イーロン・マスクの大麻吸引、尻拭いになぜか税金500万ドル(約5.4億円)投入

  • 18,811

イーロン・マスクの大麻吸引、尻拭いになぜか税金500万ドル(約5.4億円)投入
Image: PowerfulJRE/YouTube

うっかりさんのビリオネアを税金でカバーするのが、米国か…。

TeslaとSpaceXのCEOであるイーロン・マスク氏は去年、人気ポッドキャスト配信者ジョー・ローガン氏によるインタビューのYouTube配信中、うっかり大麻を吸ってしまいました。あいにくSpaceXは米軍とかNASAを顧客に抱えていて、セキュリティチェックも受けている会社です。そして大麻は、マスク氏が番組を収録したカリフォルニア州では合法ですが、米政府には嫌われています。米政府は大麻が嫌いすぎるあまりなのか、この件への対応で500万ドル(約5.4億円)もの税金を投入していたことが発覚しました。

みんな激おこ→前代未聞の監査へ

米空軍は当初、この事態にどう対処すべきかわからない様子でしたが、その後NASAのJim Bridenstine長官をはじめ、上層部が相当お怒りらしいことが伝わってきました。その後NASAはSpaceXとその競合であるBoeingに、安全面・企業文化面での集中的な監査を受けるよう要請したんです。その目的はNASAいわく、SpaceXとBoeingにおいて「薬物のない環境の徹底を含め、NASAの求める職場の安全基準を実現させる」ことでした。Politicoによると、SpaceXの監査には500万ドル(約5億4000万円)かかったのですが、そこになんでか税金が使われることになったそうです。

Politicoに証言した業界関係者によると、NASAがそんな安全とか企業文化の監査なんてするのは前代未聞で、SpaceXもBoeingも、監査って何!?と困惑しているくらいです。監査ではSpaceXの全レベルの従業員に面談があっただけでなく、「従業員を教育し、政府の協力会社に対する違法薬物禁止の厳格なガイドラインを遵守させる」ような啓発活動なんかもあったそうです。ロケットエンジニアが会議室に集まって「ダメ。ゼッタイ。」みたいなビデオ見たりしたんでしょうか? SpaceXは最初、その活動にかかった500万ドルを負担したんですが、NASAが後からその分SpaceXに支払ったそうです。Politicoはこれもきわめて異例というか、初めてじゃないかと言っています。

Boeingが巻き添えになったように見えるが…

NASAはPoliticoに対し、「発注当時予定してなかった対応が発生したんだから、その分追加で払うのは当然」みたいなことを言ったそうです。でも同じように監査されたBoeingは、その費用を自腹で出しっぱなしです。そもそもSpaceXのCEOが起こした騒動なのに、巻き添えを食った側はお金を払い、巻き込んだ張本人がお金をもらえるのは不思議ですね…。

黙ってたほうが賢明な状況

でもBoeingは、あえて突っ込まずにいるのかもしれません。だってBoeingがCommercial Crew ProgramでNASAから受注した金額は48億ドル(約5200億円)で、SpaceXの31億ドル(約3400億円)よりずっと多いんです。億だと金額が大きすぎて実感しにくいんですが、たしかに自分のお小遣いが5200円で弟のお小遣いが3400円なら、弟だけが5円追加でもらったとしてもいちいち「ずるい!」とか言う気にならないかもしれません。

それにSpaceXもBoeingも、2011年に退役したスペースシャトルの代替となる宇宙船を2017年までに完成する予定でしたが、計画が遅れています。スペースシャトル退役後、米国の宇宙飛行士が国際宇宙ステーションに行くときはロシアの宇宙船・ソユーズに乗ってるんですが、NASAとしてはその状況を早く終わりにしたいんです。米国産宇宙船の完成時期がまだ読めない今、NASAは「ソユーズの席を買い足さなきゃいけないかも」と焦っていて、SpaceXとは公の場でジャブを打ち合うほどです。なのでBoeingとしては、ヘタに文句を言ってやぶ蛇になるよりは、500万ドルなんてはした金だし、黙ってたほうが賢明と判断したのではないでしょうか。

「NASAがBoeingよりSpaceXを優遇してるなんて言ったら、この業界じゃ笑われますよ」サウスカリフォルニア大学の准教授で、トランプ大統領就任前に政権移行チームにも属していたGreg Autry氏はPoliticoで語っています。「Boeingはあらゆる段階で、(Commercial Crew開発の)プログラムで、より多く(お金を)もらっています。500万ドルよりはるかに、はるかに大きな額です。この文脈で500万ドルの話をすること自体が滑稽です。」

イーロン・マスクの失敗に税金投入、決めたのは政府

なのでBoeingは別にいいよって感じなのかもしれませんが、純資産211億ドル(約2.3兆円)と言われるマスク氏の失敗の穴埋めに税金投入というのは、庶民的にはわりとひどい気がします。ただし500万ドルかかる監査をしようと決めたのは、マスク氏じゃなく米政府です。Bridenstine氏は批判を避けるかのように、監査結果は「大した話にならないと思う」とCNBCに言っています。

「正直私は、両社が常に責任感を持って運営していると思うし、彼らの文化の安全性も守っていると思っています」とBridenstine氏。「これからロケットでの宇宙飛行士打ち上げに近づく中で、安全性はNASAだけでなく、民間のパートナーにおいても必要なんです。」

ともあれいろいろとお騒がせなマスク氏、タイで子どもたちを救った男性をロリコン呼ばわりしたことは相当後悔してるみたいですが、「生放送で大麻を吸ったこと」も後悔リストに入れていいんじゃないでしょうか? お金払って謝って和解、とできないのがやるせない感じなのか、それとも払う必要なくてラッキーなのか、どうなんでしょう?

Source: PoliticoWashington PostSpace NewsNew York TimesForbesCNBC

    あわせて読みたい

    powered by