私たちのウンチがサンゴ礁を死滅させている…

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  • author Yessenia Funes - Gizmodo US
  • [原文]
  • 山田ちとら
私たちのウンチがサンゴ礁を死滅させている…
Photo: Brian Lapointe, Florida Atlantic University's Harbor Branch Oceanographic Institute

もう「関係ない」なんて言えません。

世界中の海でサンゴが白化現象にむしばまれているのは、おもに気候変動で海水の温度が上がったせいだと思われてきました。しかし、ほかにももっと切実な原因があったのです。それは人間が排出、または排泄したモノ

プラスチックゴミもダメですが、下水、農業用の肥料流出、土壌の流出などはもっとダメ。これらが海にたれ流しにされると、海水中の窒素が増えすぎてサンゴの白化につながってしまう…こんな研究結果がこのたび学術誌『Marine Biology』に発表されました。

陸上で営まれる人間の活動がダイレクトに海の生物に悪影響を及ぼしている。すべてはつながっているんです。哀しいかな、私たちのウンチとサンゴも。

サンゴがあきらかに減っている

研究によれば、フロリダ・アトランティック大学の教授、Brian Lapointeさん率いる研究チームは、1984年から2014年まで30年間にわたってアメリカ・フロリダ州にあるルー・キー珊瑚礁を観察し続け、その変化を細かくデータ化しました。

海水に含まれる窒素・リンなどの栄養素の量、これら栄養素が生態系に及ぼす影響のバロメーターともなる海藻の量、そして海水の温度を測定しました。さらに衛星写真でルー・キー珊瑚礁をとりまく地形を調べて河川がどのように海に注ぎこんでいるかを分析し、実際海に潜ってサンゴ礁の姿を記録しました。

わかったことは、ルー・キー珊瑚礁の生きているサンゴが全体の33%だった30年前と比べて、2008年には6%以下に減少。サンゴ白化現象が進み、どんどん減ってきている現実が浮き彫りになりました。

こちらはLapointe教授が撮影したルー・キー珊瑚礁のうつりゆく姿です。1988年には魚の大群がいきいきとサンゴの森を泳ぎまわっていますが、時間が経つとともにあきらかな変化が…。

Video: Florida Atlantic University/YouTube

雨と海との関係

サンゴが減った原因についても興味深い発見がありました。海水の温度の上昇よりも海の栄養素汚染のほうがよっぽどサンゴの白化や弱体化に影響しているとわかったのです。

測定が行なわれた30年のあいだに、サンゴの白化がいちじるしく進んだ事例が3度観測されました。その3度とも、海の栄養素汚染がひどくなった直後に起きたものでした。

ことに、1985年から1987年にかけて、そして1996年から1999年にかけての甚大なサンゴ白化現象は、いずれもフロリダのエバーグレイド国立公園で大雨を記録した直後だったとのこと。河川や湿地から大量の雨水とともに下水・農業用の肥料・土壌などが海に流出した結果、ルー・キー珊瑚礁の周辺で海水の塩分濃度が低下して栄養素過多になってしまったと考えられるそうです。

Photo: Marie Tarnowski via Florida Atlantic University
白化したサンゴ。

窒素が多すぎると窒息

栄養素汚染のなかでもとりわけサンゴに悪影響を及ぼしているのは窒素だと考えられています。

窒素は本来生物の営みに欠かせない大切な栄養素。以前は海鳥のフンがサンゴ礁を元気にしている事例も紹介したのに、なぜルー・キー珊瑚礁では逆にサンゴを弱らせてしまうんでしょうか?

Photo: Florida Atlantic University
大規模な栄養素汚染が海を緑色に染める。

問題は量。窒素が多すぎると、サンゴは窒息してしまうのです。

こちらの記事にも詳しく説明されているとおり、サンゴは褐虫藻と共生することでエネルギーを得ています。ところが、海水の窒素量が大幅に増えると、窒素(Nitrogen):リン(Phosphorous)の比率が乱れ、今度はリンが不足してしまいます。

リンが不足すると、褐虫藻がうまく光合成を行なうことができなくなり、サンゴに代謝的なストレスがかかってしまう。そうなると、サンゴは褐虫藻を放出してしまい、白化現象に至ります

Photo: Brian Lapointe, Florida Atlantic University's Harbor Branch Oceanographic Institute
2016年に撮影された脳サンゴ。白化が進み、瀕死の状態に…。

気候変動で雨が増える

心配なのは、気候変動の影響で今後さらに集中豪雨の頻度が高まりそうなこと。2017年に発表されたある研究では、気候変動の影響で今後雨水の流出が19%も増えると予測しています。

地球温暖化が海水をじわじわ温めていくのと同時に、鉄砲水が運ぶ下水やら農薬やらが海を汚染していったら、サンゴ礁はどうなってしまうんでしょう…。

ローカルな取り組みがカギ

希望はまだあります。

フロリダ・アトランティック大学によれば、カリブ海オランダ領内のボネールでは、サンゴ礁を守る取り組みの一環として下水処理場を2011年に新設。ウンチのたれ流しを食い止めることで、サンゴ礁が徐々に回復に向かっているそうです。

フロリダでも新たにハイテク下水処理場を設置したそうで、今後の水質改善に期待がかかります。

一見美しく澄み渡った海の底でも、もうすでに汚染と破壊が始まっているという衝撃の事実。海は人間のトイレじゃない!!とサンゴの怒りの声が聞こえてくるようです。

Source: Florida Atlantic University, Marine Biology

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