iPhone XSより近づいてボケ撮れるようになったのは、地味だけど大いなる進歩。
むせる3眼カメラを搭載してきたiPhone 11 Pro系。「ウヒョー!今回のiPhoneはカメラの進化がすげーぜー!」という声と作例が津々浦々からアップロードされまくっていますが、はてさて、ホントのところはどうだろう。1年前の頂点だったiPhone XS系と比べてどこまで勝っているのでしょうか。
もはや現代の標準域である広角26mmカメラ(iPhone 11にも採用)
カメラのレンズの標準域と言えば50mm。と言われ続けてきたよね。でもアレって1950年までのライカやコンタックスのレンズに合わせたものとか、ファインダーをのぞいた時の見え方が肉眼の視野に近いとか諸説あるんだけれども。
ファインダーのないスマートフォンの標準域が50mm前後というのは無理があるでしょう。だって被写体を見据えるファインダーというかディスプレイ、大きいじゃないですか。だからそろそろ標準とされる焦点距離を更新する時代だと思うし、スマートフォンのカメラでもっとも採用例が多い26mm前後を各メーカーが"そう"だと考えているんじゃないかって。
ということで、まずは広角カメラの写りっぷりを見てみましょうか。
...えーっと。キープコンセプトという文字が脳裏に浮かびました。iPhone 11 Proのほうがダイナミックレンジが広く、黒色部分のグラデーションが豊かではあるのですが、スマートフォンの画面で見る限り、大差ないといっていいでしょう。
情報量という意味ではiPhone XS MaxよりiPhone 11 Proのほうが多い。拡大すると(スマホ写真あるあるで塗り絵感あるあるだけど)1200万画素をうまく使いこなしているのはiPhone 11 Proです。一部とはいえ細部の情報が残ってる。
データ量の差は、カラコレ作業やフィルタを使ったときの仕上がりの差に直結するので、撮って出しだけを使うのでなければiPhone 11 Proにメリットありといえますね。
曇り空の下のテラスで撮りましたが、青い! チョコミント食べてそうな人はこのホワイトバランス、好き? 太陽の光を感じたときはご飯用ではなく、風景撮影に適したチューニングになる個性は引き継がれていますね。しかしiPhone XS Maxより青くころぶとは。
ド逆光で撮ってみましたが、iPhone 11 Proは白飛びの面積狭めで確かな進化を感じる...! 青緑の信号のようなゴーストはどちらもありますが、iPhone 11 Proはもんやりとしたゴーストが少なめ。キツい条件でも頼もしいなあ。
そして明るいところでの基準となる感度がISO32なのね。ふーむ。アンプのボリウムぐいっと回して高感度にしてもノイズが出にくい設計にしたってことかしらん。
友だち何人入るかなチャレンジの23mmインカメラ(iPhone 11にも採用)

スマートフォンのインカメラで自分を撮影すると、バストアップがせいいっぱい。以前はインカメラの画質が劣っていたこともあり、自分を極力大きく写して、話相手に極力ノイズの少ない自分を見てもらうといった、ビデオ通話目的で作られてきたところがありますよね。
だから、何人かで集合写真を撮るとだいたい見切れちゃいます。そういうモノでした。
おっと。iPhone 11 Proで撮ると、1歩後ろで撮ったような画角になりますな! 腕が伸びましたな!
ご覧のように自撮り棒を使っているかのような余裕あるフレーミング。自分もそこそこ大きく入るし、たくさんの人がいても大丈夫。5人、6人のチームも怖くない。黒の落ち込みが少ないのも、ポートレート専用カメラとしては高得点だなあ。
おまたせしました超広角13mmカメラ(iPhone 11にも採用)
超広角カメラはスマホカメラのトレンドど真ん中。P30(Huawei)が17mm、Xperia 1(ソニー)とP30 Pro(Huawei)、Reno 10x Zoom(OPPO)が16mm、GALAXY S10+(サムスン)が13mmといったようにAndorid勢はすでに超広角の世界の扉を開いています。そしてiPhone 11 Proの超広角カメラの焦点距離は13mm。スマホカメラのなかでトップを張れる広さが写せるんですね。
この世界を流行らせたのはご存知、GoPro。アクティビティを捉えるアクションカムという立場ではありますが、異様に広くて凄まじくダイナミックな写真が撮れることから #GoProのある生活 ハッシュタグが流行るほど、GoProをスナップカメラ、旅カメラとして使うユーザーが増えたんですね。周辺のゆがみ? なにそれ気にしなくていいんじゃない? という価値観を構築した立役者でもあります。
しかしスマホでひろーい世界が撮れるなら。...怖い考えになってしまった。
気を取り直して作例をいってみましょうか。
まずは超広角カメラが搭載されていないiPhone XS Maxだと、こう。
iPhone 11 Proだと、こう。
どういうことでしょうか。iPhone XS Maxの26mm広角カメラが望遠カメラのように見えてくる。
iPhone XS Maxだと、こう。
iPhone 11 Proだと、こう。
やっべえ。空を見上げるのがすごく楽しくなってきた。でもこの雲を吹き飛ばして空いっぱいのスペースコロニーが落ちてきたらどうしようかとも思った。
ワイドな景観をワイドに撮るだけじゃありません。
ニアフィールドな空間を、被写体がぎゅーぎゅーになってひしめき合う星空のようなシーンにするにもいいんです超広角カメラって。

