あくまでガワの部分だけとはいえ、ですよ。
日本中のモノづくりが好きな人々が集うMaker Faire Tokyo 2019。今回は8月3日、4日に東京ビッグサイトで開催されたのですが、そこで展示販売されていた1つのアイテムにハートが奪われまして。
これ。このレンズ。高田徹(@tettou771)さんが自作した「TETTOR 105mm F4」です。お値段、5,000円でした。絞り機構はないけど、105mmの焦点距離、F4の明るさの作りたてレンズとしたら安すぎ。そりゃ買っちゃいますがな。このときはまだEマウント機もってなかったけど、α7も中古で買っちゃいますがな。

光学レンズはケンコーのACクローズアップレンズ No.5を2枚使っているみたい。1群2枚のレンズだから、2枚で4枚玉のテッサーか!

フード、キャップ、鏡胴はすべて3Dプリンターで出力したもの。バリがあるのはご愛嬌。ちょっとガタガタいってる。マウントも樹脂だから、何度も使っていくうちに削れてセンサーに付着しそう。
でもすごくないですか? レンズって個人でも作れちゃうんだって、その事実が。上記のポイントもコストかければすぐにクリアできるわけですし。
オールドレンズの味わいも感じさせるTETTOR 105mm F4
ふんわりしていて、光が外側に向かって広がって、まるで夢の中のような、おとぎ話のような世界を描きます。
でもピント面はキリリッ。光の量が少なければ少ないほど、手作り新品5,000円のレンズとは思えない写りになるのが面白い。
低コントラストな性能を活かして、背景を飛ばしまくって整理しちゃうのも楽しいこと楽しいこと。
ピントを外せばそこに写るのは輪郭クッキリなバブルボケ。
か細い点光源だと目覚めずシャッキリ。でも一定の光量を超えると外周部に向かって収差が拡大。えー、面白い!
自作レンズ、改造レンズが流行るかも?
近年、ボケ味を楽しむ写真好きが増えています。それも計算されつくした、なだらかなグラデーションではなく、写りが予想できないオールドレンズや、オールドレンズのカスタム品などを使った独自の夢の中へ感たっぷりな写真が増えてきています。Meyer-Optikのトリプレットとか、MC ZENITAR-M2s 50mm/f2改とか、ニコンとキヤノンのレンズを組み合わせたNiCanonとか。
高田さんのTETTOR 105mm F4に感じるのは、この分野が好きな人が3Dプリンターを使う時代になるんだろうなってところ。独特の収差があったほうが面白い写真となるなら、レンズ内の後玉を裏っかえしても収まる鏡胴を作ったりとか、もっと自由なカスタムができそうじゃないですか。マウントだって、安いマウントアダプターを部品取りとして金属マウントを流用しちゃえばいいですし。
蒔絵レンズやキットのズームレンズも開放からシャープに写るようになった現在。解像感に対するアンチテーゼとして、こういう遊びもいいのではないでしょうか。
※現在、販売はされておりませんが、公式ホームページでは3Dプリント用のSTLデータが公開されています!