ソニーとシカゴ大学、反射神経をブーストしたように感じられるウェアラブル端末を作る

  • author 岡本玄介
ソニーとシカゴ大学、反射神経をブーストしたように感じられるウェアラブル端末を作る
Image: University of Chicago/Sony IEEE SPECTRUM

ちょっとした「加速装置」や「クロックアップ」気分が体験できそう。

たとえば人間を強化するのには、メカニカルな義手や義足を装着してみたり、強化外骨格を履いてみたり、はたまた『エイリアン2』でリプリーが乗ったパワーローダーみたいな重機ロボを操縦する、なんて方法が考えられます。

ですがどれも単純にパワーや能力を強化・拡張してくれるものの、筋肉や神経と直結するくらい肉体の一部になるってところまでは、技術が到達していないような気がします。

ウェアラブル・デバイスで解決?

そこで、ソニーコンピュータサイエンス研究所の笠原俊一さんと、シカゴ大学から西田惇さんとペドロ・ロペスさんが、人間の反射神経を加速してくれるように感じられるウェアラブル・デバイスを研究している、とIEEE SPECTRUMが伝えています。

これは小型のフォトトランジスタで高速移動しているものを捉え、それに合わせて人間が動けるよう、筋肉にEMS(筋電気刺激) を与える、というもの。まずは映像をご覧ください。

Video: HCI lab UChicago/YouTube

なるほど、超高速で演算処理を行ない、電極パッドで筋肉を刺激して反射神経を強化したように感じさせるわけですね。未来のスポーツ選手が着けたら、どんなゲーム展開になるのでしょうか? 見てみたいものです。

反応時間は約200ミリ秒

人間の平均的な反応時間は約250ミリ秒。つまり目視で確認してから身体が反応するまで1/4秒かかることになります。ですがこのデバイスを装着すると、その反応は約200ミリ秒に短縮。つまり目から脳、そして特定の筋肉まで指令が伝達するまで50ミリ秒かかっているということになるのだそうな。この研究では、脳が伝達する指令を、機械が代わりにやってくれるわけです。

ですが彼らの真の目的は、そこにはありませんでした。

「自分がやった」知覚の境界を探る

Sony CSLによりますと、これは自分の意志よりも早く身体が外的要因によって動かされていたとしても、どの境界線まで「自分で自分の身体を動かした」と感じるのかを探ることにある、という趣旨が書いてあります。

たとえば目の前に落ちてきたペンは、自分で認識して自分で掴もうと思っているのに、実は機械によって動かされている。なのに人間は「自発的にすべて行動した」錯覚するのだそうです。ですがその速度がどこまで早ければ、「機械に動かされた」と自覚するのかを探求したのでした。

そしてその結果も書かれています。

結果、通常の視覚反応よりも約80ミリ秒先行させても行為主体感を保持する時間境界があることが示唆されました

250ミリ秒から80を引くとなると、約3割です。人間はけっこう錯覚しやすいのですね。


今のところ、この技術を一般化することは考えていないようです。ですが義手や義足やパワードスーツのような機械にこうした機能が備われば、人は「自らの意思で行動した」と自信と尊厳を保ったまま、機械のサポートを受けて暮らして行けるかもしれませんね。

ただし、機械によって身体を動かしたその刹那に「やっぱ止めた」って思った場合と、自ら身体を動かそうとしなかったのに動いちゃった場合には、身体の動きと考えに食い違いが生じるでしょう。そんな場合は多々起こりそうなので、やっぱりまだ一般化は難しいのかもしれません。

Source: YouTube via IEEE SPECTRUM, Sony CSL

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