ノイキャン搭載イヤホン「WF-1000XM3」レビュー:ソニーがソニーを超えた

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  • author ヤマダユウス型
ノイキャン搭載イヤホン「WF-1000XM3」レビュー:ソニーがソニーを超えた
Photo: ヤマダユウス型

編集部で、すでに2人も買いました。

ソニーの完全ワイヤレスイヤホン「WF-1000XM3」が2019年7月13日(土)に発売されましたね。ソニーがフラッグシップの完全ワイヤレスイヤホンを更新するのは、実に1年9カ月ぶりです。これまで空席だった「ノイキャン搭載完全ワイヤレスイヤホン」の枠を、堅実に更新してきたソニー。

なんか近所のヨドバシカメラでは完全ワイヤレス特設カウンターみたいなのができてて、ガイドや試聴の案内が充実してまして。「WF-1000XM3」は、期待の新発売枠として、とくにフィーチャーされてました。

Video: ギズモード・ジャパン/YouTube

先駆けて動画でもレビューをお届けましたが、改めて記事でもその所感をお伝えしていきましょう。最強だなんて言っちゃいましたけど、試してみたらノイキャンいらない派の僕でも常用したいと思えるほど素晴らしいノイキャンポテンシャルでした。僕がノイキャンに感じていたとある致命的なデメリットを解決してくれるイヤホンだったんです。

WF-1000XM3

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Photo: 山本勇磨

これはなに?:ノイズキャンセリングを搭載した、ソニーの最新左右独立イヤホン

価格:約2万6000円

良いところ:音質、装着感、ノイキャン。すべて二重丸。接続性も大改善

残念なところ:君、ちょっとデカくない?

製品名の末尾に「3」とついていますが、ポジションとしてはソニー「WF-1000XM」の後継機、つまりは二代目にあたります。今回の新型は、4万円近いソニーのハイエンドヘッドフォン「WH-1000XM3」のイヤホン版という立ち位置になるため、2を飛ばして3になりました。

質感はマット。タッチ操作部分は円形にデボス加工されていて、指の感触だけで判断できるデザイン。カラーはプラチナシルバーとブラックがありますが、どちらもゴールドのソニーロゴが刻印されていて高級感も申し分なし。

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Photo: ヤマダユウス型

デフォルトでシリコンイヤーピース4種、コンプライのようなウレタン系イヤーピース3種が付属。ウレタン同梱は嬉しいですね。後述しますが、このウレタンイヤピはノイキャン効果をうまくアシストしてると感じました。あとパッケージデザインというか、開封→イヤホンとアプリ連携→イヤピチェックまでの視線誘導がよくできてまして。高級機なのにそのへんに配慮してるの、なんか良いなぁって。

バッテリーは本体6時間(ノイキャンなしで8時間)、ケース充電で24時間。10分の急速充電で90分の再生が可能、デュアルマイクによる高性能ノイキャン、AirPodsライクにイヤホンを外すと自動で再生停止などなど。予備知識はこんなところでしょうか。あ、イヤホン本体はわりと大きめです。

ノイズキャンセリング:イヤな聞こえ方がしない、常用できるノイキャン

役割理論的にいうと、コイツの立場は4万円近いソニーのハイエンドヘッドフォン「WH-1000XM3」のイヤホン版です。あいつのノイキャンパワーといったら、滑走路が見渡せる100db近い雑音すら静寂に変えてしまうほど。ノイキャンレベルの自動調整機能などもあったりして、まさに持ち歩けるサイレンスルームでした。

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Photo: ヤマダユウス型
WH-1000M3の兄弟機として、雰囲気も合わせてきた

でも、耳の上から覆うヘッドフォンである以上、防げない外部音が聞こえてくるのも事実。一方「WF-1000XM3」はカナル型イヤホンです。ヘッドフォンでは侵入が防げなかった外部音を、耳穴をギュっと塞いで物理的にシャットアウトできます。さらに付属のウレタンピースを使えば耳栓にも似た遮音っぷりです。

装着感が耳栓然としているので、ぶっちゃけノイキャンなしでもかなり遮音できてるんですよね。ノイキャンなしだとわずかな雑音が聞こえて、ONにすると中域以下はほぼオールカット、キャッキャと話す子どもの声がやや聞こえるかなといった具合。声のような突発的な音や、高域はどうしても残っちゃうけど、風ノイズやクルマのエンジン音とはオサラバできます。カナル型というのも相まって、このノイキャン力は「WH-1000XM3」を超えていると感じました。

で、これらは音楽を再生してない状態での検証。音楽ありなら、屋外でもジョー・パスのソロギターもじっくり聴き込めるほどノイズレスでした。

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Photo: ヤマダユウス型

で、いっちばん感心したのは、嫌なノイキャンではないという点。僕がノイキャンいらない派なのは、「ノイキャンの音」が気になるからなんです。ノイキャンは音源に対して逆位相をぶつけて消音効果を得ているのですが、元音源(同位相)とのズレがあると風邪ひいたときに聞こえるこもった音にも似た、ゾワりとする聞こえ方がするのです。それがノイキャンの音なんですが、こやつの場合、ノイキャンをオンにして気持ち悪く感じなかったのです。

