SpaceX、スターシップの打ち上げ成功なるか。
SpaceXの創業者でCEOのイーロン・マスク氏は、テキサス州にある同社の開発施設で、大型宇宙船「スターシップ(Starship)」の試作機を6ヶ月以内に打ち上げる計画を発表しました。
まずは1〜2か月以内に、全長164フィート(約50メートル)で200トンの比較的小さめの試作機「Mk1」の無人飛行を開始、12マイル(約19.3キロメートル)上空を飛行し、地上に戻ってくることができると話しました。マスク氏はメディアに対し、「離着陸の様子を見られるのは、とても素晴らしいことだと思う」と語っています。
アメリカで9月28日にSpaceXの初代「Falcon 1」ロケットと並んで展示された試作機は、カーボン複合材やアルミニウムではなく、ステンレススチールでできています。ArsTechnicaによれば、「例外的な熱特性」と低コストが理由としています。
極端に低い温度でも、ステンレススチール301は脆くなりません。 大気圏再突入の非常に高い温度においても、摂氏1500℃に達するまで溶けることはありません。したがってスターシップは、ガラスのような熱タイルの遮熱材のみを必要とします。もう1つの利点はコストです。炭素繊維材料の価格は1トンあたり約13万ドル(約1400万円)ですが、ステンレススチールは1トン当たり2,500ドル(約27万円)で販売されています。
マスク氏は「ステンレススチールは、設計のために下した最良の決定」と語ります。
Lifting lower section of Starship pic.twitter.com/bfW17i469a
— Elon Musk (@elonmusk) 2019年9月26日
SpaeceXが開発するロケットの呼称である「スターシップ(Starship)」はつまり宇宙船(上部ステージ)、「スーパーヘビー(Super Heavy)」はロケットブースターです。この2つの主要パートの全長は387フィート(約118メートル)で、220,000ポンド(約9万9790キログラム)を運ぶことができるそうで、今回発表された計画では、6ヶ月以内に軌道に打ち上げる予定です。
「ワイルド」なツイート癖で著名なマスク氏ですが、最終的にスターシップで火星に移住者を連れて行くと強気です。
マスク氏は、「来年には人を乗せて飛ぶところが見られるかもしれない」「ただし、飛行中の乗客の命をつなぐための酸素や食べ物、水をどうするかについては引き続き研究中」と話しています。
ニューヨーク・タイムズ紙によれば、
専門家は、スターシップの技術は実現可能な領域にあり、実現不可能な物理学的要素、現在の科学では夢物語のような技術的進歩は必要ないと述べている。実際、スターシップは数十年前から研究されていたが、これまで実装されなかった多くのアイデアを採用している。SpaceXが今一番頭を悩ませていることは、Starshipで儲ける方法だ。マスク氏は、現在の人工衛星を打ち上げる必要一式よりも、遥かに規模が大きいことに同意している。マスク氏は今のところ、Starshipが満たす市場はそれほど多くないことも認めている。
スターシップの考えられる用途としては、SpaceXの人工衛星を用いてインターネット環境を構築する「Starlink(スターリンク)」プロジェクト(天文学者は宇宙ゴミを生み出す可能性を心配中)への貢献や、超高額な海外旅行等がありそうです。
マスク氏はメディアに対して、スターシップでニューヨークから東京へ30分で行けるようになると語っています。「基本的に、I.C.B.M(大陸間弾道ミサイル)だ。I.C.B.Mほど速く到達しないが、弾道ミサイルから核爆弾を抜いて着陸できるようにするだけ」
また、「未知の領域の進化により、これらを正確に予測するのは難しい。しかし物事は非常に速く進んでいる」とも語りました。