史上2度目のダイオウイカ撮影。クラゲを模したルアーカメラを使う

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  • author Ryan F. Mandelbaum - Gizmodo US
  • [原文]
  • 岡本玄介
史上2度目のダイオウイカ撮影。クラゲを模したルアーカメラを使う
Video: Edie Widder and Nathan Robinson via Gizmodo US

刺し身にしたら何人前?

このたび科学者たちがアメリカの深海にて、謎だらけのダイオウイカを初めて発見しました。巨大クジラとも戦うこちらの生物は、なかなかお目にかかれることがありません。なのでこの発見は、生物学者だけでなく我々フツーの人たちにも、スリリングなものとなっています。

このダイオウイカは9~13mの頭足類で、水圧が高く日光がほとんど入らない、深さ300m~1000mの深海に生息しています。その界隈には、エイリアンのような深海魚がたくさん生息しているのが見つかっていますが、ダイオウイカは長いこと伝説のように扱われてきました。とはいえそれらの死骸は時折り、浜辺に打ち上げられたりするのですが。

北米の海では初めて

自然の環境では、そうしたイカが生きたまま見られることはあまりありません。海洋研究保全協会(ORCA)の設立者で、海洋学者のエディー・ウィダー女史は特殊なカメラ「メデューサ・システム」を開発し、2013年に日本の小笠原諸島沖で初めてダイオウイカの撮影に成功しました。

そして米国海洋大気局(NOAA)の記事によりますと、科学者らは先週ニューオリンズから48kmほど南にあるメキシコ湾に遠征。科学者のネイサン・ロビンソン氏が、ウィダー女史作成のメデューサ・システムを使って映像を確認していたところ、クラゲ型カメラ(光が環状に光る仕組み)にダイオウイカが接触した姿を見つけたのでした。なおこの撮影は、そのシステムを使った5度目の挑戦だったとのことです。

Video: Gizmodo/YouTube

調査団がウィダーさんのシステムで、捉えたイカの映像は、海洋学史上2度目の出来事であり、北アメリカの海では初の快挙となりました。この映像では、ダイオウイカがルアーに接近して、すぐに飽きてしまうまで吸盤の付いた触手でサワっと触っていく様子が映っています。

クラゲ型カメラの開発秘話

The New York Timesの記事いわく、ウィダーさんのカメラ機構は、彼女による「イカはおそらくイカ調査用のリモコン車両による騒音と眩しさを恐れるだろう」という憶測から作られたのだそうです。

そこで彼女とチームが作ったのは、生物発光する深海のムラサキカムリクラゲを模した「eクラゲ」ルアー。ORCAいわく、クラゲから出る光は「助けを求める叫び声」で、捕獲されたときにほかの捕食者をわざとおびき寄せ、自分を捉えている動物の気が散ったときに逃げるために使います。そしてイカの目には見えない遠赤光で周囲を照らすことで、陽の光の入らない深海でも撮影できる仕組みです。

ダイオウイカのお墨付きを貰う

科学者たちはその3mほどあるイカの映像を、NOAAの全国海洋漁業サービス、スミソニアン博物館にある国立系統学研究所のマイケル・ヴェッチオーネ氏に送りました。NOAAの記録では、ヴェッチオーネ氏よりこれは「ほぼ間違いなくダイオウイカの子供だ」という返信があったことを記しています。

謎多き生物にも上には上がいる

たとえばダイオウイカは何匹くらいいるのか、どの辺りに生息しているのか、どのように行動するのかなど、まだまだ科学者たちが知らないことばかりです。なので証拠としてはやや物足りませんが、こうした映像は上記のような疑問の答えを導き出す一助になります。

マッコウクジラが巨大イカを食べることは知られており、それは世界中で見つかっています。ですがまだ、ダイオウイカは1種類しか証拠が見つかっていません。そして実は、ダイオウイカがもっとも重いイカではないのです。南極海の奥底には、これまた神出鬼没なダイオウホウズキイカというのもいるのです。

深海巨大症

イカが大きく育つ現象は「深海巨大症」と呼ばれ、深海に住む無脊椎動物たちが暗い海の底で予想を遥かに超えたデカさで成長することをそう呼んでいます。科学者たちはウミグモ、端脚類、エビ、そしてクラゲなどを目撃したことがある、とNOAAの別の記事にかかれています。

調査団の説明では、この現象が起こるのは生物らに捕食者からの危険がないのと、成長するための上限がないから、充分な食料がある限り巨大化できるのだそうです。

ですがそうした遠く離れた場所でも、イカたちは人間から隔離されていない、と調査団は指摘しています。今回の映像が撮られたメキシコ湾には、撮影場所から数マイルの場所にシェル石油によるアポマトックス石油/ガス掘削施設があるのです。

Source: YouTube, NOAA, The New York Times, MARINEBIO, SHELL
Reference: Wikipedia

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