自分でもわからない消耗に気づけた:スマートウォッチPolar Igniteレビュー

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自分でもわからない消耗に気づけた:スマートウォッチPolar Igniteレビュー
不名誉なランニング記録。
Photo: Victoria Song (Gizmodo)

「しっかり寝たはずなのになんかダルいなー」ってときありますよね。これでほんとにダルいのかどうかわかるかも。

心拍数計で有名なPolar(ポラール)から発売されたフィットネス用スマートウォッチIgnite(イグナイト)。しばらく使ってみて、ちゃんと休息を取り入れるようになったという米GizmodoからVictoria Songのレビューです。


これまで縁のなかった人が心機一転して運動しようとすると、その選択肢はトレーナーやジムの会費に大金を払うか、アプリや掲示板にフィットネストラッカー、熱心にワークアウトプログラムを売り込む怪しげなユーチューバーを活用してトレーニングの計画を組み合わせるかのどっちかになります。

PolarのIgniteは両方の要素を足して二で割ったような、カジュアルなスマートウォッチです。

Polar Ignite

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Photo: Victoria Song (Gizmodo)

これは何?: ウォッチの画面上で確認できるガイダンスがたくさん搭載されたカジュアルなフィットネススマートウォッチ
価格: 230ドル(日本価格:税別 2万7800円)
気に入ったところ: ユーザーの回復状況とフィットネスレベルに応じて、異なるタイプのエクササイズを提供してくれるところ
気になったところ: 同期が不安定。タッチスクリーンの反応速度が思っていたよりも遅い

Igniteはアクティビティトラッキング、内蔵GPS、心拍数計測、睡眠トラッキング、そして数日間は持つバッテリーといったフィットネス志向のスマートウォッチに望む基本的な機能をすべて搭載しています。

Igniteが大きく違う点は、睡眠の質、そしてユーザーのフィットネスレベルに見合った、デイリーベースのエクササイズの提案をしてくれるガイドがウォッチの画面上にあるという点。ほとんどのフィットネス用スマートウォッチがこれと似通った機能があると謳っているものの、Igniteはすぐに行える提案をもっと分かりやすいフォーマットで示しているのです。230ドルと安くはありませんが、トレーニングの計画を組み立てる際の労力に困惑気味の初心者にしてみれば、同じ価格帯の他のスマートウォッチに比べて驚くほど良い投資と言えます。

意外とアテになる。自分の残り体力がわかるウォッチ

Igniteのガイド機能について説明しましょう。

1つ目の「Nightly Recharge」は、Igniteを開封して充電したら、基準値を定めるために3晩にわたって睡眠時に装着する必要があります。3晩目以降は、ユーザーの自律神経系の沈静化の程度(自律神経ステータス)と睡眠の質、2つの要素をもとにどれだけ回復できたかを測定します。ユーザーの睡眠の質は過去28日間の平均睡眠時間、各睡眠ステージでの時間や、夜間にどのくらいの頻度で目を覚ましたかといった点に基づいて100点を最大値とするスコアで示されます。自律神経ステータスはもう少し複雑になっています。

自律神経ステータスは、前日のストレス要因からユーザーの自律神経系がどれだけ沈静したかを測るために、Polarが心拍にかかわる数値をまとめたもの。睡眠の最初の数時間の間に心拍数、心拍数変動(HRV)と呼吸数が計測されます。その後、それらの数値を最初の3晩に算出された基準値と比較して、自律神経系の沈静の程度をマイナス10からプラス10の値で表示します。

これはエセ科学のように聞こえるかもしれません。しかし人の心拍数と心拍数変動は、実のところ自律神経系によってコントロールされています。ハーバード大学医学大学院によれば、心拍数変動はストレスを体験した後に体が鎮静化する速さを示すのだとか。基本的に、低い心拍数変動値はユーザーが闘争か逃走状態モードにあって、ワークアウト時のパフォーマンスが優れないかもしれないことを意味します。高い変動値は、心臓の動きがより健康的でもっと激しいアクティビティができると示します。

これは正しいのかもしれませんが、PolarのIgniteは医療機器ではなく、同社はこういった見解やトレーニング計画への影響についての査読された研究結果を発表しているわけではありません

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自律神経ステータスは心拍数、心拍数変動と呼吸数の3つの指標で構成されています。
Photo: Victoria Song (Gizmodo)

Igniteを試してみるにあたって、私はこの機能について懐疑的でした。ユーザーの「回復」を測定すると謳うトラッカーをいくつか使ってみて、役に立たない指標だと思ったからです。ですが、Igniteを使い始めて2週間近く経ったころ、自律神経ステータスそしてNightly Rechargeステータス全体が、少なくとも自分の経験から言えばユーザーのパフォーマンスをかなり正確に予測してると気づきました

友人の結婚式のためにメリーランド州へと旅した後、私はよく眠れたのですが、自律神経ステータスが表示した数値は マイナス10でした。気分はスッキリしていたので、「体が回復を必要としていることを尊重して」というPolarのアドバイスを無視して、2マイル(約3.2km)以上を走れると判断したんです。私の場合、ゆっくりなペースだと20~22分間のランニングに相当します。その日、私は同じ距離を走っては歩くしかできず、30分以上かかったことに驚きました。

1日かけて自宅に戻った日にも、同じことがおきたのです。自律神経ステータスは再びマイナス10、睡眠スコアは65と低くて、Polarはまたもや「体に回復するチャンスを与えるよう」アドバイスしました。けれどもサボるのが嫌なので、私は週に一度の5マイル(約8km)のロングランをやることに固執して、距離を減らすのを拒否したんです。そんなことはスマートウォッチの知ったことではないですよね。驚いたことに、またひどい目に遭ったんです。3マイルでやめて、その距離ではこの数カ月でもっともひどいタイムを叩き出す羽目に。

