オリンピックのプール10億個ぶんの淡水が米東海岸海底に見つかる

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  • author Maddie Stone - Earther Gizmodo US
  • [原文]
  • satomi
オリンピックのプール10億個ぶんの淡水が米東海岸海底に見つかる
Image: Bill Brine/Flickr

世界の飲み水が消えても、これを汲めばしばらくは…。

チェンナイカラチ、ケープタウンなど世界中で水不足が深刻になるなか、米東海岸の沖合いで、水がほぼ真水の状態で湧く巨大帯水層が発見され、同様の隠れ水がめは「もしかしたら世界中の海底にあるのでは」と期待が持たれています。

海底に淡水があるらしいことがわかったのは1970年代から。海底油田の試掘で真水が湧く、なんとも不思議な現象があったからです。ただ、その規模はよくわかっていませんでした。

そこでNYのコロンビア大学が主体となって2015年から海底探査を開始。その結果が20日公開となって深度約200m、幅80km、水量はなんと推定739兆ガロン(約2797兆4193億リットル)にもおよぶことがわかったのです。論文はこちら。これが本当なら世界最大となります。

ちなみに水量を湖に直すと「3万8849平方kmの巨大湖」になるそうですよ? 琵琶湖は299平方kmなので、66個ぶん近くになります。

論文主著者のChloe Gustafsonさん(コロンビア大学地球研究所博士課程)はEarther編集部からの取材にこう語っていますよ。

あらゆる大陸の油田掘削で、世界中に(海底帯水層が)あることは知られていましたが、掘削でわかるのはその地点だけですよね。今回の調査ではこれが広い範囲におよび、水量も豊富なことがわかりました。

調査の手法

海底探査では、過去の掘削で真水の報告があったニュージャージー州の沖合を起点に、陸の試掘と数理モデルで淡水帯水層が海底にあると目星をつけたマーサズ・ヴィニヤード島の辺りも調べてみました。

使ったのは2つの海底電磁探査法(EM法)です。海底にレシーバーを置いて、船でトランスミッターを牽引しながら電磁波を計測。塩水は淡水より電気の通りがいいので、EMデータを見れば水の種類もわかる、というわけです。

その結果をまとめたのが、こちらのマップ。

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黄のドットがほぼ淡水の帯水層。ピンクは塩水
Image: Columbia University

三角のルート2つが船で調べたところですね。どちらも深度から何から、データがそっくりだったことから、ほかの地点の観測結果と併せて結ぶとこんな広さになります。大雑把な見積もりなので、ニュージャージー州とマサチューセッツ州の間をさらに詳しく調べる必要があるけども、とGustafsonさん。

なぜ海底に淡水?

海の底に淡水があるなんて、なんか不思議な気がしますけど、氷河期には水がものすごい勢いで蒸発して海面が下がり、海底がむき出しになった時期があります。今の大陸棚のなかには当時、陸地だったところも多く、その名残りかもしれません。特に北米はマーサ・ヴィンヤード島の辺りまでローレンタイド氷床にすっぽり覆われていたので、氷河期が終わったときに、これまたものすごい勢いで溶けて貯まって海に埋まった…と。あくまでも仮説ですが、その線で痕跡を調べたそうですよ。

また、Gustafonさんの調査ではもっと年代の新しい淡水流入も確認されました。これは陸に近いところなので、「陸で地下水になって沖合いに貯まっているのかも」と話しています。

塩分除去は必要

もし氷床が溶けた名残りだとしたら、恐竜や藻の死骸の油田みたいなもので、一度しか使えない限りある資源ということになります。汲み取りにはお金も技術も必要だし、塩分がまったくゼロというわけではないので、汲んでからの処理も必要。「処理で出たしょっぱい水はどうするのよ? 海の生き物が死んでもいいの?」という頭の痛い問題も…。

知らないより百倍安心

でもまあ、Gustafonさんは、「東海岸は別に水不足の心配はないけど、水資源不足で悩んでいる地域の人にとっては普通考えもおよばない、目からうろこの水資源なのでは」と話しています。確かに本気で飲み水がなくなったら、ここにあるよ、というのは覚えておいて損はないかも。

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