いろんなシーンで頼れる相棒になりそう。
1983年にオレゴンで誕生したLeatherman(レザーマン)。彼らはバタフライナイフ型の十徳ナイフのような、マルチツールを得意とするメーカーで、最近は新型モデルと、それに続くシリーズをいくつも計画しているそうです。16歳からの愛用者だという米GizmodoのAdam Clark Estesが、実際に使った感想などをレビューしてくれました。
私は初めて買ったレザーマンがいつだったのか、珍しくハッキリと憶えています。当時は16歳でお金がなく、それでもそのとき家族が住んでいた、グレート・スモーキー山脈でトレッキングすることに驚くべき情熱を燃やしていました。
そのころ、レザーマンは「WAVE」という新型マルチツールを発表しました。イカしているのは、片手で開くことができる(人もいる)こと。そのトリックが使えれば、栄養補給フードを貪る登山仲間の前でカッコつけられるかも? と考えました。なので皿洗いで小遣いを貯め、ダイアルアップ接続からebayで中古品をゲット。
以降、10年以上も愛用したものの…片手でうまく開くことは、一度もできませんでした。
LEATHERMAN FREE P4

これは何?:小洒落たマルチツール
価格:140ドル(約1万5,300円)
好きなところ:簡単に開いて使うのが楽しい
好きじゃないところ:値の張る高機能なペンチ
仰々しい宣伝文句
さいきん、レザーマンは完全なる再デザインを果たしたモデル「FREE P4」を発売しました。メーカーからレビュー用に1本送られてきたのですが、これは“革命的な磁力構造”で、“まったく新しいばね”が“偉大な手触り”をもたらす、そして“これまでに作られた中でもっとも先進的なマルチツール”だそうです。
販促用の専門用語は気にせず、私は往年の夢だった「片手で開くアクション」に挑戦し...そして、衝撃的なレベルの優美さと簡単さで見事に成功、初めて(片手で)グリップからツールを取り出せたのです。
使い心地は最高
数週間このナイフを試してみて、この140ドル(日本価格2万4,840円)のレザーマンFREE P4は驚異的に素晴らしいガジェットだと認めるようになりました。
このマルチツールを“片手”で開いたとき、磁石についての宣伝文句がすぐ腑に落ちました。クルっと開いてペンチが現れ、またカチっと閉じて収まるのです。実際、すべてのツールがそんな感じで開閉します。ナイフもノコギリも、開ききったところでロックされます。側面が小さくて可愛らしい定規になっているプラスドライバーですらも、開くとカチっとロックされた音がするのです。
“偉大な手触り”は誇張しすぎてる感ありますが、FREE P4でマルチツールを引っ張り出すシンプルな体験は、驚くほど満足です。
ほかのモデルとの違い
目を見張るのは、FREE P4はプライヤー以外のすべてのツールがグリップを畳んだまま使えるということ。でもそれは、初期のレザーマンではできないことでした。
初代のWAVEは、グリップを裏返してペンチを開かないとすべてのツールを出せなかったので、両手で操作することが多かったです。その後、レザーマンは片手で扱える「OHT」(one-hand-operable)というモデルを作ります。これは閉じた状態からペンチがスライド式で飛び出すので、ほかのツールは外側から開閉できるというものでした。
その後のモデルである「WAVE+」や「SIGNAL」は、ナイフとノコギリは外側から、そして小さいツールはペンチを開いてから出す、ちょうど中間くらいのデザインです。
大小のツールを取り出す動き
「FREE」の名が暗に示しているのは、全21種のツールに簡単にアクセスできるということ。外側から開く4つの大型ツールは、直刃ナイフ、波刃ナイフ、ノコギリ、親指で押して開くグリップ付きのハサミ。小さなツールは缶切り、千枚通し、それにドライバーなどがあります。それらはグリップのヒンジ近くにある突起を親指で押してポップアップさせられるんです。デザイナーの意図はわかりますが、突起システムは別の意味でわずらわしいときがあります。
初期のレザーマンやポケットナイフは、ツールを引っ張り出すために爪を引っかけていました。突起のデザインはそれとは違いますが、収まった場所からツールを出すには、まだ細かい動きが必要です。






ロック機構の使い心地は過去最高
これは完全に直感的ではないのですが、すべてのツールは完全に開くとロックがかかります。これはWAVE+より安心感があります。FREE P4はツールに連動するレバーが、開いたツールを固定してくれます。そのレバーを中央に向けてスライドすると、ロックが開放されるのです。とはいえレバーというにはちょっと大袈裟で、本当は金属製の小さなツマミが、押されることで動くしくみなのですが。
いずれにせよ、私はWAVE+のボタン式ロックより、こっちのタイプが気に入りました。WAVE+だとナイフと収納場所の間にあるボタンを押してロックを解除するのですが、そこは指を入れたくない場所(ナイフの刃が通過する!)なのです。
それらを考えると、FREE P4のデザイン改善は小さなツールを使う場合かなり便利です。指のスライドでツールが飛び出すFREE P4は、 ツールを探し、引っ掛け部分に爪を差し込んで引き出す...といった一連の操作がとにかくラク。さらにいうと、WAVE+には小さなツールには独立してグリップの外側から別々のボタンを押すロックがあり、これは慣れるまで少々時間がかかりました。それに、間違った解除ボタンを押してしまうと、慌てて指を切ってしまいかねません…私が実際にやってしまったようにね。

欠かせない相棒になった
FREE P4の何がうれしいかって、全体的に使いやすから、もっとマルチツールを使いたくなったことでう。これを説明するのはヘンな感じなのですが...マルチツールがあったとしても、プラスドライバーがあればそっちを使うなど、専用の道具を優先して使っていました。ですがFREE P4は今、あまり便利ではないツールを使うことを躊躇させるように感じます。
「FREE」シリーズに仲間が続々登場
かつて、レザーマンのマルチツールが、いくつものツール体験をもたらしてくれたことに間違いはありません。つまりはそれが、レザーマンをレザーマン足るものにしています。FREE P4は140ドルで販売される予定ですが、どこか特別に思えます。そしてレザーマンが作る、マルチツールの新しい家族の一員なのです。
21種類のツールを備えたP4とは別に、2種類のナイフを1つにまとめ、ノコギリを省略した19種の機能を持つ「FREE P2」が一緒に発売されました。レザーマンはさらに、スイスアーミーナイフ型の「FREE T」シリーズを追加する予定です。さらには旧来のポケットナイフに似た「FREE K」シリーズも発売を控えています。「FREE」シリーズがレザーマンのデザインに新境地をもたらしてくれるのです。
若かりし頃と、未来に想いを馳せる
私は毎日レザーマンを使うようなヘビーユーザーじゃありませんが、長年に渡る愛好家です。いくつかのマルチツールを経てFREE P4を手に取ることは、何年も前にスイスアーミーナイフからレザーマンに乗り換えたとき、新たな世界が開けた瞬間を思い出させます。
今を除けば、(操作ミスで)自分で怪我することは減り、街や森の中でトラブルを解決できる機会が増えるでしょう。もしかすると、それが成長するってことなのかもしれません。
まとめ
・飛び出すツールが普段使いに楽チン
・超満足できる
・値段は高価い
・小さいツールが飛び出す溝に困惑するかもしれない