字幕がある時点で怪しいんですけどねぇ。
みなさんはSNSで拡散されている、家族が雪崩から逃げようとする映像を見たことありますか? 妻と子供たちが巻き込まれるのなんてお構いなしに、父親が自分だけ逃げようとするちょっとヒドいシーン。自己中でサイアクの親父にしか見えませんが、穿った見方をすれば面白いんじゃないかと思います。
Me watching a bad situation and doing nothing till the final hour: pic.twitter.com/C4HC58sD7y
— Sgogwana (@zama_mdluli) 2019年6月4日
実はフェイク
この動画は執筆時点で、Twitterで653万回以上視聴されており、「正にこれが地球温暖化に対するアメリカの反応だ」なんて好き勝手なコメントする人物も出てくるほど。ほとんどの人たちは、このシーンが完全にフェイクだってことを知らずにシェアしまくっているんです。
これは2014年のコメディー映画『Force Majeure』。邦題は『フレンチアルプスで起きたこと』といいます。しかもフランスや北欧の合作なのでアメリカは関係ナシ。地球温暖化もまったく無関係です。
バズった理由は画質のせい?
おそらくこの雪崩映像は、すごくリアルに見えるので皆フェイクだって疑わないのかもしれません。しかも拡散されているシーンの画質が粗いので、YouTubeで見られるトレイラーほどクッキリ映っていない、というのもバズった原因のひとつとしてあるかと思われます。
人々にとっては、これがプロによる映画用に撮影されたシーンだなんて少しも思われず、スキー場の監視カメラかスマホで撮られた映像だという印象を与えたに違いありません。
おかしな話ですが、むしろHD画質で映画のトレイラーを見ると、VFXを駆使して作られたシーンだってことがわかります。
この雪崩シーンが物語の核となっており、この出来事を境に夫婦関係がギクシャクし、夫が挙動不審に陥っていくようです。映画の評判もけっこうなもので、現在はRotten Tomatoesで評論家たちから93%と、一般視聴者からも76%の高評価を得ています。
世界中にはホントにこんな父親もいそうではありますが、雪崩も含めてただの映画なので……もしSNSで見かけたら「あーアレか」と思ってください。
Source: Twitter (1, 2), YouTube, Rotten Tomatoes