6万5000円の価値あるおもちゃ :DJI Robomaster S1レビュー

  • 9,147

  • author Sam Rutherford - Gizmodo US
  • [原文]
  • 福田ミホ
6万5000円の価値あるおもちゃ :DJI Robomaster S1レビュー

6万4800円だけど、ちゃんと遊べればプライスレス。

ドローンで知られるDJIから、プログラミングのできるラジコンカー・Robomaster S1が発売されました。ハンズオンでもかなり楽しいと好感触でしたが、米GizmodoのSam Rutherfordが他のスタッフも交えてオフィスでしばらく遊んでみてレビューしています。日本ではお値段6万4800円と、ハイエンドなタブレットくらい買えちゃうお値段ですが、その価値は感じられるんでしょうか?


DJI Robomaster S1は、僕が子どもの頃まさにこんなのほしかったもの、っていうかそれよりもっとずっとすごいものです。僕が90年代に遊んでいたラジコンのTyco Reboundと比べたら、Robomaster S1は動きは速いし、タイヤがメカナムホイールで、子どもの頃なら想像もしなかったような動きができます。さらにカメラも内蔵、ブラスターを2種類搭載、そしてプログラミングして動かすことまでできます。ただその分お値段も、500ドル(日本価格6万4800円)とかなり大きいです。

なので問題は、その価格なりの価値があるかってことになります。

DJI Robomaster S1

RobomasterS1
Photo: Sam Rutherford (Gizmodo)

これは何?:コーディングスキルを勉強できるラジコンロボット
価格:500ドル(日本価格6万4800円)
好きなところ:すごく速い、カスタマイズできる、カメラ内蔵、デュアルブラスター、設定・操作が簡単
好きじゃないところ:価格、ジェルビーズは掃除が大変、バッテリーがひとつしかない

6万円もするおもちゃを買うのって、そのおもちゃがどんなにスマートでハイテクでも、おすすめするのは難しいです。1週間とかせいぜい2週間遊んでその後忘れ去られるんだとしたら絶対おすすめできませんが、それはどんなおもちゃにもつきまとうリスクです。そしてRobomaster S1は子どものコーディング学習にもなり、引いては将来の仕事にもつながるので、そこまでいければプライスレスです。

なのでRobomaster S1の価値は、何事もそんなものですが、使う人がそれをどのくらい引き出せるかにかかってきます。Robomaster S1は単なるラジコンカーとしても遊べますが、素晴らしい教育ツールにもなりえます。Robomaster S1は、パーツから自分で組み立てたり、別のパーツを付けたりできるだけじゃなく、6つあるPWMポートを使って機能を追加することまでできるんです。

そしてRobomaster S1の真価は、プログラミングによって発揮されます。ほぼ全機能が、ふたつのプログラミング言語で好きなように変えられます。使える言語は、シンプルなドラッグ&ドロップでプログラミングできるScratchか、腕に覚えのある人向けのPythonです。Scratchは子どもの初心者向けに作られた言語で、Robomaster S1のデフォルトのプログラムに手を加えたり、新しく作ったりするのもすごく簡単でした。こういうのを子どもの頃に体験できてたら、その後JavaとかC++とか習うときにもっとすんなりいけたかも、と思います。

ScratchとPythonの切り替えは簡単にでき、Scratchで書いたものがPythonだとどうなっているのか、Robomasterアプリの右上のボタンを押すだけで確認できます。プログラミングのチュートリアルとか、プログラムの中で認識させられるビジョンマーカー(標識みたいなもの)とか、作ったプログラムを管理できるセクションとかもあります。

190717_robomaster1
モードを選ぶ画面。SoloとBattleは読んで字のごとし、Labはコーディングとプログラミングのレッスンです。
Image: Sam Rutherford - Gizmodo US

プログラミングすることで、Robomaster S1に線の上を走らせたり、画像やジェスチャーを認識させたり、ゲームモードを拡張したりができます。プログラミングをガンガンやるなら、スマホよりもタブレットのほうが見やすいしタイプもしやすいです。Robomasterアプリは無料で、Android版とiOS版があり、キーボードもマウスもサポートしています。

