やっぱり洋服のスマート化はまだもう少し先なのかな。
2017年に初めて発売されたLevi's(リーバイス)とGoogle(グーグル)コラボのスマート・デニムジャケット「The Levi's Commuter Trucker Jacket with Jacquard by Google」。あれの第2弾がきました。たいして(まったく)普及はしていないものの、2年たった今、ウェアラブルファッションはどこまで進化したのでしょう。米Gizmodoのレビューをどうぞ。
スマートジャケットをレビューするにあたって、いろいろ妄想していました。これを着て地下鉄に乗って帰宅。アパート前に来たら袖口をダブルタップして、カニエの『Touch the Sky』をプレイして大きな声でただいまー!からのスマートジャケットお披露目です。が、現実は違いました。アパート前で袖口をダブルタップした瞬間、スマートフォンのGoogle Assistantから「SpotifyがGoogle Nest Hubにインストールされていません」。慌てて、ジャケットと連動するGoogleのJacquardアプリを開いて、Phillips Hue照明つけようと家にはいると、パートナーがすでに帰宅済みでそもそももう明かりはついていたという。何バタバタしてるの?という雰囲気で帰宅。とりあえず、レビュー初日はこんな感じでした。
Levi's Trucker Jacket with Jacquard by Google

これは何?:Googleのスマートジャケット第2弾
価格:200ドル(シェルバ裏地付きは250ドル)
好き:機能追加、ドングルが小さくなった、ジャケット自体かわいい
残念:まだまだスマートフォンそのものに頼り過ぎ
初代モデルと同じく、新モデルもタッチセンサー袖口がついたデニムのジャケットにかわりなし。プログラムしておくことで、袖口タップにあれこれタスクを持たせることができます。第2弾での大きなアップデートは、ドングルが小さくなったこと、Google Assistantコマンド、カメラコントロール、ライドシェア系通知が追加されたこと。もちろん、初代から引き続きで各種通知や音楽コントロールもできます。さらに、お値段は200ドルとちょっと安くなりました。
ドングル小型化、機能拡大、値下げ、どれも嬉しいアップデートではありますが、正直なところ、まだまだ使える領域にはありません。日常の幅広いタスクをこなそうと思えば、結局袖口では済まず、スマートフォンやスマートウォッチを取り出す場面が多いからです。
まず、プログラムして袖口(左)で使えるタスクですが、これ3つだけです。3つしか設定できません。例えば、袖を外側へこすって音楽再・停止。内側にこすってカレンダーチェック。ダブルタップで地図のナビを聞く。これでもう手一杯、袖一杯です。あとは、デフォタスクとして、袖口を覆うと全機能でミュートする。これだけ。
通勤・通学時間中だけなら、これでもサバイブできるかもしれません。ただ、1日そのへんお散歩しよっかなーとなれば、もうタスク不足。結局はポケットにいれたスマホを取り出して、あれこれしはじめることに。スマホを手に持って動くなら、もう袖口のことは忘れて結局スマホで操作してしまうというね。なるべくスマホは見ないように過ごそうと思えば、家を出る前に1日の流れを予習して、事前にタスクを袖に組んでおかねばなりません。それは面倒くさい上に、結局、歩いているうちにタスク不足でスマホ取り出すことになりますし。

タスク3つに加えて、ドングル=タグに通知を設定することができます。ただ、これも3つだけです。例えば、バイブ&LED青点灯で、設定しといた3人の誰かからのメール通知。緑点灯で、ライドシェア(現時点ではUberとLyftのみ対応)の車が近くに来ている通知、袖こすったら車の種類や色、ナンバープレート読み上げ。そして、ピンク点灯で、スマートフォンとの接続が切れた通知(つまり、どっかにスマホ起き忘れている)と、まぁこんな具合に。
いいっちゃいいんですが、これ、実際に使っていると、袖のタグよりも先にApple Watchの通知、さらにApple Watchより先にスマートフォンの通知がなることがあるわけで。スマートフォンで先に気づくなら、その後に袖が光ってもねぇ。特に、ライドシェアを呼ぶときって、アプリの地図上で車の位置確認していますから、袖に言われなくても気づくかなと。あとは、ピンク点灯でスマホ忘れてるアラートがきたのですが、地下鉄内で何かの拍子に接続が切れただけでした。結果、スマートフォンを持つ手の袖口がピンクに光って「忘れてないのになぁ」と思うだけ。つまり、説明だけ聞くと悪くないのですが、実際に使うと良くもないという。

さらに、上記の機能を使うためには、関連アプリが起動された状態になければなりません。Spotifyで袖コントロールで音楽を聞こうと思えば、事前にスマートフォンでSpotifyとJacquardを起動しておかねばなりません。袖でセルフィー撮ろうと思えば、もちろんカメラアプリが起動済みであることが条件。
レビューの1週間、どこに行くにもスマートジャケットを着て行きましたが、とにかく設定をいじるためスマートフォンをポケットから取り出すことが多かった。これじゃ、スマートフォンを使う回数が減るというスマートジャケットの意味がなく本末転倒です。
もちろん、設定するタスクによっては、袖ササッで予定確認できたり、曲をスキップできたりとかなり便利です。めっちゃクールです。友達に「袖ささっでみんなでセルフィー撮ろう!」と言いたくなるほどにはクールです。友達には少々うざがられましたけど、クールはクールです。

200ドルだして、スマートジャケットを買う意味はあるのか?と聞かれると、ツライ。ジャケット自体はかわいいです。でも、スマート機能がない普通のLevi's Trucker Jacketは65ドルだからなぁ。充電の必要も、洗濯するときタグ取り忘れる心配もないしなぁ。ちなみに、充電持ちですが最初にフル充電し、レビュー期間1週間の終わりにはまだバッテリー70%残ってました。なので、充電の必要はありますが、頻度は高くありません。200ドルから250ドルの予算があれば、 Samsung Galaxy Watch ActiveやFitbit Versa 2に手が出せる。ヘルス機能がついているぶん、こっちのがお得。
でも、まったく使えないかと言われればそうでもない。歩いてる途中に袖ササッで、音楽コントロールや道確認や通話を受けるのは、もちろん使えますし、使いますし、使いたい。ジャケット着てる時は、ね。そう、これがスマートアパレルの問題点。毎日デニムジャケットを着たくない。季節やシチュエーションに応じて、ジャケットを変えたい。となれば、習慣化して袖ササッができないと落ち着かない!となることはないかと。

レビュー期間中はぞんぶんジャケットを楽しみました。人に会うと、ついジャケットを見せびらかしてしまいました。ただ、現実問題として、私には200ドルを遊ばせる余裕はない。機能が限定されたジャケットに200ドルだすなら、ポケットからスマートフォンを取り出す日常を選びます。それが本音ですね。
まとめ
・ドングル小型され200ドルに値下げ
・Google Assistant、ライドシェア系通知、カメラコントロールなど機能拡大
・初代よりは使えるけれど、まだまだ実用性はない
・日本での発売は10/5(土)から