運動が経験値稼ぎみたいな感じになる。
編集者という仕事柄デスクワークが多く、運動不足で太りやすいのが長年の悩みです。休日には自転車を漕いでカロリー消費をするようにしているのですが、気を抜くとやっぱり太ってしまいます。食事制限をしてリバウンドした経験が何回もあり、結局運動の習慣をつけるしかないのかなと。でも、そもそも運動経験があまりなく、どんな風に、どれくらい運動すればいいのかよくわからない…。
ということで目をつけたのがアメリカのスポーツガジェットメーカー「Garmin(ガーミン)」のGPSスマートウォッチ「ForeAthlete 945」。ガーミンはサイクリングコンピュータなど、ガチめのスポーツ向けガジェットを得意とするメーカーで、スマートウォッチやアクティビティトラッカーも多数ラインナップしています。すがりついてみる価値はありそうです。
今回はガーミンからお借りして1ヶ月弱使ってみたのですが、「運動しながら健康的に痩せる」にあたっては最適解となるスマートウォッチのひとつでしょう。自分に最適な運動量がわかってくる機能がとにかく良し。データを活用しながら効率的に痩せたり、運動パフォーマンスを上げていくのに使える優秀なスマートウォッチなのですが…どうしても気になってしまうところも。
Garmin ForeAthelete 945
これは何?:光学式心拍計搭載+音楽再生対応の防水GPSスマートウォッチ
価格:6万9800円(税抜)
好きなところ:データを上手に活用して効率的に運動できるようにしてくれる、日々コンスタントに運動をトラッキングさせても息切れしないバッテリー
好きじゃないところ:対応しているモバイル決済「Garmin Pay」が貧弱なせいで高く感じる
その日の運動で自分のどの能力がどう成長したかわかる
ForeAthlete 945で優れているのは、トラッキングしたデータの見せ方。ユーザーが「今後どのように生活・運動していくか」を判断できる形に落とし込んでデータを見せてくれます。
その最たるものが運動終了後に成長した能力を教えてくれる機能「トレーニング効果」。ForeAthlete 945でトラッキングを終えると以下のように表示されます。
アプリの画面でみたほうがわかりやすいかも。

これは「有酸素運動能力/無酸素運動能力がいかに向上したか」を表示する機能で、この例だと有酸素運動能力(マラソンやサイクリングなど、そこそこの強度で長時間・継続的に行う運動の際に必要とされる能力)が大きく向上し、無酸素運動能力(スプリントなど、全力で運動する際に必要とされる能力)は維持とわかります。
RPGでレベルアップ時に表示される「ちからが6あがった! すばやさが5あがった!」みたいなののリアル版ですね(リアルはレベル制じゃないのでロマンシングな某ゲームの「愛がアップ!」とかのほうが近いか)。
=どれくらいの運動をすればいいかが見てくる

心拍数ゾーン(心拍トレーニング)という考え方がありまして。これはざっくり言うと「特定の心拍数で運動するとどれくらいの負荷が身体にかかって、その結果どういう成長が得られるか」を出したものです。ぼくの場合だと、心拍数132〜164(ゾーン3〜4)で運動し続けると、心肺機能や有酸素運動能力が向上する、といった具合。高いゾーンで運動した時間が長いほど疲労が残り、回復に時間がかかるようになります。
この考え方と「トレーニング効果」機能を組み合わせると、非常に効率よく運動できます。