FPSゲームをリアルにやってるみたい

で、実際遊んでみた感じはどうでしょうか? まず、動きが速いです。すごく速いです。他のGizmodoスタッフたちが試しに操作したとき、スピード設定がミディアムでも「動かしにくいくらい速い」と言われました。タイヤがメカナムホイールなので、直進だけじゃなく左右にも動くことができるんですが、その分普通のラジコンよりも操作に慣れるのに時間がかかります。Robomaster S1の外観はラジコン戦車風なんですが、どっちかというとFPSゲームのキャラクターを操縦してるような気分になります。

190717_robomaster2
よーく見ると、カメラの上にmicroSDカードスロットのタブが。ここに動画を保存します。
Image: Sam Rutherford - Gizmodo US


190717_robomaster3
なかなかハンサム。
Image: Sam Rutherford - Gizmodo US


190717_robomaster4
ジェルビーズを数時間水で戻して、弾倉に入れます。
Image: Sam Rutherford - Gizmodo US


190717_robomaster5
Image: Sam Rutherford - Gizmodo US


190717_robomaster6
サーキットボードを覆うプラスチックのカバーを外すと、ここに他のコンポーネントを追加できて、プログラムして動かせます。
Image: Sam Rutherford - Gizmodo US


190717_robomaster7
スマホやタブレットにつなぐためのスイッチと接続ボタン。
Image: Sam Rutherford - Gizmodo US


190717_robomaster8
Image: Sam Rutherford - Gizmodo US


190717_robomaster9
オプションでコントローラーが用意されてますが、それを使う場合もタッチスクリーン操作が一部で必要です。
Image: Sam Rutherford - Gizmodo US


190717_robomaster10
ジェルビーズの弾倉はここに入ります。
Image: Sam Rutherford - Gizmodo US


190717_robomaster11
ボディ全体に搭載されたセンサー群が、他のボットから撃たれたことを検知します。
Image: Sam Rutherford - Gizmodo US


190717_robomaster12
Robomaster S1の動きは本当に速いんですが、前進・後進・初速の速さ…など、動き方もいろいろ変えられます。
Image: Sam Rutherford - Gizmodo US


190717_robomaster13
メカナムホイールで左右の動きも可能に。
Image: Sam Rutherford - Gizmodo US


190717_robomaster14
Scratchでのプログラミングはこんな感じです。
Image: Sam Rutherford - Gizmodo US


190717_robomaster15
同じ部分をPythonで見るとこんな感じ。
Image: Sam Rutherford - Gizmodo US


年齢とかモバイルゲームの経験度合いにもよりますが、Robomaster S1の操作にはある程度慣れが必要です。たとえばPUBG MOBILEをプレイしたことがある人なら、Robomaster S1の操作も自然に感じられると思います。画面左にオンスクリーンのコントロールパッドがあり、そこで本体の動きを操作し、画面右では内蔵カメラとブラスターを操作します。あとは、バトルとかレースといったモードによって、ブラスター発射とかパワーアップの有効化といったボタンがスクリーンに表示されます。

僕自身は数分間いじってだいたい感覚がつかめたので、オフィススペースでギュンギュン走らせて周りの同僚にうっとうしがられました。Robomaster S1は曲がるスピードとかも細かく設定できます。ただ、走りまくってるとバッテリーが15分持つか持たないかだし、しかも再充電するには45分〜1時間かかります。スペアバッテリーが付属してくるべきじゃないかと思います。

190717_robomaster16
正面から見るとちょっと怖い。
Image: Sam Rutherford - Gizmodo US

スマホで操作できるといってもやっぱり物理的な操作感がほしい、という声を予期するかのように、DJIはスマホやタブレットにくっつけられるコントローラーも発売予定(価格未発表)です。ただコントローラーがあっても全部は完結せず、内蔵カメラの方向を変えるときはスクリーンを使う必要があるそうです。

内蔵カメラは、操縦するときにスマホからの映像中継を見ると動かしやすいってのもありますし、画質も悪くありません。解像度は2560 x 1440で画角は120度、撮った動画データはmicroSDカードに保存できます。画像をスマホに直接送ることもできますが、その場合はWi-Fi経由になるので、画質が落ちるかもしれません。あとこのカメラには手ぶれ補正とかジンバルが入ってないので、DJIのドローンで撮れるような滑らかな動画にはなりません。

