「もうフルサイズが当たり前でしょ」「いや、APS-Cのバランス再評価が来てますよ」
…といった具合に(?)、デジタルカメラのセンサーについていろんな意見が聞かれる2019年。そこに参戦してきそうなのが、フルサイズより巨大な中判センサー搭載カメラです。
豊かな階調性や、精細な解像感を誇る中判デジタルカメラは、これまで高価・大型・使い勝手が特殊といった性質から、特殊用途のためのカメラといった立ち位置でした。しかし、ここに来て普通のカメラ感覚で使える中判デジタルカメラが登場してしまいました。
それが、ハッセルブラッドの「X1D II 50C」。同社が2016年に発売した、世界初のミラーレス中判デジタルカメラ「X1D-50c」の進化版です。
その背景にあるのは、各メーカーの努力やデジタル技術の進歩によるカメラの小型化と低価格化、そして高速化。物理的に変えられないセンサーサイズと、レンズ設計などの制約とせめぎ合いながら、カメラは進歩を続けています。
「X1D II 50C」は、そんなカメラ業界の一つの最先端です。短い時間ではありましたが、発表会で実機を触ってきました。
デザインはほぼ同じ…と見せかけて全体的に高級感UP

商品画像を見た限り「デザイン的には何も変わってない」という印象でしたし、実際に「X1D-50c」とほぼ同じデザインです。
ただ、実機を目の前にすると、予想外の高級感が。ガンメタリック的な鈍い輝きを放つ、アルミ削り出しのグラファイトグレーは「X1D-50c」よりもハイグレードな雰囲気をまとっています。
グリップの感触も「X1D-50c」がゴムっぽい吸い付きがあるものだったのに対し、新機種「X1D II 50C」はザラザラとしたものに。好みによる部分ではありますが、多くの人は新しい「X1D II 50C」のグリップを好むのではないかと感じました。
ここが一番重要です。ほぼ全ての性能が向上したのに、大幅値下げ!

とにかく「普通に使えるようになった」というのが好印象。
前機種「X1D-50c」は世界初の中判デジタルミラーレスカメラとして登場し、フルサイズと比べても遜色ないくらいのコンパクトボディとハッセルブラッドらしい洗練されたデザイン、そして中判画質で我々を驚かせてくれました。
しかし、使い勝手は独特でした。その最たる例が、約10秒という起動時間。
10秒ですよ。風景を撮るならともかく、ストリートスナップでシャッターチャンスを収めるなんてことは、まず無理です。
いや、そもそも中判でストリートスナップなんて普通はしないでしょうが、「X1D II 50C」ではそれが無理なくできちゃうようになったのです。

起動時間は5秒となり、シャッタータイムラグも短縮。オートフォーカス精度も向上。背面ディスプレイはデジタル中判カメラとしては最大の3.6型で236万ピクセルで、最近のコンデジ感覚でタッチ操作でのフォーカスポイント選択も可能。前機種では外付けだったGPSモジュールも内蔵し、USB Type-Cを使って外部機器からの充電や、専用ソフトウェア「Phocus Mobile 2」を使ったiPad Proでのテザー撮影にも対応するようになりました。
至れり尽くせり。というか「X1D-50c」に大枚叩いた方はショックを受けるレベルです。
最新の国産デジタルカメラ並とまでは言いませんが、前機種で「中判だから仕方ないよね」と我慢していた“お作法”がほとんど不要となったのですから。
それによって可能になるのが、フルサイズデジタルカメラ感覚での中判デジタルカメラの運用。




ハッセルブラッドで撮影したストリートスナップを、iPhoneにその場で転送し、インスタストーリーズへ投稿。…なんて、贅沢なのか無駄なのかよく分からないレベルの遊びが普通にできちゃうわけです。
ハンドリングのしやすさとしては、「フルサイズデジタル一眼レフ以上、フルサイズミラーレス以下」といった感覚。縦グリップのついたハイエンド機のような「特別なカメラ持ってます」感はありません。北欧ブランドらしいシンプルなデザインも相まって、首から下げててもギョッとされるようなことはないでしょう。
そして、今回最大の朗報は、なんといっても65万円程度という実売予想価格ではないでしょうか? もちろん高価なことには変わりませんが、前機種「X1D-50c」発売時は100万円前後でしたからね。
とりあえず新機種を待っていた人なら間違いなく買い。だってこの差額で、あのカメラや、あのレンズも、買えちゃいますよ?(支離滅裂な思考・発言)