「WH-1000XM3」のときも同じことを思ったので、これは同機に搭載されている新チップ「QN1」の処理能力が活きてるのかもしれません。「WF-1000XM3」はそれを小型化・省電力化した新バージョン「QN1e」を内蔵してるから、さらに性能は向上してるのかも。これほど自然なノイキャンは初体験でした。デュアルマイクの集音精度や効いてるはず。

操作感はとくに問題なし。左本体をタッチするとノイキャンON、ノイキャンOFF、環境音取り込みの切り替えが可能です(アプリ「Headphones Connect」でカスタム可能)。強めにタッチすれば髪の毛越しでも反応しました。なまじノイキャンなしでも遮音性が強いから、環境音取り込みモードに切り替える機会がわりと多くて。

音質:装着感とノイキャンによる、ズルいレベルの聞こえのよさ

ノイキャンばかりに目がいっちゃいますけど(きっとそれでいいんだけど)、サウンドも文句なし。まずは音質に大きく関わる装着感から。

装着感

イヤホン本体は大きくとも、装着感、安定感が優秀。耳に入る根元部分にラバー的な加工がほどこされていて、グっと押し込んでも耳穴への食いつきが良い。かつ、装着した位置からステム(イヤホンの軸)があんまりズレないから音の鳴りが安定していて、歩いたり頭を動かしたりしても同じように音楽が聞こえます。これはストレスがなくグッド!

音の特徴

チューニング自体はソニーらしい原音忠実+ちょいハイ出し派。アプリ側でイコライズして楽しむも良し、PCスピーカーで聞くだけではわからなかった「この曲はこういう味付けだったんだ!」な発見に耳を傾けるのも良し。

身も蓋もない話ですけど、ノイキャンと安定した装着感のおかげで、音質への感動が薄らぐんですよね。なんと言いますか、「よく聞こえて当たり前じゃない?」という感覚です。

接続性:ハードルあげすぎた感あるけど、ほぼ完璧

約2年前の初代「WF-1000X」の接続性は非常に難アリで、発売後のアップデートでずいぶん改善された経緯があります。じゃあ今回の「WF-1000XM3」はどうだったか。結論、ほっとんど問題なし

でも100点満点でもありません。駅で一度だけ、ブツっと接続ノイズが入りました。3日間、継続的に使って接続が切れたのはこの一瞬だけなので気にするレベルでもないのですが、それについて思うところもありまして。

ここ数年で多くのワイヤレスイヤホンが登場し、接続においては敵なしみたいなモデルもちらほらありましたよね。ソニーならば、この短くも濃密なワイヤレス戦国史をしっかり学習し(初代の経験も踏まえて)、「もう接続不安は過去のもの」くらいの精度で来るだろうと期待してたんです。これはもう勝手な期待だし、欠点というほどの接続性では決してないのですが…。たまたま場所が悪かっただけなのか、長期間使っていくと露呈する何かがあるのか。そこが不安なのは事実。

まぁ、2年経っても、LR左右個別伝送にしても、切れるときは切れる。ワイヤレスってのはそういうもんだと割り切る気持ちも必要なのかもしれませんね、こればっかりは。無線への信頼はほどほどに。

気になる点(ほんとに細かいけどね)

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Photo: 山本勇磨

とくに気になったのは本体ケースの大きさ。うん、デカイね! 握り込めない程度には分厚く、ポケットに入れるのはちょーっとはばかられるかな。同じ価格帯のワイヤレスイヤホンと比べてもコンパクトとは言えないため、高音質を省スペースに持ち歩きたい人にとっては見過ごせない点になるかも。イヤホンの形状ゆえか立体的に分厚いため、手に持ってみるとわりと存在感があるんですよね、このケース。カッコいいんだけど。

あと、防水性能がありません。梅雨時期のレビューだったため、雨水対策はちょっと気になりました。デュアルマイクだから水の侵入経路も多いだろうし、雨の日の使用は自己責任って感じでしょう。

どちらも些細なことですけど、言い換えればこういうレベルのことしか書くことがないくらいには基本性能は優等生っていう。ケースの大きさとかほんと重箱レベルだなって思いますし。でも、いざ自分の生活に「WF-1000XM3」を入れてみると、気になってくるのも事実。ケース、大きいんだよなぁ…。

ソニーのイヤホンが、ソニーのヘッドフォンを超えた

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Photo: 山本勇磨

「WF-1000XM3」のノイキャンは、今までのノイキャン史的にみて、イヤホンがヘッドフォンを超えるシンギュラリティだと思います。

ソニーは、ノイキャンはヘッドホンよりも、耳を直接塞げるイヤホンとの相性が良いことを証明してくれました。大きなヘッドホンよりも小さなイヤホンのほうがノイキャンで勝るというのは、なんだか不思議な感じもするし、形状的に考えたら当然な気もするし。なんせ、今後のノイキャン主戦場がイヤホンになったとしても驚きはしない感覚です。

そして、そのノイキャンが生み出す静かな環境で聞く音楽は、どんなチューニングにも勝る最高のリスニング体験であるとも教えてくれました。この心地良さは価格に十分見合ってると思いますし、ほかのヘッドホンやイヤホンで簡単に味わえるものではないでしょう。完全ワイヤレスの新たなK点、作っちゃいましたね。

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