EUの電気自動車に人工的な騒音「フェイク・ノイズ」が加えられることに

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  • author 中川真知子
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EUの電気自動車に人工的な騒音「フェイク・ノイズ」が加えられることに
Image: Sopotnicki/Shutterstock.com

良い動きだと思う。

数年前に初めて電気自動車なるものに乗せてもらったんですが、あれって本当に音を感じないんですね。エンジンがかかったことすらわからなかったので、駐車場から音もなく動いた時には本当にビックリしました。と、同時に小さい子供が事故に巻き込まれる可能性が高いと恐ろしく感じ、駐車場を子供ひとりで歩かせることはできないなと思いました。

当然、この危険性を無視するわけはなく、今は世界的に電気自動車に人工的な騒音「フェイク・ノイズ」の搭載を義務化する流れになってきています。日本では2016年の道路運送車両の保安基準などの一部改定に伴い、新型車なら2018年3月8日から、継続生産車なら2020年10月8日から「ハイブリッド自動車等の車両接近通報装置」の搭載が義務化されますが、EUも電気自動車にフェイク・ノイズの搭載を義務化することになったんです。

The Vergeによると、7月1日以降にEU圏内で販売される新車の電気自動車にフェイク・ノイズを発生させるAcoustic Vehicle Alert Systems(略してAVAS)が義務化されたそうです。2021年7月までにすべての車種に搭載されるようになるとのこと。AVASが搭載されていると、時速12マイル以下で走行したり、バックする時に音を出すようになるそうです。

内燃機関を持たない電気自動車は、従来の車と比較して驚くほど静かです。騒音対策には良いのかもしれませんが、歩行者に車が近づいてきていることを知らせることができず事故を起こしかねません。視野が狭い子供やとっさの対応が遅れる年配の人、視覚障害者だったら、事故にあう確率は上がってしまうでしょう。

実際、2017年11月に英国議会に提出されたチャリティー団体「Guide Dogs」による文書には、電気自動車やハイブリッド自動車が歩行者に怪我を負わせる事故を起こす確率は、従来の車に比べて40%も高いという研究結果が指摘されています。

The Vergeによると、AVASの音は各メーカーが決めることができますが、EUの法律で従来の燃焼エンジンのものに似ているべきと定めているようです。

私としてはすべての電気自動車/ハイブリッド自動車で同じ音を採用してくれることを望みます。車種によって違う音だと「あれ?これなんの音?」と考える時間が発生してしまうので、直感的に行動できないので。子供にも「こういうブルルルルルンって音が車が近づいてくる音だからね」と具体的に教えてあげられないですし。持ち主だけがわかれば良い携帯のリングトーンではなく、歩行者全員に車の存在を知らせる警告音的役割なのだから、ブランド性や特別感を追求せず、あくまで老若男女に分かりやすいことをモットーにしてスタンダードにしてほしいなと思います。

Source: The Verge