Apple(アップル)の手が入り、良いヘッドフォンになりました。
わずか4年前、私たちはBeatsについて皆さんに警告しました。古いSoloヘッドフォンを分解してみたら、品質が悪く余分な金属片のせいでヘッドフォンが少し重くなっていたのでした。失礼しちゃいますよね。Beatsが時間をかけて新しいモデルをリリースしたとき、私たちは値段が高いだけでなく薄っぺらいBeatsに苛立ちを感じたものでした。
しかし今、BeatsのヘッドフォンはAppleのインダストリアル・デザインチームの保護の下で生まれ変わりつつあります。この復活は決して安くはありませんが、印象的です。
旧型に似ている
新しいオンイヤーBeats Solo Proは、目を細めて見ると、古いオンイヤーBeats Solo 3 Wirelessとソックリです。丸いイヤーカップには小文字の「b」のロゴが刻印されており、古いモデルで見られたようなすっきりしたヘッドバンドもあります(新型Beats Solo Proの重さは255gで旧型は212g強)。
今回新しくなったのは、左右を繋ぐアルマイト処理された2つのアルミニウム部品と、従来のBeats Soloにはなかった厚みです。アルミニウムは、iMacのベースに使われているのと同じ素材です。でもこれは偶然ではありません。Solo Proは、Appleの完全な監督下で作られた初めてのBeatsヘッドフォンだからなのです。Beatsいわく、開発には3年かかったとのことです。
Beats Solo Pro

これはなに:アクティブ・ノイズキャンセリング機能付きワイヤレス・ヘッドフォン
価格:29,800円
気に入った:堅牢なデザイン、安定した音質
気になった:大きな頭にはキツい装着感、値段が高い
Appleはもっと早くテコ入れすべきだった
この新しいBeatsを1週間使ってみて、どうしてAppleがもっと早く介入しなかったのか不思議に思いました。実際、AppleはBeatsブランドを5年間も所有しており、Appleの機能がいくつかBeatsラインアップに採用されているのを見てきました。たとえば2017年、Beats Studio 3 Wirelessヘッドフォンは、AppleのAirPodsでデビューしたのと同じW1チップが組み込まれました。このおかげで、Appleデバイスとのペアリングが簡単になり、全体的に信頼性が向上しました。ですが、Studio WirelessとSoloのデザインは、前のApple Beatsヘッドフォンと酷似したままだったのでした。
そして今年初め、BeatsはPowerbeats Proで未来を垣間見せてくれました。それはAppleのデザインチームがBeats製品を刷新した初の例でした。そしてこの新しいSolo Proは、ヘッドバンド型ヘッドフォンとして初めてAppleが介入した製品となるわけです。
Appleは良い仕事をしたと思います。Beats Solo Proは、どんなヘッドホンにも負けない頑丈さを備えています。床に落っことしても100の破片に砕け散ることはありません。それにヘッドバンドはあり得ないほどネジることができ、切れることはありません。またこのSoloヘッドフォンが、余分な金属片で重みや厚みを偽ろうとしているだなんて思えませんし、自重で充分な重さを感じられます。とはいえ長いこと被っていても首が痛くなるほど重くはありません。

頭のデカい人にはやや窮屈
一方、Beats Solo Proを装着するのは楽しいものです。このSoloヘッドフォンは初めてアクティブノイズキャンセル機能(ANC)を備えています。これは耳を覆うタイプのStudio 3 Wirelessで使われているのと同じ技術で、業界リーダーのSonyやBoseのようなモデルのノイズキャンセリングほど強力ではないものの、BeatsのANCは音量を上げずに地下鉄でポッドキャストを聞くのに充分機能します。
また、ヘッドフォンのイヤーカップのデザインを一新したことで、ノイズがかなり遮断されています。それらはクッション性が高いので、長時間装着しても快適です。私はBeats Solo Proが少し窮屈に感じることに気付いたのですが…それは、私の頭が大きいからかもしれません。巨大な頭を持つ人々は、これを身に着けるのに苦労するかもしれないと言って間違いないでしょう。耳あてを完全に広げても、私にはまだ少し小さいように感じたのでした。
開けば電源がONという簡単さ
ヘッドホンを使うのは簡単です。畳まれたヘッドフォンを開けば電源が入るので電源ボタンがなく、ただデバイスに接続するだけです。記者のテストによりますと、接続性はiOSデバイスとAndroidデバイスの両方でシームレスでした。右耳カップには、滑らかな音量調節と中央に再生コントロールボタンが付いています。左耳カップにはノイズキャンセリングのレベルを操作するボタンもあり、周囲の音を聞きたい場合に役立ちます。
新しいH1ワイヤレスチップのおかげで、常時オンのマイクを使ってSiriを呼び出したり、音楽を制御したりすることもできます。たとえば「ヘイSiri、ダフト・パンクを流して」とか。

音質が改善された
信じられないかもしれませんが、Beats Solo Proも音が良いんです。Beatsはベース音が重すぎる傾向があり、それが鼻についていたので、これには驚きました。ですがチューニングはそれほどではなく、よりバランスのとれたサウンドを提供しています。
オットマー・リーバートの『Barcelona Nights』は、以前のBeatsよりも濁りが少ないように聞こえました。同様にポスト・マローンの『Goodbyes』は良い意味で跳ねる感じが減り、TOTOの『Africa』はシンプルに夢のように聞こえました。もっとも、名曲『Africa』は、どのように聞いても夢のように聞こえるんですけどね。
結局のところ、私はBeats Solo Proが好きになりました。問題のあるヘッドフォンを作った過去がある中、明るい未来に向けて充電してきた同社は、いま曲がり角に来たように感じられます。だからこそ、Beats Studioフラッグシップが避けられないアップグレードを施されたことに興奮しています。
唯一の問題
だたひとつの問題は、新しいBeatsが古いBeatsより高いことです。Solo Proの価格は29,800円で、これは素晴らしいSony WH-1000XM3、それとイカしたJabra Elite85hと同じ。また、明らかに新たなProモデルほど良くはない、Beats Solo 3 Wirelessヘッドフォンより100ドルも高くなっています。
ヘッドフォンが高いことに不満ばかり言っているのはわかっているものの、やはり29,800円は大金ですし、こうした値上げにはウンザリしています。BeatsはSoloのラインアップを刷新しても価格をそのままにすることもできたでしょう。でもそうではありません。Appleはどうやって、アチコチに穴を開けずに財源を充実させてゆくのでしょうか?

それでもBeatsはこのヘッドフォンをたくさん売ることになるでしょう。ポンと万券を3枚出せる人なら、きっと喜んで使うでしょう。これは良いヘッドホンです。Beatsは良いヘッドフォンを作りました。
まとめ
・スタイリッシュなデザインと驚くほど頑丈な作り。
・頭の大きな人には少々キツいかもしれませんが、快適。
・バランスの良い音質。
・100ドル余計に高すぎる。
Source: Beats