チップの小型化でメカニズム全部も小さくなるでしょう。
自動運転車の台頭で知られるようになった、LiDAR(ライダー)センサー。これはパルス状に発したレーザー光が反射して返ってくるまでの時間を計測することで、遠くにあるものまでの距離を測るリモート・センシング技術です。
これまでは一般的に両手で抱えるくらいの大きさ、または小さくても手のひらサイズだったものが、小型チップの開発でグっと小さく・安くなりそうです。
LiDARの歴史
YouTubeチャンネルDroneBot Workshopいわく、LiDARは50年前も前に作られた技術で、アポロ15号のミッションで月面をマッピングしたり、月と地球との距離を計測するのに使われた、歴史あるテクノロジーなのだと説明があります。
一般的にLiDARは航空機に取り付けられ、自機と地上との距離を測りながら飛び、そのおかげで地上からではわからなかった、古代文明の遺跡を発見することにも一役買ったりしています。
自動運転車に使うLiDAR
ではここで、LiDARが自動運転車にどう使われているか見てみてください。
LiDARは安くて小さいものでも手のひらサイズですが、自動車に載せるとなると大型になり、タイプはさまざまですがパトカーのパトランプみたいな感じになったりします。
Appleのプロジェクト「Titan」では、大きくて壊れやすい、およそ1,200万円ほどのコストがかかるLiDARを、どこか他社から提供してもらおうと活動していましたね。Toyota Research Institute, Inc.(TRI)でも、新開発した自動運転実験車「Platform 3.0」で使われる小型化した高解像度LiDARがやはり手のひらサイズだったりと、まだまだ改善の余地がありました。
小型チップ化に成功
hackster.ioによりますと、このたびVOYANT PHOTONICS社が、シリコンを利用したシリコン・フォトニクスという技術を用い、可動部分なく光を走査させられる「光学フェイズド・アレイ」を考案した、と伝えています。これによりLiDARを構成する何百もの部品を使わなくても済むようになり、小指の先っちょに載るくらい小さなチップを開発することに成功したのです。
VOYANT PHOTONICSいわく、これでコストが10倍以上削減でき、自動車だけでなくドローン、ロボット、工場、自宅、さらには携帯電話まで、すべてがよりスマートで安全になると謳っています。

VOYANT PHOTONICSは、この研究に430万ドル(約4億6390万円)の開発資金を調達したとのこと。自動運転車を作ろうとしている四輪、二輪メーカーだけでなく、航空機や携帯電話機のメーカーなど、ありとあらゆる分野から引っ張りだこになりそうですね。
LiDARを構成するにはチップ以外の部品も必要ですが……ゆくゆくは、お遊びで使うホバーボードやラジコンなどにも当たり前に搭載されるかもしれません。
Source: VOYANT PHOTONICS via hackster.io, YouTube (1, 2)