史上2番目となる恒星間天体の名前が正式に決まりました。発見したアマチュア天文学者にちなんで、2I/ボリソフと名付けられたのです。
ゲナデイ・ボリソフ氏は2019年8月30日クリミアで、自分で組み立てた0.65m望遠鏡で観測していたところ、この恒星間彗星を発見。その後、天文台が注意深く観測し続けて、その正体を確かめたのでした。
太陽系外から飛来してきた天体
そうして得られたデータのおかげで、小惑星センターはこの天体の珍しい軌道を計算できて、オウムアムアに続いて太陽系外から飛来してきた2番目の天体だと正式に認めることができたと国際天文学連合(IAU)は綴っています。
2番目の星間天体+発見者名=21/ボリゾフの名
IAUはプレスリリースで、「その軌道は今や十分に知られていて、この天体が星間からやってきたのは明らかだ。2番目の星間天体として2Iと命名した」と宣言しています。「今回、彗星を発見者にちなんで名付けるという伝統に従って、IAUはこの天体は2I/ボリソフと名付けることにした」とのこと。
彗星、しかも星間天体である自分の名前がつくなんてボリソフ氏はきっと鼻高々でしょう。ちなみに正式名称が決まる前は、一時的にC/2019 Q4と呼ばれていました。
名前の頭についた「2I」は、単にそれが2番目に分類された恒星間天体という意味であって、1I/オウムアムアは1番目という意味でした。次は3I/[発見者の名前]と名付けられるでしょう。
太陽系外からやってきたなんて非常にすごいことですが、この2年間で2つの恒星間天体が検知された理由は不明です。とは言え、天文学者たちは今では、他にも発見されるのを待っている恒星間天体があるんじゃないかと期待しています。
二度と戻ってこない
天文学者たちは何千もの彗星を知っていますが、IAU いわく、NASA JPLの太陽系ダイナミクスグループが確かめたように、2I/ボリソフほど極端な双曲線軌道を有する彗星はないとか。天文学者らの言う双曲線とは、太陽の引力を脱するには十分なほどの速度と勢いのある曲線のこと。2I/ボリソフは2019年12月7日頃に太陽に最接近して(近日点)、その後星間空間へと向かい、二度と戻ってはきません。
2I/ボリソフの近日点は太陽から2天文単位(AU)となる模様で、1AUは地球から太陽までの平均的距離になります。IAUによれば、地球に2天文単位よりも近づくことはないだろうとのこと。
天文学者らは、2I/ボリソフが遠ざかる前にできるだけ追跡して研究したいはず。この珍しい天体を観測することで、他の星系やひょっとすると太陽系についても何か発見があるかもしれません。
Source: International Astronomical Union,