この機能が毎回100%正確であるという確信はまだありませんが、自分自身よりもスマートウォッチの方が自分の健康にとって何がよいかを把握していたことが2度もあったのです。

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このようにスクリーンショットをまとめてみると、確かに私はアドバイスに従って5マイルのランニングなんてすべきじゃなかったですね
Screenshot: Victoria Song (Gizmodo)

トレーニングメニューを考えなくていいのは楽ちん

Nightly RechargeはIgniteの2つあるガイド機能の1つに過ぎません。

2つ目はPolarがFitSparkと呼ぶ機能。FitSparkはユーザーのNightly Rechargeに基づいて、その日にどのタイプのエクササイズをすべきかをウォッチの画面上で案内してくれます。そのため、自律神経ステータスが高ければ、エネルギーがあるので有酸素運動と筋力の強化トレーニングを提案するかもしれませんし、反対に自律神経ステータスが低下していれば、サポーティブのトレーニングを提案するかもしれないのです。

FitSparkは数種類の連続的なトレーニングオプションを提案するので、ユーザーはそこから選ぶことができます。画面にはトレーニングのやり方を示すアニメーションが表示され、いつ次のストレッチや動きに進むべきかをウォッチが教えてくれます。提案されたトレーニングをタップすれば、その実行方法について詳細な説明を読むこともできます。これは理屈の上では親切な機能ですが、実践においては、何をいつすべきかを思い出すのが大変だと気づきました。それでも特に屋外にいる時は、役に立ちます。

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PolarのFitSpark機能はウォッチの画面上で、どのエクササイズをすべきか教えてくれます。
Photo: Victoria Song (Gizmodo)

正確さに関しては、IgniteはApple Watch Series 4と同レベルだと思いました。屋外ランニングでのGPSの精度は、どちらのデバイスも私のスマホより長い距離を記録。それでもPolarの方がより正確な数値でした。たとえば、あるランニングでiPhoneはMapMyRunアプリ経由で3.96マイルを記録。同じランニングはApple Watchだと4.17マイル、Polarだと4.03マイルと記録されたのです。3つのデバイス全部を使っての6度にわたるテストランでこのパターンが続きました。H10心拍センサーをつけてのエクササイズ中の心拍数の誤差は、どちらのデバイスも5-10拍/分以内でした。

物足りないところもある

Igniteはトレーニングの調整に役立ちましたが、ちょっとした欠点もありました。内蔵の音楽ストレージがないため、携帯を家に置いておきたい人向けのスマートウォッチではないんですよね。

さらに、Polarのランニング用ウォッチは同期がいつも不安定なのですが、Igniteも例外ではありませんでした。FitbitとApple Watchはアプリを開けば自動的に同期されます。同期のことなんて考えずに済むと言えるほど。Polarはこの点では優秀とは言えません。問題なく同期できた時もありますが、データを頻繁に確認してみて、結局は日に2、3度は手動で同期することに…。大変な操作ではないですが、2019年にしてはダサいかも。BACKボタンを数秒押さえて、Polarアプリを開いたままにして、同期する間の1分かそこらはBluetoothが切断されないように祈る。同期に失敗することが度々あるので、そのときはまたイチからやり直さなくてはなりません。

バッテリーの持ちもまた、少し残念でした。Polarは1回の充電で5日間は持つと言っているものの、3日間以上持ったためしがなかったです。私は週に2時間半ほどGPSを使ってのランニングをしますが、GPSを使わないワークアウトも入れたら、バッテリーはもっと長持ちするかと。それでも、充電が3日ごとというのはApple Watch以上です。

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ウォッチの画面上でデータを見ることはできますが、画面の切り替えはちょっと遅い
Photo: Victoria Song (Gizmodo)

デザインに関していえば、Igniteはステキなデザインです。普通の腕時計のように見えて、悪く言うにしても見た目がつまらないことでしょうか(レビュー用の製品が飾りっけのないブラックだったからかも)設計上の主な問題点は、タッチスクリーンの反応速度が遅かったこと。スワイプが認識されず、画面の切り替えが遅れることが時々ありました。我慢できないほどではありませんでしたが、ちょっとした不便さは使っていくうちに積もっていくものです。

IgniteはPolar製品の中でも手が届きやすいスマートウォッチですが、万人向けではありません。初めて5kmを完走するなど特定のゴールに向けて真面目にトレーニングを考えているものの、ハイエンドなフィットネス用スマートウォッチに大枚を叩くのは嫌だという人に最適かもしれません。230ドルと、ちょっと挙動のおかしい点があるにしては若干高めですが、その代わりにとても役に立つデータにアクセスできます。同期の不安定さや単調なデザインが興ざめでないなら、入念に考えられた機能であるウォッチの画面上のガイダンスを活用してみては? 私はこのウォッチを試す中で十分に痛い目に遭ったので、ちゃんと休息日を設けるようになりました。

まとめ

  • ・Nightly Recharge、ユーザーの回復具合とフィットネスレベルに応じてエクササイズを提案してくれるFitSpark、2つの機能が導入されました。
  • ・当たり障りのないデザインですが、タッチスクリーンの反応速度がもっとあってもいいかも。同期でのトラブルもね。
  • ・バッテリーの持ちは5日間と見積もられていますが、使ってみたところ3日間でした。
  • ・内蔵GPS、心拍モニターそして改良された睡眠トラッキング。
  • ・230ドルと安価ではないですが、トレーニングシューズよりは高くなく、この価格帯にしてはたくさんのデータを提供してくれます。
  • ・総合的に見て、実用的なデータのために挙動のおかしい部分に目をつぶれる初心者にとっては良い製品です。

Source: Polar, Harvard Medical School

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