouTube

ミー世代のブランド志向を満たすのがこちら。全33席すべてがファーストクラスの「MGM Grand Air」です。搭乗員5名。就航ルートはNY-LA間のみで、マドンナやアクセル・ローズも搭乗しました。1989年のPR動画では、「イメージしたのは法人のプライベートジェット」と航空会社のお偉いさんが話しています。当時としては珍しいVCR(ビデオカセットレコーダー)、機内電話付き。これで片道1,400ドル(今の価値で2,800ドル)ですから、普通のファーストクラス(今はアラスカ航空で1,400ドル、アメリカン航空で4,000ドル)と変わらないのが魅力ですね。

Video: nickienugget/YouTube

これに匹敵するのは、ラグジュアリーな空の旅のスタンダード、20世紀初頭のエミレーツ航空ぐらいと言われています。どことなくトランプの香りがプンプンするなあ…と思ったら、イヴァンカさんのママ、イヴァナ・トランプ初代夫人が常連だったみたいですね…(動画の1:50~)。1995年には人手に渡り、創業者のカジノ王カーク・カーコリアンは2005年、98年の激動の生涯を終えました。

機内全席喫煙。スモーカーズ・エクスプレス(1993~1993)

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Image: Florida Today via Gizmodo US
スモーカーのための航空機(1993年1月16日、Florida Today)

アメリカで国内便ほぼすべてが禁煙となった1990年、行き場を失ったフロリダのビジネスマン、William WaltsさんとGeorge “Mickey” Richardsonさんは「Smokers Express」という全席喫煙席の航空会社を立ち上げることにしました。

乗客に25ドルの会員権を買わせ、航空機ではなく「旅行クラブ」ということにして、米国連邦航空局(FAA)の規制をかいくぐるアクロバットな奇策で、充実のサービスを提唱。

「離陸から着陸までノンストップでたばこが吸えるほか、Smokers Expressは格安料金で機内たばこ無料配布、無料ヘッドフォン、無料映画、無料宝くじ、ステーキ、ハンバーガーもついてくる。しかも通路を走り回って椅子を蹴るうるさい乗客もいない(搭乗は21歳以上のみ)」(Baltimore Sunより)

「機体にはレースカーのように広告を載せる」と、Richardsonさんは1993年1月付けのFlorida Todayで抱負を語り、同年9月には「5,000~6,000人分の会員権が売れた」と豪語していたのですが、十分な資本が集まらず、スモーカー航空は夢と消えました。

神航空。Lord's Airline(1985~1987)

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Image: Newspapers.com via Gizmodo US
Ari Marshallさん(1985年11月11日、Pittsburgh Press)

「天国のような空の旅を」というキャッチフレーズとともに生まれ、創業者同士が互いをカルト教祖と罵り合い、ついぞ一度も飛ぶことなくこの世を去った航空会社。

提唱したのはトルコ生まれのAri Marshallさん(写真)。悔い改め、「キリスト教徒には聖書、ユダヤ教徒にはトーラー」を提供する巡礼便を就航させることを思い立ち、カナダ航空から中古便を買い取り、機内を改装しました。

当初の予定では、マイアミから聖地エルサレム間を週3便就航し、座席の背もたれ一面に十戒を刷り、機内では子どものための聖書のレッスンまでやる予定でした。映画はすべて宗教。飲酒はもちろん禁止です。

しかし、FAAから飛行許可がなかなか下りず、そうこうするうちビジネスパートナーのTheodore Lyszczaszさんと仲間割れし、「(918人を集団自殺に導いたカルト教祖)ジム・ジョーンズの生まれ変わり」と罵倒するように。Lyszczaszさんも「詐欺師、パワーの45%は悪魔と公言してはばからない頭のイカれた男」と反論したのですが、兄弟が友人とMarshallさん宅に押し入って殺すと脅したと訴えられ、Lyszczaszさん自身も脅迫で訴えられるなどし(結局は無罪放免)、泥沼化。心を清める空の旅は永久に叶わぬ幻となってしまったのでした。

ギャンブル航空。カジノ・エクスプレス・エアライン(1989~2005)

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Image: Newspapers.com via Gizmodo US

スモーカー航空のギャンブラー版。こちらはちゃんと飛んでます。

1987年創業、1989年就航開始。ネバダ州のレッドライオン・カジノ&ホテル付近のエルコ空港からポートランド、シアトル、サンタフェ、エルパソの各都市を結んでいました。週末弾丸往復49ドルという破格プライスで集客し、カジノしかない人口わずか2万人のエルコ村に年間4万人もの乗客を集めたのですが、2005年には経営難となり売却されました。

…と、ここまで訳して今思い出したんですけど、訳者も1度これ、乗ってます! 航空券は安いのだけど現金を200ドルとか持参しなきゃならなくて、遣うも遣わないも本人の自由、という条件でした。で、行きの便(ちいさな機内は満席だった)はみんな生き生きして希望に満ちていたんですけど、帰りの便は勝った人が数人しかいなくてシーンとお通夜のようだった記憶が…笑。

おっぱい航空。Hooters Air(2003~2006)

Video: Business Insider/YouTube

全米初の谷間レストランチェーン「Hooters(フーターズ)」が2003年、空に進出。片道129ドルの一律料金で全米15都市を結びました。

フーターズガールは搭乗員の資格は持っていないので、歌や余興をやるだけです。食事と飲み物は正規の制服の搭乗員の役目。

Hooters創業者ロバート・ブルックス(ボブ・ブルックス)さんはマートルビーチや小さな町にもたくさんの乗客を運んで観光の活性化に貢献しましたが、9.11のショックがまだ抜け切れていない時期だったうえに燃料価格の高騰、廉売競争が追い打ちをかけて赤字から抜け出せないまま2006年4月16日に就航終了に。同年6月、ブルックスさんもマートルビーチで他界しました。

MeTooムーブメントの高まりで閉店に追い込まれるロケーションも増えていますけど、レストランチェーンとベガスのカジノ&ホテルは今も続いています。

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