190717_robomaster17
Image: Sam Rutherford - Gizmodo US

Robomaster S1とスマホの接続は簡単です。Robomaster S1のWi-Fiにスマホから直接つながることもできるし、ルータ経由での接続も可能です。後者のほうが接続範囲がやや広くなります。どちらにしても、Robomaster S1とスマホ/タブレットの距離は50〜100フィート(約15〜30m)離れても大丈夫です。

楽しい分だけ、ちょっと手間もかかる

ブラスターは通常グリーンの光を発射して、それで他のボットを攻撃します。相手のボットのセンサーがこの光を検知すると、「撃たれた!」ってことになります。これで、リアルにラジコンバトルロワイヤルができます。

でも光じゃなくてもっと物理的な手応えがほしい場合は、ジェルビーズを撃ち出せます。取り外しできる弾倉に、BB弾より少し大きいくらいのジェルビーズを入れて使います。このジェルビーズはDJIのストアから買えて、1万発くらい入ったボトルが9ドル(日本価格1080円)です。このビーズは乾燥した状態でボトルに入っているので、事前に数時間水でもどす必要があります。

事前準備もさることながら、後片付けも意識しといたほうがいいです。このジェルビーズは当たっても痛くないですが(でも人に当てないでくださいね)、硬いものに当たると粉々になります。あとで掃除機で吸い取りやすいように、という配慮からそうなってるみたいです。でも問題は、このビーズはすごく弾むんです。この前オフィスでジェルビーズをひとつかみほどこぼしちゃったんですが、1週間経ってもまだそこらへんに転がっていて、知らず知らずのうちにふんづけてはカーペットにすり込んでいます。ビーズが高く飛びすぎないようブラスターの角度が制限されてはいますが、ブラスターをビーズ発射モードにする場合、念のためゴーグル必須です。

190717_robomaster18
Robomaster S1はびっくりするほど頑丈ですが、絶対に壊れないわけじゃありません。幸いこのプラスチックのひびは、見た目が悪いだけで済みました。
Image: Sam Rutherford - Gizmodo US

あ、あとRobomaster S1は、音がものすごくうるさいです。ブラスターの音から、電源をオンにしたときの音、スマホにつなげるときの音まで騒々しいので、ひっそり使うということができないガジェットです。たとえカーペット敷きのフロアでもメカナムホイールの音がすごいので、誰かにそっと忍び寄るなんてできません。子どもをおもちゃで遊ばせておいて、しばしの静寂を…なんて期待してる親御さんは要注意です。

もはやおもちゃではない、いろんな意味で

ともあれRobomaster S1はすごく楽しくて、僕の脳みその片隅には、自分が子どもの頃にこんなおもちゃが存在しなかったことに対するささやかな憤りすら生まれています。まあどっちにしろ、僕の親はおもちゃに500ドルとか払ってくれなかったと思うのですが。

でも本当に、Robomaster S1みたいなもので遊んでいたら、その後学ぶことになるコーディングに対してもっと準備ができていたと思います。そして単なるラジコンカーとして見ても、Robomaster S1の楽しさは突き抜けています。

190717_robomaster19
Image: Sam Rutherford - Gizmodo US

でも500ドルも出すとなると、もはやおもちゃというより投資です。出したお金の元を取るには、かなり長時間遊ばなきゃいけません。しかもRobomaster S1の楽しさは、モルモットと同じような感じで、ペアで遊ぶと倍以上になります(超余談ですがスイスでは、モルモットは社会性が高いので1匹で飼うことは禁止されてます)。他のおもちゃをビーズで撃てるのに、撃たれたおもちゃが撃ち返せないんじゃ、フェアじゃないですからね。

まとめ

・Robomaster S1はラジコン戦車であり、コーディングスキルを教えてくれる教育おもちゃです。

・ブラスターは2種類。ひとつは光を、もうひとつはジェルビーズを打ち出します。

・いろんな効果音とかメカナムホイールの音、動作音とか警告音で、かなりうるさいです。

・単体で持っていても楽しいですが、2台あるともっと楽しくなります。

・洗練されたおもちゃにしては、かなり頑丈です。

Robomaster S1 ほしい?

  • 0
  • 0
DJI

あわせて読みたい

powered by