本当に適切な使い方ってされてるの?
顔認証技術はほとんど無秩序のままで、有意義なルールがなくとも、警察や政府運営者がどんな情報を得ているのかを私たちは見てきました。アメリカのいくつかの都市では、市の機関による顔認証技術の使用が全面的に禁止されていますが、世界的には依然として制限なく監視されている西部の荒野のようです。
そんな状況にあって、どうやら欧州委員会はこの不公正な現実に対抗するつもりなんだとか。
顔認証技術の無差別な使用を制限する
EUは、顔認証データの使用に関して市民にもっと権利を与える規制を設けようとしていると、ある高官がFinancial Timesに語りました。この計画は、民間企業および公的機関による「顔認証技術の無差別使用」を制限するものとのこと。情報筋によると、市民は自分の顔認証データがいつ使用されているかを知る権利が与えられます。
報告書によると、顔認証技術の制限は人工知能の使用に対処し、この種の技術で「国民の信頼と受け入れを促進する」ための広範な計画の一部です。Financial Timesが入手した文書の意図は「AI規制の世界基準を設定する」ことであり、「個人を適切に保護する、明確で統一された規則」であると述べています。
また、「AIアプリケーションは、基本的権利に重大なリスクをもたらす可能性があります」、「規制されていないAIシステムは、説明、償還の可能性、または責任ある説明なしに、市民に影響を与える決定を下す可能性があります」とも。
顔の認証技術がいかに不正確で、誤用され、濫用されているかについて、馬鹿げたものから真実味のあるものまで、また場合によっては生命を危険にさらすものまで、多くの報告があります。これは顔認証技術について議論する際に、よくポイントとされます。
公共エリアでの顔認証技術の「無差別」使用を対象とする今回のEUの計画は、公的機関と民間企業の両方に拡大されるでしょう。両機関は、いままで使用を効果的に制限または終了する明示的な法律あるいは透明性に関する法的要件がほとんどなかったため、非倫理的な方法でこのテクノロジーを展開し続けることができました。
重要なのは適切な使用例を考えること
EUの計画はまだ初期段階にあると言われているため、規制の正確なパラメーターがどうなるかは不明です。それでも、現状無責任に利用されている技術に対処するための、包括的な法律を策定することは進歩といえます。
アメリカはそのような広範囲にわたる計画をまだ検討していませんが、3つの都市(サンフランシスコ、サマービル、オークランド)が顔認証技術の禁止を制定し、他の都市も同様の禁止を検討しています。
大規模な監視システムがプライバシーとデータに対する個人的権利と共存できるかどうかも不明です。確かに、自分の生体認証データがどのように使用されているかを個人が知る権利を与えることは、透明性への重要なステップと言えますよね。しかし彼らがその内容を気に入らないとして、どのような頼みごとができるんでしょう?
また、規制がないよりはあったほうが良いものの、人権擁護活動家や倫理技術者の中には、脆弱なコミュニティをターゲットにしやすい技術に制限を加えるだけでは不十分だという意見がでる可能性もあります。であれば、いっそ完全に禁止すべきです。
すべてのプライバシーの専門家が、どこでもテクノロジーを永遠に禁止する必要があると信じているわけではありません。適切な使用例を考える必要があります。現状では多くの濫用が見られますが、この技術が害よりも良い結果をもたらすことが証明されるまで、公的機関や民間企業は使用するべきではないのかもしれませんね。
EUは、この侵襲的な技術が悪用されないようにする方法を、議論する際に検討すべきです。最終的に、その最も倫理的な展開が、まったく展開されないなんて場合がありそうですが…。
Source: Gizmodo US, Financial Times