Beatsプレジデント「これからは音質としても知られるブランドになるでしょう」:Solo Proハンズオン

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Beatsプレジデント「これからは音質としても知られるブランドになるでしょう」:Solo Proハンズオン
Photo: ギズモード・ジャパン

音楽のまとい方が、スタイルになる。

Beats by Dr. Dreブランドの最近の傑作が「Powerbeats Pro」なのは、異論ないでしょう。H1チップによる高音質に安定した接続性、そしてiOSプロダクトとの連携など、デビュー当時から評価の高い逸品です。モスグリーンも買えるようになりましたね〜。

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Photo: ギズモード・ジャパン

そんなBeatsから、開発に3年を要した最新作がリリースされました。「Beats Solo Pro Wireless ノイズキャンセリングヘッドフォン(以降、Solo Pro)」。Beats初となる、オンイヤーでのノイキャン搭載ヘッドフォンです。

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Photo: ギズモード・ジャパン


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Photo: ギズモード・ジャパン


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Photo: ギズモード・ジャパン


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Photo: ギズモード・ジャパン


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Photo: ギズモード・ジャパン


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Photo: ギズモード・ジャパン


2016年に登場した「Beats Solo3 Wireless」にアクティブノイキャンを追加しただけ…と思いきや、これが相当ディープに進化してまして。AirPodsと同じH1チップ搭載をはじめ、電源ボタンの代わりになる新しいギミックを搭載。

プレジデントのルーク・ウッドいわく「今回のBeats Solo Proは、Beats Soloが発売された2009年以来となる大幅なIDアップデート」になったとのこと。その重みを裏付ける要素はいくつもあります。見ていきましょうぞ。

電源ボタン、取っちゃいました(っていうか取れたんだ!)

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Photo: 山田ユウス型

まず僕が一番感動したのはここ。Solo Proには電源ボタンがなく、本体を開閉することで電源が自動でオンオフします

折りたためばオフになり接続が切れて、開けばオンになり自動で接続。ワイヤレスイヤホンなどはケースから出すと自動で電源オンになるものもありますが、まさかヘッドフォンでそれをするとは…! 言われてみれば、ヘッドフォンの場合は電源のためだけにボタンを配置しておくのって確かに煩わしい感あるなぁと。間違って操作しちゃいそうだし、ペアリングに使うにしても他ボタンで代用できそうだし。

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Photo: ギズモード・ジャパン

何より、ヘッドフォンのようなわりかし大きめのガジェット、ないし電化製品から、電源ボタンを取ってしまう。このデザインはすごくイノベーティブだと感じました。「なるほど、言われてみれば!」な発想です。

プレジデントのルーク・ウッドに、電源ボタンをなくすアイデアの着想元を伺ってみました。

電源の仕組みは、ノートパソコンにインスパイアされました。私たちはMacのチームとも一緒に仕事をしているので、開くだけで自動でオンになるMacBookを見てアイデアが湧き、それを活かしてみることにしたんです。

なーるほど。MacBookの場合は厳密にはスタンバイ状態なだけですけど、最近MacBook ProやAirは電源ボタン=指紋認証ボタンになってるから、電源ボタンの存在感がそもそも無い気がします。オンとオフを意識しないで良いっていうのはすこぶる便利だし、実際うちのMacBookも長いこと電源きってないし。このマインドをヘッドフォンに宿したのですね。

珍しい「オンイヤー」タイプのノイキャン、素直に効く

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Photo: ギズモード・ジャパン

ではでは、軽やかに本体を開いて電源入れ、サウンドや付け心地をチェック。サウンドの臨場感はかなりのもので、男性女性ともにボーカルは伸びやかな聴き応えです。定位感も充分。ビリー・アイリッシュの「bad guy」は、キックの減衰や息遣いまで追えます。

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Photo: ギズモード・ジャパン

側圧は首を左右に軽く振っても動かない程度にはしっかりめ。クッションが分厚いおかげでこめかみや顎関節への負担は少なめですが、頭頂部の押し付け感はやや気になりました。スライダーを伸ばし目にして、頭部よりも側圧で支えるようにしたいかなという感じです。

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Photo: ギズモード・ジャパン

推し要素でもあるノイキャンは、上位モデル「Studio3 Wireless」にも搭載されているピュアアダプティブ・ノイズキャンセリング(Pure ANC)を採用し、不必要に帯域をカットしすぎず、かつ環境によってカットする帯域を秒間約5万回の演算により自動調整しています。例えば駅なら40〜200Hz、話し声の多いカフェなら10k〜15kHzをカットする、といった具合。

モニタースピーカーから流す電車や飛行機の音に対してノイキャンを使ってみましたが、これはなかなかすごい。騒音と呼べるレベルのうるさいノイズであっても、元のうるささを忘れるレベルまでカットしてくれました。ソニーの「WH-1000XM3」ほどの静寂ではありませんが、ゼンハイザーの「MOMENTUM Wireless」よりはキャンセルします。外音取り込みモードも音質良好で、ルークいわく「競合製品にありがちな、無理にゲインをかけたような聞こえ方」ではない、自然な聞こえ方でした。

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Photo: ギズモード・ジャパン

操作は、右のイヤーカップをクリックするように押せば曲の再生や停止、通話対応などができます。左イヤーカップは下側にはノイキャンまわりを操作するボタンがあり、ノイキャンのオンオフや外音取り込みモードを変更可能。触ってみると右のイヤーカップだけクリック感があるので、すぐに左右がわかるようになってるのもナイスデザイン。

