Libraに再び暗雲。
VISAやMastercardなどが、Facebookが主導する仮想通貨「Libra(リブラ)」ネットワークへの参画を見直していると報じられて数日後…、PayPalがLibraから脱退することを表明しました。
米Gizmodoに送られた声明には「現時点で、PayPalはLibra Associationへの今後の参画を控えることを決定しました。私たちは、今後もLibraの描く希望を支持し続け、将来、共に取り組む方法について、継続的に対話をしていきたいと思います」とあります。
グローバルオンライン決済システムPaypalは、Uber、Spotify、VISA、Mastercardといった大手企業の中に名を連ねる、Libra協会の創設メンバーでした。
Libra協会の最初の会合が数週間後に迫っているにも関わらず、関連する28グループからの具体的なサポートがほぼ得られていないという噂もあります。今週時点では、最低1000万ドルの投資が必要なリブラ・インベストメント・トークン保有者もいなければ、投票してプロジェクトにコミットした人もいなかった模様。
今のところ、PayPalの脱退声明がLibra協会にどんな打撃になるか、Libraの2020年開始という目標にどれだけ影響が出るかは定かではありません。グループのポリシーとコミュニケーションの責任者であるDante Disparte氏から米Gizmodoに提供された声明では、その疑問点についてはあまり触れず、その代わりに「今の時代がもたらす好機」において、Libraのサポーターは「大胆さ」「不屈の精神」に集中して欲しいとのこと。暗号資産のスキームの話というよりは、スター・トレックの冒険談のようですよね。
声明の全文は以下のとおりです。
Libraのような野心的な試みを成し遂げるには、ある種の大胆さと不屈の精神が必要です。物事を正しくし、金融包摂を改善するための、今の時代がもたらすチャンスなのです。この旅は長い挑戦になるでしょう。サービスを提供する金融機関の支持ではなく、ユーザの支持を広げていくための変革というのは難しいものです。そのミッションへのコミットメントは、私たちにとって何よりも重要です。このコミットメントの欠如については、後からではなく、今すぐ知っておくべきです。
Facebookは、6月にLibraを発表して以来数多くの炎上を経験し、今回のPayPalの撤退は、すでに揺れ始めている基盤の最初の亀裂のように感じます。
Facebookの暗号資産の計画は、インド、中国、EU、および米国政府の複数の支部や、銀行や独占禁止当局による精密な調査を促しています。また、企業および非営利のLibraサポーターの「暗号資産マフィア」は、このプロジェクトが進むことで、世界中の政府から厳しい規制監視下に置かれるのではないかと心配の声があがっています。
暗号資産の開発以外でも、Facebookは、連邦取引委員会や複数の州からの同様の調査に加えて、DOJ(アメリカ合衆国司法省)の独占禁止法調査にも直面していると伝えられています。
Libraは世界各国で暗号資産として認められるかどうか謎な上に、仮に認められたとしてもマネーロンダリング規制の対象となる可能性は高いのです。