非日常に感じられる画角の超広角粋を使いこなすのって極めて難しい。のですが、いままで身近な画角じゃなかったからそう思うのかも。iPhone 11 ProやAndroidの存在によって、超広角マスターや超広角キャプテンや超広角親方が誕生してくれることを心から祈ります。だって、面白いんだもの。
スマホの画面でみると差がわからない望遠52mmカメラ(iPhone 11は非搭載)
ここからはiPhone 11 ProとiPhone 11 Pro Maxに採用された、望遠カメラのお話といきましょう。
昼間の屋外とか明るい場所であれば、たしかに一眼カメラクオリティといっていいモノが撮れるiPhone。でも「一眼クラス!」という褒め言葉はいままでにも使われまくっています。調べてみたら、iPhone 3GS+ThiltShiftGen(アプリ)の組み合わせでもそういうふうに言われていたみたい。
最新のiPhoneの望遠カメラはどうでしょうね。
...広角カメラより差がわかりづらい! 低ノイズ、右下ネットの存在感、ブレのすくない輪郭描写など、性能は高まっているのですが、スマホの画面で見ると間違いさがしかと思えるほど差が見えにくい。
一歩前に出てもボケるようになったポートレートモード(望遠カメラ側はiPhone 11に非搭載)
望遠カメラ側でiPhone XS Maxとの大きな差となったのはポートレートモードなんです。iPhone 11 Proの方がXS Maxよりもさらに被写体に近づいて撮れるようになりました。ソフトウェアの進化ってことですね。

まずは iPhone XS Maxから。1/18のミニカーが被写体です。ちいさいモノが相手だと寄りきれないという印象あり。

iPhone 11 Proは寄れるようになりました。超広角カメラが数歩後ろにさがったときの画角を手に入れられるとしたら、ポートレートモードは一歩前に進んだときの画角が撮り放題。輪郭の検出精度も高まり、ボケとジャスピン部分の差がより鮮明にもなりました。
近づけたことでボケ具合もさらにスムーシーに。いいことだらけじゃなーい。

細部をじっくりとチェックすると、必要な箇所を無駄にボカしたり、不要な箇所をシャープなまま残しているのでまだまだ「がんばりましょう」のハンコが押される段階。ですけど、着実な進化は見て取れます。

なお広角カメラ側でもポートレートモードが使えますが、望遠カメラ側より被写体を大きく写すことができないため、これはiPhone 11ユーザーのみの利用となるかも。
最大10倍のデジタルズームは似たりよったり(iPhone 11は5倍まで)
強引な技にしてはよく撮れている、とは思うんですけどね。いちばん差がわかりづらい。
地味なアップデートポイントもあるけど
iPhone Xユーザーの僕は、幸か不幸か予約をしなかったので今回もスルー予定だったんです。でも発売日の朝に新宿ヨドバシにミッドナイトグリーンの256GBの在庫があるというじゃないですか。これもなにかの運命だ。買っちゃえ。
まだじっくりとは使っていませんが、普段から肌身離さず持ち歩くカメラとして考えると、(高かったけど)アリな気がしています(高かったけど)。
この記事ではiPhone XS Maxのカメラと画質比較をしているために差がわかりづらいところがありました。でも自分のiPhone Xとの画質差は歴然。特にノイズの少なさに俄然モチベーションがアップです。別途報告しますが、猫って暗い場所だと瞳孔まんまるになるじゃないですか。あのときの動画がそこそこの画質で撮れるんです。もーね、気に入った。超広角カメラ目的で買ったP30 liteは売っちゃおうかな。
すくなくともiPhone Xより前のiPhoneをお持ちの方で、写真撮影が趣味なら買ってもいいし、買うべきスマートフォンと言っちゃおう。