デビュー時の派手さと比例して大いに弱点が指摘され、発売が延期になったことで、なんとなくスルー感ただようGalaxy Fold。しかし、スマートフォンの歴史に爪痕を残せるか、残せたかは、まだまだこれからが勝負。実際に使っているユーザーの反応から一般にどこまで広がっていくかが大きな鍵となります。
曲がるスクリーン、折れるスマホの先陣を切ったGalaxy Foldに未来はあるのか? 数日のレビューではなく、そこそこ使いつづけてみたらどうなの? Galaxy Foldとともに過ごして1ヶ月、米GizmodoのSam記者の意見を聞いてみましょう。
曲がる端末のパワーを見せつけてやる!と世に現れたGalaxy Fold。酷評からのアップグレードの後、ついに9月27日正式発売となりました。以来、僕はケースもカバーも画面保護シートもつけずに1ヶ月使い続けています。Galaxy Fold、2019年いちばん重要な端末ですよ。
当初の予定より5ヶ月発売を遅らせて、あれこれアップグレードされたわりには、見た目はオリジナルモデルと大差ない雰囲気。曲がるスクリーンの裏にスチールプレートが入り、ソフトもアップデートが入り、Androidのナビボタンが片手でも使いやすいように右に寄った(設定で左寄せも可能)。こんなもんです、大きな変更とはいえません。

見た目に大きくはないものの、1番重要なのはヒンジと曲がるディスプレイの間にあったギャップを埋めたということ。これでディスプレイ下に細かいゴミが入り込みません。実際、1ヶ月の使用で埃も糸くずもなーんにも入り込んでいないので、これは効果的な改良だったのだと思います。
また、スクリーンを覆っていたフィルムの面積を、端末のベゼルまで広げたことで、フィルムをはがそうとしたユーザーたちをブロック。いや、これはそもそも、フィルムは剥がしちゃダメと最初からもっと周知しておく、または剥がしにくい仕様にしとけって話ではあるのですが…。

これまたそもそもの話をさせてもらえば、みんなFoldを今までのスマートフォンと同等に扱いすぎたという問題があります。Foldの違いを羅列しておきながら、扱い自体は通常スマホと一緒というね。たとえるなら、馬から車に乗り換えたのに、車の上に鞍乗せてなんか変じゃね?って言っているようなもの。実際の端末とユーザーの間に思い違いがあった、これがSamsungが犯したGalaxy Fold最大の罪でしょう。
とはいえ、Galaxy Foldは思い違いさえ埋めればタフな端末ですということにはならないのですが。やろうと思えば爪で画面に折り目つけられちゃうし、防水じゃないし、アップグレードされてもなお砂が入ることもあるし。
じゃぁ、ダメじゃんと思いました? そうなんだけど、そうなんだけど考えてみれば、この問題点ってラップトップPCあるあるなんです。ラップトップをビーチに持って行こうってそもそも思わないでしょ? だって砂入っちゃうってハナから思うから。それです。そっち方向で考えると、なるほどFoldの扱い方も見えてくるわけで。
Galaxy Foldの懸念点でよくあがることといえば、画面の折り目とヒンジの耐久性問題。これも考え方次第。まず折り目は、画面を真正面から見ればほぼ見えない。ヒンジは(たぶん)Foldの中でもっとも耐久性のあるパーツ。

これらを踏まえて、Galaxy Foldという端末を理解した上で使えば、あらどうでしょう。かなりマルチユースな使い勝手のいい端末じゃないですか! 7.3インチの大スクリーンで移動中に動画を観れるなんてありがたい話です。ジムのランニングマシン上での時間も、これであっという間です。
Foldを使い始めて、お家用タブレットとKindleの存在感がかなり薄れました。正直、本やマンガ読むならFoldのサイズ感の方がいいとすら思います。バッテリーもち&ストレージ容量512GBも素晴らしく、Foldを使っていれば、外付けハードやモバイルバッテリーの必要性は感じません。
もちろん、まだまだ第1世代ですから完璧とはいえません。これからに期待した改良の余地は多くあります。長時間持ってても手が疲れないように、まずはもう少し軽くしてほしい。個人的には気にならないけれど、もう少し薄くしてほしいという声もあがっています。内側のノッチも無くしてほしいし、カバースクリーン(閉じた状態)でのセルフィー撮影もできれば嬉しい。そもそもカバースクリーン自体が、上下に余白ありすぎて無駄にデカい。想定された使用範囲(簡単なマップ表示やメッセ返信)で使っていても、キーボードの小ささにはイライラさせられます。

以上、あれこれ問題点はあるものの、ユーザーの1番の懸念点は結局その価格。あとはプラスティックスクリーン(スクリーンはFold 2でガラスになるって噂もあり)。価格が下がれば、これらの問題にも目をつむれるって人けっこういると思います。

1ヶ月使って何が言いたいかというと、折りたたみスマホGalaxy Foldにもっと好意的な目を向けてみてほしいということ。今までと同じスマホではなく、もっと広い目で見ましょうよってこと。僕は、折りたたみスマホがこれから5年以内にスマホ市場の20から25パーセントを獲得してもちっとも驚きません。
Galaxy Foldはまだ完璧な端末ではない。ただ1ヶ月使ってみて、今後に大きな可能性を感じたのも確かです。信じてみたくなる端末、それがGalaxy Foldです。