1845年のフランクリン遠征で沈没した船、調査チームが内部映像を初公開

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  • author George Dvorsky - Gizmodo US
  • [原文]
  • たもり
1845年のフランクリン遠征で沈没した船、調査チームが内部映像を初公開
Image: Parks Canada, Underwater Archaeology Team

約170年の時を経て、海底に眠っていた船の内部が明らかに。

1845年、北西航路を地図化しようとしたフランクリン遠征は、2隻の船を失うという不幸な結末を迎えました。しかし、先月の初めに調査チームがそのうち1隻であるHMSテラー号を探査。保存状態の良い遭難船の内部を撮影した史上初の映像には、亡くなってしまった船員たちが残していった調度品が写っていました。

HMSテラー号内部の映像は不気味であると同時に興味をそそるものでした。

沈殿物と奇妙な海の生物たちが集まっていることを除けば、船内部の状態はおおむね落ち着いていました。170年以上前、船が乗組員たちに棄てられた最後の状態を垣間見ているかのよう。

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Image: Parks Canada, Underwater Archaeology Team
船の下甲板にあったボトルや他の調度品

ダイバーと遠隔操作型無人探査機(ROV)が撮影した写真や動画は、棚に立てて置かれている凝った装飾の皿や、ボトル、タンブラーそして脚付きのグラスを濁った水越しに写しています。ボウルや皿は乗組員たちがかつて食事をしていた食堂に置かれたままで、士官寝室では今でもベッド、机、そして収納用仕切りが見て取れます。

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Image: Parks Canada, Underwater Archaeology Team
クロージャー大佐の寝室の収納用仕切り、後ろに見えるのは窓

フランクリン遠征は、カナダ北極圏にある当時はまだ発見できていなかった北西航路を求めて1845年にイギリスを出発しました。HMエレバスとHMSテラーの2隻の船、134人の士官と乗組員が携わる大規模な任務だったのです。

船は1845年7月26日に捕鯨船に目撃されたのが最後ですが、遠征隊ははるか北方まで進みました。その後の年月において集められた証拠は、遠征隊がかなり西のキングウィリアム島(現在のヌナブト)へと進んだと示しています。乗組員たちの末路を説明するCanadian Encyclopediaからの抜粋をどうぞ。

蒸気機関だったにもかかわらず、頑丈な船は恐ろしい氷に閉じ込められ、暴風雪、極寒の気温と激しい強風にさらされることに。1845-6年の冬にかけて3人の乗組員が亡くなって、(デヴォン)島に埋葬された。


1846年9月、エレバス号とテラー号は再びキングウィリアム島近くで氷に閉じ込められてしまった。フランクリンの船は1847年の夏の間には解放されて、航路の西端であるベーリング海峡へと前進できていたはず。そうなる代わりに、彼らは凍ったまま、キングウィリアム島で2度目の冬を過ごさざるを得なかったのだ。


遠征隊にとっては致命的な打撃であり、さらに(ジョン・)フランクリン隊長自身が1847年6月に亡くなってしまった。残りの105人は1848年4月22日に船を棄て、キングウィリアム島の北西部の海岸に野営を立て、本土に向かうつもりだった。ほとんどが島内、そして数人が本土北部の海辺で、全員が亡くなったのだった。

エレバス号は2014年、テラー号は2016年と、どちらの船もカナダの考古学者らに発見されたのは最近のことです。現在は2隻とも、パークス・カナダ(カナダ国立公園管理局)の考古学者とイヌイットの研究者らのチームが調査しています。先月初め、ダイバーやROVが7日間にわたってHMSテラーを探査しました。パークス・カナダのプレスリリースによれば、沈没船の内部空間は「初めて科学的かつ体系的に探査された」とのこと。テラー号はキングウィリアム島近くの水深24メートルのところに沈んでいます。

Video: Parks Canada / YouTube

撮影された動画や写真は、テラー号が1840年代に棄てられて以降、初めてその内部を写したものになります。パークス・カナダは8月の初旬に計48回のダイビング、さらにROVによる探査を7回行なったとCBCは報じています。目に見える証拠の収集に加えて、研究者たちは沈没した船の3Dマップを作るためにもデータを集めているとか。

20の船室とコンパートメントを含む、合計して下甲板の90%が探査されたとCBCは報じています。その過程で人間の遺体は発見されず、また陸上に持ち込まれた調度品はなかったとのこと。

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Image: Parks Canada, Underwater Archaeology Team
船の下甲板にある船室内の寝台、引き出しと棚

探査された区画の中でも特に関心を集めたのはフランシス・クロージャー大佐の船室でした。保存状態のよい彼の執務室を撮影した映像には、彼が去ったままの状態の机が写っています。特にこの机は、書き物や地図など文書が残っているかもしれないと推測する研究者たちの興味をかきたてました。もしそうならば、遠征と最後の数カ月の間に実際に起きた出来事について重要な手がかりを与えてくれるかもしれません。

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Image: Parks Canada, Underwater Archaeology Team

今回の調査は奇妙な所見をもたらしました。プロジェクト責任者Ryan HarrisはCBCに対し、船のプロペラは動作中の位置にあるように見えたと答えています。しかし同時に船は棄てられて「激しい動きもなく海底に沈んだ」ように見えるとも語ったのです。研究者らはこの謎についての理由も探さなくてはなりません。

同チームはこの先の他の計画とともに、船室をそれぞれ探査することも計画しているので、やることはまだまだたくさんあります。もちろん、エレバス号の探査もありますしね。


Source: Canadian Encyclopedia, Parks Canada, CBC(1, 2), YouTube

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