ForeAthlete 945を使えば運動中にも心拍数を確認できます。これを利用して狙った心拍数に収まるように負荷を調整しながら運動し、そのトレーニング効果を確認していきます。何度か繰り返すと、翌日に疲れを残さず継続できる範囲のキツさで消費カロリーが多く、かつ運動能力も向上する運動量が見えてきます。ぼくの場合だと、心拍数160で自転車を1時間漕いで450kcal消費するペースが合う感じ。筋肉痛にはなりますが、翌日動けないということはありません。今は土日に2時間ずつ、このペースでの運動を繰り返すようにしています。土曜日に1時間しか運動できなければ、日曜日に3時間乗る、みたいな調整もしやすいです。着実に運動の成果を積み上げてる感が出るのが最高ですね。
ちなみに、ガーミン製品ではお馴染みの“残りHP”を表示する機能も使えます。疲れてるから休むとか、体力が有り余ってるから全力でとか、体力面からも今日はどの程度運動するかを判断できます。
多少トラッキングさせても息切れしないバッテリー
ForeAthlete 945のもうひとつの強みが24時間つけっぱなし&毎日運動をトラッキングするの前提なバッテリーもち。2時間の運動をトラッキングさせてもバッテリー消費は5〜10%ほど、週2回2時間の運動をトラッキングさせて7日弱もちました。通勤ラン・自転車通勤をする人は頼もしく感じるはず。運動を記録している人だと激萎えまちがいなしな「トラッキング中にバッテリー切れ」に陥る心配はまずありません。
また、睡眠を毎日逃さずトラッキングできたりも。入浴前や就寝前に「ちょっと充電するか…」となるとだいたいそのまま寝てしまって睡眠トラッキングし損ねるんですが、それが発生しにくいですね。寝るときもつけっぱってどうなのって感じでしたが、ForeAthlete 945だとアリかなーと。眠りの深い/浅い、レム睡眠/ノンレム睡眠の割合までわかる詳しめの睡眠分析をしてくれるので、あとで見返すとよく眠れてない日がよくわかっていい自戒に。
モバイル決済対応のぶん高いが、実用性があまりない
対応しているモバイル決済「Garmin Pay」を使える条件が厳しいのが弱点です。対応クレジットカードが三菱UFJデビットカードのみ、まずこのハードルが高い。それをパスしても使える店舗が少なく、対応しているコンビニはローソンのみ(Suicaも使えません)。最初からカードをもっている人なら出番もあるでしょうが、スマートウォッチのためにクレカを新規契約は厳しいです。後述するようにGarmin Pay非対応のモデルもラインナップされており、そちらでいいかな感がどうしても…。
また、タッチ操作にも音声操作にも非対応です。Apple WatchやWearOS対応スマートウォッチとは使い勝手がまるでちがいます。ここは好みがわかれると思いますが、かなりアクティビティトラッカーよりと思ってください。できることは主に、通知の表示(返信したりはできず)・音楽再生・アクティビティトラッキング・Garmin Payでの支払い、くらいです。
おすすめなのはより安価なモデル
弱点もありますが、とてもよくまとまっていると思いました。ずっと身につけられて、詳細な運動データとバイタルデータが手に入り、それを基に自分に最適な運動を、自信を持って継続できるようになる。「これをやっていけばいい」という自信、それをちゃんとくれる。そこにForeAthlete 945の良さがあります。
個人的には本当に好みだったんですけど、あんまり推せない感じです。実用性が薄いGarmin Payで値段が釣り上がってる感がどうにも…。税抜7万円はよっぽど気に入らないと手を出せないです。Garmin Payの使い勝手があがれば納得感も出るのでしょうが…。
幸いなことにForeAthlete 945の強みであるスポーツ関係の機能は同等または近しいながらもGarmin Payや音楽再生機能がオミットされていてもっと安いという製品がいくつかラインナップされています。今手を出すならForeAthlete 45(税抜2万4800円)やForeAthlete 245(税抜3万4800円)辺りが良さそうかなぁ。これらは、自分の生活に運動を本気で取り入れたい、すでにガチ(大会に参加するためにパフォーマンスを向上させたいとか)という人には非常に良いチョイスになります。
プラスα:サイコンとして使えます
自転車のスピードメーターやケイデンスメーターに用いられている低電力通信規格「ANT+」に対応しており、なんとサイクリングコンピュータとして使えます。自転車の走行速度などを正確に計測できるのです。その性質上、自転車に運動目的で乗る人とはかなり相性がよく、ランには当然のように対応していて5気圧防水でスイムも可能なことから、トライアスリートとの相性は抜群です。