きっとこれから、長い付き合いになるのだから。
Samsungの折りたたみスマホ「Galaxy Fold」が、ついに、ついに、日本へ上陸。2019年10月11日10時から予約スタート、10月25日より販売が始まります。はじまりますよー!

「Galaxy Fold」については、それはもう色んなニュースが報じられてきました。どちらかというとネガティブなニュースの方が記憶にありますが、実際に発売が始まったこと以上のポジティブな報せもないよねって話ですよ。最近の明るい話は、iFixitが届けてくれましたね。
振り返ってみると、「Galaxy Fold」のプロダクトとしての品質やレビューについてはわりと結論出ちゃってると思うのです。なので、今回は折りたたみスマホの現在地みたいなものにスポットをあててハンズオンしてみようと思います。テーマはズバリ、開拓者!
きっとこれは、初めてのガジェット体験だ

「Galaxy Fold」を手にとって、パカっと開く。この一連の動作を、僕は今日人生で初めて行ないました。この感動の瞬間風速力は、想像の何倍も大きかった。多分、ディスプレイを折り曲げたことのない人であれば誰もが「ふぉお…!」ってなるはずです。ディスプレイ曲げちゃうんだもん。

しかし気になるのは、このパカパカ機構が単なる目立ちたがりのユニークアイデアなのかどうか。それについての結論は多くの記事で語られていると思うので、僕からは率直な感想を一言で述べるとしましょう。
ずばり、普通です。フツーです。
ディスプレイが曲がる。そんな常識破りを手のひらサイズに落とし込んできた「Galaxy Fold」は、1分くらい開いたり閉じたりタッチしたりスワイプしたりしてるうちに、スっと手に馴染んでしまいました。だって、普通に使えるから。

ちょっとした操作なら、折りたたんだ状態で操作できる約4.6インチディスプレイで充分。この細長い状態はとても手にフィットして、大画面が注目されがちな「Galaxy Fold」の隠れた魅力として充分機能しています。

そして、本腰入れたブラウジングや動画視聴時には、両手で開いて7.3インチのディスプレイを堪能。「Galaxy Fold」は片手で開く想定をしていないため、開く時は両手を使います(ただしその場にいた西谷編集部員ははやくも片手開けし始めていたので、慣れ次第かも)。一度開いてしまえば片手でのホールドは問題ありません。小さなタブレットを持つのと同じ感覚です。
言われてみれば当たり前の使い方でしょう? スマホが折り畳めるっていうのはすごく革新的な仕組みのはずなのに、いざ使ってみればなんのことはない、日常のワンアクションに落とし込めてしまったんです。これだけユニークなデバイスが、こんなにも普通に使えて手に馴染むなんて!
僕はってきり「折り畳めるからこそのコレがすごい!」な点に興奮するかと思っていたんですけど、インベーダーのように感じていた「Galaxy Fold」は、ちゃんとスマホだったんですよ。これって、折り畳みスマホがスマホの形態分岐として現実的なプランである証拠では? 良い意味で普通、まさにこの言葉が相応しい。
さぁ、「フォルダブル」を堪能しよう

もちろん、折り畳みの動きそのものにはずっと興奮しっぱなしです。Samsungは折り畳みスマホを「フォルダブル」と呼称していますが、このヒンジのフォールディングっぷり、物理感最高じゃない? ロゴが隠れるようになってる!

ヒンジ部をiPhone 8 Plusと比較。

本でいう小口部分は、まさにスマホ二台分の見てくれ。薄くはないけど幅が細くなるので意外と持ちやすいです。フォルダブルが一般化してくれば、ここの最薄競争も激化していくんでしょうか。

背面は片方(右側)がディスプレイとなるため、実質的な本体カラーはカメラ側の面と側面のみ。この色の区切り方も新鮮です。

ディスプレイサイズの違いは圧倒的。でもこれ、たとえばSNSの返信やカレンダーチェックくらいなら閉じた状態でも充分対応できるんですよ。なんならiPhone SEよりもディスプレイ大きいですし。

こう、歩きながらシュっと本体を取り出して、

パカっと開いて操作。ね、わりと現実的でしょう? ワンタッチ傘のように片手で開けたらもっと便利だと思ったけど、誤操作で開くと危ないかもね。こういうところも今後知見が溜まっていって、改良されていったらいいなぁ。

