スイスと日本のテック事情。街中で見かけた違うところまとめ

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  • author K.Yoshioka
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スイスと日本のテック事情。街中で見かけた違うところまとめ
Photo: ギズモード・ジャパン

とても新鮮でした。

先日ギズモード・ジャパンは、スイス大使館の招待でスイスのテック企業や大学などを訪問し、スイスのテック事情を視察してきました。国レベルでテックを推進しているスイスは、街を歩いているだけでも日本との違いを感じるほど。では日本とは一体何が違うのか? スイスの街で発見したテック事情をまとめてみました。

駅には改札がない!?

Video: ギズモード・ジャパン/YouTube
駅から外に出るまでを撮ってみました(途中でもたついてるところはカットしてます)。

スイスに到着してすぐ気になったのが、電車に乗るとき。

空港に到着してから、電車で都市部へ向かいます。空港のロビーからアテンドの方についていって、あれ、改札は?っと思ってるうちにいつのまにか駅のホームについてました。そのまま疑問を持ちながら、目的地に到着し、下車。外に出るときも改札はなし。

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Photo: ギズモード・ジャパン
アプリの画面

アテンドの方に聞いてみると、スイスの駅には改札がないんだとか。その代わり、料金は駅にある券売機のチケットだったり、アプリで支払えるみたい。アプリは乗り換え案内と同じような機能があり、目的地までの最適な行き方を調べてくれて、かつ一番安い料金をさがしてくれるんだとか。んーとても親切。

となると無賃乗車する人がいそうなもんですが、電車ではたまに検札が行なわれ、この時にチケットもしくはお金を払っている証明をしないと高額な罰金を取られるんだとか。お互いの信頼の上で成り立っているシステムなんですって。

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Photo: ギズモード・ジャパン
一般道を挟んですぐそこが駅。柵もありません。

これ実際、すごく便利。日本の駅だと、改札で人が混んだり、チャージし忘れた人でつっかえちゃうこともよくありますからね。日常的すぎて何も思わなかったけど、改札がないと人の流れがかなり流動的で、ストレスを感じませんでした。ちなみにスイスの初乗り運賃は、日本円にして400~500円程度とお高めです。

自転車と電動スクーターのある街

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Image: marekusz / Shutterstock.com

スイスはとにかく自転車が多くて、街中に駐輪場がたくさんありました。というのもスイスは自転車大国を目指しており、道路に自転車専用レーンを設けたり(昨年には自転車専用レーンの整備する国民投票が可決!)、電車内に自転車を置くスペースが用意されているんです。

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Photo: ギズモード・ジャパン
電車内の自転車専用スペース

そういえば自転車シェアリングのステーションも多く見かけました。健康に良いのと同時に環境にも良いと考えれば納得の施作です。電車の初乗り運賃も高いしね。

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Photo: ギズモード・ジャパン

と同時に目についたのが、アメリカの企業LimeやBirdの電動スクーター。僕が行った時にはステーションを目にすることはなく、街のいたるところに放置されていました。アプリで決済すればすぐ乗れて、途中で乗り捨てることもできるんだとか。規制では、車道での運転のみ、最高時速は20kmでヘルメットは必要なしとなっています。

JETROによれば電動スクーターはヨーロッパでもかなり広まっていて、フランス、スペイン、ベルギーをはじめとした11カ国で導入されています。スイスでもだんだんと広まっているようで、2018年には2万6000台弱の電動スクーター・電動ジャイロボードが輸入されたんだとか。今回は時間がなくて乗れなかったのだけが残念でした。日本でも欲しい、切実に…。

タクシーがTeslaのModel Xだった

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Photo: ギズモード・ジャパン
写真がショボショボですみません。

スイスの首都ベルンの郊外での食事の帰り道、お迎えにきたタクシーがTeslaのModel Xでびっくり。翌日も街を歩いていると、Teslaのタクシーを見かけたのでちらほらあるみたいです。試しに検索して見ると、いくつかTeslaの配車をしているタクシー会社があったので、スイスではわりとポピュラーなのかもしれません。

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Photo: ギズモード・ジャパン
人生初のModel Xでした。

スイスで2019年上半期に売れた車の順位を見ると、第4位がなんとTeslaのModel 3。試しにTeslaの公式サイトでスーパーチャージャー、デスティネーション チャージングの数を調べてみると、日本はそれぞれ21箇所、146箇所なのに対して、スイスは19箇所271箇所でした。忘れてはならないのが、スイスの国土が日本国土の約一割の大きさ(約4万1290km2)ということ! そりゃ普及するわけだ…。陸続きで他の国にもいけますしね。

トイレにいいね!ボタンがある

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Photo: ギズモード・ジャパン

これは帰りのジュネーブ空港のトイレでみつけたもの。空港側がトイレの満足度を測るためにペーパータオルホルダーに設置してるものみたいです。評価するには、顔文字で「満足」と「普通」と「不満」の3つに分かれたボタンのうち、どれかひとつを押すだけ。押したら赤いライトがピコっと光ります。

日本では「いつも綺麗にご利用いただきありがとうございます」みたいな綺麗に使うことを促すような張り紙がポピュラーな一方、能動的にトイレを評価できるシステムも合理的でいいですよね。ボタンを押すだけなのもとても簡単。

スイスのApple Store、日曜日はお休みです

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Photo: ギズモード・ジャパン

スイスのチューリッヒに到着したのが日曜日。街の散策をしてると現れたのがみんな大好きリンゴマークのお店! が、残念ながらお休みでした。スイスでは基本的に日曜日はほとんどのお店が閉まっていて、それはApple Storeもしかり。

ヨーロッパなら他の国でも日曜日はお休みなのかな? せっかくなら中も見てみたかったけど休養も大切だ!


街中のさまざまなテックをみて思ったのが、とても合理的な選択をしているということ! 駅の改札にしても、自転車や電動スクーターの普及にしても、みんなが住みやすい社会を目指した上で導入しているように感じました。もちろん、問題がないわけではありません。たとえば、電動スクーターは禁止されている歩道での走行が問題になっています。でもまずはハードルをさげて第一歩を踏み出し、問題を明らかにしてからどう改善していくか考えることも重要だと思うんです。

Source: swissinfo.ch(1, 2, 3JETRO, Wikipedia, CleanTechnica, Tesla
取材協力:スイス大使館