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Photo: ギズモード・ジャパン

にしても、オンイヤーヘッドフォンのノイキャンって相当珍しくないですか? 「WH-1000XM3」や、Bose「Noise Cancelling Headphones 700」、AKGの「N90Q」、Beatsの「Studio3 Wireless」だって、ほとんどがオーバーイヤー。ルークは「今後オンイヤーのノイキャンヘッドフォンも増えてくる」と見てるそうですが、実際使ってみるとオンイヤーノイキャンも悪くないですね。コンパクトでありながらノイズを消せるので、ヘッドフォンでノイキャンしたいけどオーバーイヤーの大仰さがどうにも…っていう人にはアリな選択肢かなと思います。首にもかけやすいし。

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Photo: ギズモード・ジャパン
充電端子はLightning

その他のスペックは、バッテリーが通常使用で最大40時間、ノイキャン使用で最大22時間。急速充電により10分の充電で約3時間の再生が可能。Siriにも対応し、他Beats製品と同様にオーディオ共有にも対応します。レイテンシーは音ゲーができなくはない程度で、体感としてはAirPods2と同程度。

スペックシートに乗らない魅力、確かに

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Photo: ギズモード・ジャパン

さて、本気のノイキャンワイヤレスヘッドフォンを探すとなると、ソニー&Boseの二大メーカーとの比較は避けられません。

じゃあBeatsはどの面でこの二大メーカーよりも推せるのか。言い換えると、Beatsならではのエッセンスとは何か。考えてみると、Beatsってメーカーというよりかはブランドなんですよね。「Beats by Dr. Dre」のブランド名が示すように、背景がクラブミュージックだったり、ファレル・ウィリアムスがアンバサダーになったり。すぐそばにファッションやカルチャーがあって、そうした目線から音楽を見てるのは、二大メーカーとは一線を画すところだと思うんですよ。

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Photo: ギズモード・ジャパン
止水ファスナー仕様のソフトケースが付属

ソニーやBoseが音質あるいは技術の追求の結果として新製品をリリースするのに対して、Beatsは一つのモデルを作品や表現の一種のように披露していて、ユーザーにブランド自身のスタイルを示しているように見えます。そんなBeatsが目指すところはどこなんでしょう? この質問に、ルークはこう答えてくれました。

今後のBeatsのブランドの在り方としては、Appleのテクノロジーをどう活かせるかが重要です。今回はAppleのテクノロジーで、最高の音質とノイズキャンセリングを実現できたと考えています。これからは、デザインやカルチャーといったすでに知られているBeatsのイメージに加えて、音質としても知られるブランドになるでしょう

そのバックボーンとして、Appleの厳しい品質基準やテストを経たものづくりができているということと、サポートの充実が挙げられます(Solo Proは2019年9月にスタートしたAppleCare+for ヘッドフォンの対象)。今までのミュージックカルチャーに加えて、音質と品質の面でもブランディングできると考えています。

Beatsはカラバリがいっぱいあってファッション的なのがクールだなと、今まではそう思ってました。同時に、それはどこか音質では大メーカーに叶わないという印象もあったんです。でも、ファッションと音質を両立させることは決して不可能ではなく、その助けになるのがAppleのテクノロジーというんですから、これは納得できる強みですね。だって、Appleがファッションとしてもテクノロジーとしても偉大なのは、もう皆ご存知でしょう?

総じて、僕が感じたBeatsの魅力は、クールな音楽体験の提供です。Solo Proは、僕たちと音楽の距離をさらに縮めてくれて、毎日を今よりも素敵なものにしてくれます。それを実現するテクノロジーがH1チップだったりノイキャンだったり、あるいは自動オンオフだったり。Appleがもつ最新のテクノロジーをBeatsなりの解釈でパッケージングしたのがSolo Proだとするなら、これはカルチャーとガジェットの交差点で生まれたヘッドフォンとも言えなくもない。

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Photo: ギズモード・ジャパン

まーでも、僕のいっちばんの推し要素は自動オンオフですね。ガジェットを起動させるという精神的な意気込みがなくなるだけで、ヘッドフォンってこんなに使いやすくなるのかと。スマホを使わないとき、毎回電源をオフにする手間暇を今までヘッドフォンでやっていたと考えれば(そこまでではないけども)、その重大さも察せるものがありません?

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Photo: ギズモード・ジャパン
左から、ブラック、グレイ、アイボリー、ダークブルー、ライトブルー、レッド

じゃ、まとめです。カラーはブラック、グレイ、アイボリーの基本3色と、アンバサダーをつとめるファレル・ウィリアムスとコラボした、ダークブルー、ライトブルー、レッドの3色が加わり、合計6色がラインナップ。コラボモデルは「Beats Solo Pro Wireless ノイズキャンセリングヘッドフォン - More Matte Collection - 」という名前になります。ライトブルーのビビッド感、すんごい好き。

価格は2万9800円(税別)。2019年10月30日(水)より発売予定で、すでに予約受付中です。合わせて、Solo3が10月末より2万800円(税別)に値下がりします。オンイヤーならではの手軽さで音質とノイキャンを味わえるのは、なかなかに生活に馴染んでくれますよ。

Source: Apple Japan, Inc.

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