ええと、簡単に言ってオシッコ我慢にいいことなし!
オシッコしたいのに我慢しなきゃいけないというのは、テクノロジーでなんとかならないもんですかね? 映画館で上映中にトイレ行きたいけど行けないとか、高速に乗っていてサービスエリアが全然ないとか、オシッコできないシュチュエーションってたくさんあると思うんですが、オシッコ我慢している時って完全に体に悪いことしてるって感じ、しますよね。でもトイレに行ってオシッコできた途端、その気持ちはどっかにいってしまいます。
でも、オシッコを我慢しているのって、その瞬間だけ体にダメージを与えているんでしょうか? 我慢している間って体内で何が起こっているんでしょう? 専門家に聞いてみましょう!(もしこれを読んでいる間にオシッコがしたくなったら、すぐ行ってくださいね)
Jeffrey Loh-Doyleさんの意見
南カリフォルニア大学泌尿器学科助教授
オシッコを我慢することは無害に思えますが、我慢が癖になると尿路系に損害を与えることになります。誰だって一度はオシッコを我慢したことはあると思います。トイレが見つからなかったり運転中だったり、トラックの運転手やパイロットなどの仕事では、トイレに行けないケースはよくあるかもしれません。たまに我慢するくらいならいいのですが、それが日常化してしまうと膀胱の細胞状が変化し始めます。膀胱には2つの役割があって、1つは尿を溜めておくこと。そしてもう1つは膀胱がいっぱいになる時尿を出すことです。オシッコを我慢するのが日常化されてしまっている人の膀胱は、より多くの量の尿を溜めるためにだんだん伸びていってしまいます。すると、尿を排泄するために必要な筋肉が失われていき、結果として膀胱が尿を溜めたままにし始めます。なぜそれが悪いことかというと、オシッコをしてもまだ膀胱が空にならない場合、残った尿が尿路感染症や尿路結石、前立腺の炎症、血尿などを引き起こします。
それだけでは終わりません。膀胱が伸びて筋緊張が失われ続けると、膀胱の筋肉の機能がすべてなくなってしまうケースもあります。こうなった場合、膀胱は尿を排出するコントロールを失い、失禁するようになってしまうのでカテーテルを挿入しなくてはいけなくなります。こういったケースに陥る患者さんは長時間トイレに行けない仕事をしている人が多いです。他には体の構造上、オシッコをあまりできない人もいます。年を取っている男性は特にリスクが高く、前立腺肥大になってしまうこともあります。それを治療せずに放っておくと、腎不全に陥ることもありますが、現在は、薬や手術などが発達し、腎不全になる前に前立腺肥大を治療することができます。
オシッコの我慢でもう1つ悪いケースがあります。もし自動車事故に遭った時に膀胱がいっぱいの状態だと、膀胱破裂で緊急手術が必要になります。最後に男性は、オシッコを我慢すると前立腺炎になりやすいので気をつけてくださいね。
J. Quentin Clemensさんの意見
ミシガン大学医学部泌尿科教授
悪い順番で行くと、まず膀胱が破裂、そして腹部に尿が入り込み腹膜炎で死亡。もしくは永遠に燃え盛る火の中で地獄を味わうことになるでしょう。まぁ、これは「最悪の場合」ですが。膀胱破裂はとてもレアケースですが、前に台所の角に膀胱がぶつかり膀胱が膨れ上がって治らなくなってしまった患者さんを見たことがあります。
オシッコを我慢して尿が膀胱にずっと残ってしまい、それが腎臓に戻ってしまい腎臓に損害を与えてしまったケースも見たことがあります。こういった場合は膀胱を空にしてあげるとオシッコが戻ってくるものですが、いつも戻るとは限りません。珍しいですが、膀胱に尿がずっと溜まってしまいずっと透析が必要になってしまった患者さんもいます。もし膀胱が膨れ上がってしまった場合、膀胱は時間をかけてだんだん弱っていき、尿を溜めていくようになります。そうなるとやはり膀胱は伸びてしまい、尿を出して空にする力がなくなってしまうのです。この場合は膀胱を空にするために半永久的にカテーテルを入れておかなくてはいけなくなります。1日に何度もカテーテルを尿道から膀胱に通して尿を出さなくては行けません。
膀胱を空にしておくことは膀胱炎の一番大きな予防法です。膀胱にバイキンが入ってしまうのは珍しいことではなく、普通は菌も膀胱が空になる時に尿と一緒に流れてしまいます。しかし長い時間オシッコを我慢すると膀胱炎になるリスクが高まるのです。膀胱炎になりやすい人は、仕事でトイレにいく時間が制限されている人に多いようです。オシッコの我慢は、痛みや尿意切迫、尿失禁などにつながります。尿失禁の患者さんには2〜3時間に一度トイレに行くように指導しています。
Michael L. Eisenbergさんの意見
スタンフォード大学泌尿器科准教授
長くオシッコを我慢しすぎたため、膀胱が破裂したというケースは報告されています。大抵の場合は、破裂する前にオシッコを出すことができるのですが、珍しいですが状況によってはオシッコができず破裂する場合も。また、膀胱に圧を与えていると腎臓機能に影響が出て腎不全に陥ってしまうこともあります。トイレへのアクセスがあまりない職業だったり、バスの運転手のようなトイレに行く機会があまりないスケジュールの仕事は膀胱に尿を溜める結果になりがちです。膀胱に尿を溜める「トレーニング」をしてしまっていることから、膀胱に石ができ、炎症が起こったりします。膀胱を空にするためには、4〜6時間ごとのトイレを目安にするのが良いでしょう。
Armine Smithさんの意見
ジョンズホプキンス大学、ジョージ・ワシントン大学泌尿器科助教授
オシッコをずっと我慢することは不可能です。なぜなら意志に反して体が膀胱の壁を開いてオシッコを出してしまうからです。でも、膀胱の出口が塞がれてしまっていたり、膀胱への神経が損傷を受けていたりという理由で膀胱を空にできない場合はあります。
オシッコを我慢して起こりうることはいくつかあります。まず尿が腎臓に入っていき腎臓に損傷を与えます。溜まった尿は炎症を起こしますし、尿結石を作り出してしまいます。膀胱の筋肉が硬くなったり緩くなったりすることは、膀胱の機能に半永久的なダメージを与える可能性があります。
Jeffrey A. Jonesさんの意見
ベイラー大学泌尿器科教授
オシッコを我慢して最初のダメージは膀胱の膨張と膀胱の壁の損傷です。我慢が長くなると、膀胱の内圧が高まり、圧が腎臓の上部へ押しやられ損傷を与える結果となります。また腎臓機能にも損傷を与え始めます。
もし前立腺が腫れていて、もしくは尿路がブロックされているなどでオシッコができない場合、どれくらいの時間我慢しているかによりますが2級、3級の損傷が起こってしまいます。そして、日常的にオシッコを我慢していて膀胱が腫れてしまうと、血尿が出てきます。