通話時の見た目は完全に普通のスマホ。
あと、多くの人が気になるであろう、ディスプレイセンターの折り畳みの線ですが、背景の色や照明で見え方が変わります。


黒背景だと目立つけど、普段使う範囲内で気にすることはほとんどないかな。タッチ時の違和感もありません。

あとは3アプリの同時起動なんて芸当も。7.3インチの大画面を活かしたユニーク機能ですが、いよいよタブレットめいた使い方という感じ。ちなみにポップアップ表示の機能を使えば、5つまでのアプリをフローティング・ウィンドウとして起動できます。バックにある3つのアプリと合わせて、最大8つの同時起動。さすがにわちゃわちゃかな。

フォルダブルフォンの現在地
一通り触りたくった結論ですが、「Galaxy Fold」は、アリです。この折り畳みスマホはベータ版的なプロダクトではなく、一般の人が普段の生活の中で活用できるデザインに仕上がっています。これまでの不具合の積み重ねがここに繋がっていると思うと、なんだか感慨深いものもありますねぇ。
ガラケーの進化を振り返ってみると、電話の子機めいたビッグボディからはじまって、手のひらに収まるポケットサイズに落ち着きました。やがてディスプレイの大型化にともない、フリップ式やリボルバー式など(大好きでした)、あの手この手でコンパクトさと大画面を両立させるべく進化してきましたよね。「Galaxy Fold」は、まさにその流れです。

今のスマホって、SoCとかベゼルレスとか有機ELとか、あとカメラ性能とか、スマートな体型を維持しようとするあまり、スペックアップできる要素が収斂してる気がするんです。まぁ、実際そうした進化が実用性に直結するのは事実なんですが、折り畳めるという仕組みと同じくらい目新しかったかと言われたらどうでしょう?
初めて人類がスマホと出会った時、僕たちは戸惑いと期待をもって、アレはできるコレはできないとスマホへの向き合い方を探求してきました。その中でスマホも進化しつつ、人類もフリック入力に慣れてきたり、あるいは「自分に必要なのはフィーチャーフォンだな」と、自身とモバイルの関係性を見つめ直した人もいたことでしょう。
フォルダブルは、そうしたモバイル史のなかで、人々のニーズとテクノロジーの交差点から生まれた分岐先のひとつです。ベゼルを削り、ホームボタンに別れを告げ、飛び出すカメラを仕込むにいたった人類。そこまでしてスマホを大画面にしようとするのか。よろしい。ならば過去に倣い、本体を折り畳むことでさらなる大画面の境地へ至ろうじゃあないか。ああ、革命者その名は、フォルダブル!
スマホのあたらしいカタチが、ここから始まる

折り畳みスマホと人類のお付き合いが始まれば、色んな新発見が出てくるでしょう。人は一日に何回スマホをパカパカするのか、開いた状態でどんな作業をするのか、あんまり開かない人はどういう使い方をしているのか、一番多い故障原因は何なのか。スマホケースもどうなるのか、謎ですよね。
折り畳めようになっただけで、多くの新規データが採集できるようになります。だって「人は折り畳みスマホをこう使う」なんていう知見は、ほとんど溜まってないんですから。データが蓄積されれば、もっと最適化された、あるいは状況やニーズに特化した折り畳みスマホが生まれるはず。メーカーごとに特化部位やデザインを変えて、折り畳みをスマホを開拓していくはず。この進化を僕たちは、携帯電話の歴史においては何度か経験しています。そのたびに、ワクワクと思い出があったじゃあないですか。今、それと同じ道が見えているのです。
偶然か、Androidの父アンディ・ルービンはテレビリモコンのような細長〜いスマホを作ろうとしています。ソニーも、Xperia 1なる21:9ディスプレイのシネマ視聴特化なスマホをフラッグシップに据えています。大画面が流行る影で、細長ディスプレイが密かなトレンドになりつつあるんでしょうか? これもまた、人々のニーズや暮らしから発生したスマホの進化のひとつ?
ま、その大画面と細長スタイルを叶えてしまうのが、「Galaxy Fold」なんですけどね。2種類のディスプレイサイズを1つのスマホで賄えるということは、いわばタブレットとコンパクトスマホを2台持つようなもの。現状は2台買うほうが安いですけど、数年後はどうなるやら。

空を飛ぶ車ほどではないにせよ、ちょっと遠めの未来アイテム感があった折りたたみスマホが、いよいよ実際に購入できるようになりました。ここまでの道のりが簡単なかったことは、読者の皆さんならばご存知のはず。フォルダブルの翼はついに羽化し、多くの人たちを驚かせたり、時には戸惑わせたりするでしょう。その翼に未来をのせて、ハロー、折り畳みスマホ!
Source: Galaxy Fold