ついに始まる、脳直結インターフェースの時代。イーロン・マスクのAI危機対策として

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  • author 西谷茂リチャード
ついに始まる、脳直結インターフェースの時代。イーロン・マスクのAI危機対策として
Image: Neuralink/YouTube

「こいつ、直結脳内に…!」なんて驚かなくなる未来。

2019年7月17日のお昼過ぎ、イーロン・マスクとNeuralink(ニューラリンク)のメンバーたちが、約2年の静けさを破ってその事業内容を公開しました。脳直結インターフェースの開発です。

なぜ開発しているのか、どう作るのか、使うとどうなるのか。一気にカバーしていきたいと思います。AI(人工知能)の進化に対抗したくば、EI(拡張知能)に頼るしかないかもしれない…。でもその未来は明るく楽しいはず!

イーロンの対AI戦略

Neuralinkの目標は、人類がAIと拮抗できるようにすることです。ホーキング博士が危惧していたように、イーロンもいずれAIが人間の手には負えなくなることを危険視していました。たとえ人間のために作られたAIだとしても、AIの自己進化はいずれ想定を超える事態を巻き起こす可能性がとても高い。もしそうなったら人類は自らより賢くなったAIを止められるのか? おそらく無理でしょう。アリが人間の行動を理解できないように、人間もAIの意図を理解することなく滅亡するはずです。

こういった人類の危機は、イーロンの問題解決意欲に直結しています。楽観視せずに現実的な対抗手段を持とう。で、開発した対抗手段でより明るく楽しい未来が作れたら一石二鳥でサイコーじゃないか、といった具合に。たとえば地球温暖化の危機に対しては、乗るのが楽しい電気自動車Tesla(テスラ)を。道路の渋滞に対しては、みんなが使える地下トンネルBoring Company(ボーリング・カンパニー)を。そして地球全体の危機に対しては、サイコーの火星植民地を作るSpaceX(スペースX)を。その一環で、AI危機に対する対抗手段がNeuralink(ニューラリンク)というわけです。

AIの進化が現実的に止められないのであれば、人間がAIと対等に渡り合える知能を手に入れればいい。でも生物学的な進化は待ちきれないから、技術的に知能を拡張するしかない。いっけん突拍子もない事業に見えるNeuralinkですが、その真意は人類を救うためなのです。

まずはニューロンと仲良く

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Image: Neuralink/YouTube
左のコインは直径19.05mm。右にあるのがN1 Implant。黒い板はセンサー・スレッドを保持するためのもので、インプラント時は外します。

Neuralinkが開発中のプロダクトがこちら、「N1 Implant(N1 インプラント)」です。上の画像からもわかる通りめちゃくちゃコンパクトで、大きいパーツの直径でだいたい8mmほど。緑と黄色の虹色になっている部分が脳に直結するスレッド・センサー(とても細いセンサー)で、そこから下に伸びて繋がっている先はN1チップです。N1チップの凄さも語りたいところですが、今回はスレッド(糸)・センサーの細さに注目。

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Image: Neuralink/YouTube
右上の青い線が100ミクロンで、髪の太さが大体100ミクロン。スレッドセンサーの細さがわかります。

これは虹色になっている先端部分にズームした写真です。虹色に見えた線は、こういった数十ミクロンほどの太さしかないスレッド・センサーの集まりなんですね。物理的な限界まで細くしたおかげで、ニューロンを傷つけることなく、邪魔することなく差し込めるそう。そして1本1本のスレッドに5ミクロンほどのプローブ(電極・黒い点)がいくつも搭載されていて、それらのプローブ1つ1つが近くのニューロン(神経細胞)と情報のやり取りをするわけです。N1 Implantひとつごとに計1,024個のプローブを搭載。

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Image: Neuralink/YouTube
4つのN1 Implantを埋め込んだ場合。右側を見るとわかりますが、頭皮のに2mmほどの穴を開けてスレッド・センサーを垂らしています。

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Image: Neuralink/YouTube
術中で穴を開けた状態。術式は2〜3時間で、痛みや違和感はないはず、とのこと。

で、脳ひとつに10個のN1 Implantを接続できるらしいので、初代のN1でも最大1万240個のプローブ=接続端子が実現できます。

現在アメリカ当局から認可を受けている脳インプラントの中で接続端子がいちばん多いものが10個らしく…いきなりの1,000倍。圧倒的かつ超越的イノベーションです。ちなみにプローブ1つにつき200Mbps(20,000Hz・10bit)なので、約200Gbpsの読み取り能力ですね。

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Image: Neuralink/YouTube
左がロボットの見た目。真ん中と右はロボットのヘッドです。

そして数ミクロンのスレッド・センサーを人間の手で安全に埋め込むのはほぼ不可能&スケーラブルでない(多数の脳外科医を教育するのは現実じゃない)とし、手術用のロボットも独自に開発

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Image: Neuralink/YouTube
左下:血管を避けながら差し込める箇所をラベル付けする操作画面。上2つ:スレッドセンサーを挿し込んでいる様子。ちなみにまたN1は何十年と使い続けられるように設計されているそうです(交換やアップグレードがどういった対応かは不明)。

レーシック手術のように専用のロボットを外科医が操作する感じになり、手術は日帰り傷跡は基本的に認識できないそうです。脳内環境=ニューロンや血管を邪魔することなく1万以上の接点を実現する技術を設立からたった2年で実現したNeuralink。2020年中に対人試験を行なう予定です。

(続きは動画で…)

Source: Neuralink/YouTube

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