名付け親、募集中!土星で新たに発見された20の衛星

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  • author George Dvorsky - Gizmodo US
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  • Rina Fukazu
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名付け親、募集中!土星で新たに発見された20の衛星

さらに3つの分類に。

天文学者らによって、土星で新たに20個の衛星が発見されました。これで土星の衛星の数は82となり、木星を超えて太陽系のなかでもっとも多くの衛星を有することになります。

国際天文学連合(IAU)の小惑星センターの発表によると、今回は20個の衛星が同時に確認されたとのこと。調査に携わったのは、カーネギー研究所のScott Sheppard氏、UCLAのDavid Jewitt氏、ハワイ大学のJan Kleyna氏。カーネギー研究所のプレスリリースによると、ハワイのマウナケア山頂にあるすばる望遠鏡で観測されたとのことです。

昨年、木星で12個の惑星を発見するのに携わったSheppard氏。この時点で、木星の惑星の数は79個あることがわかっています。米Gizmodoに対してメールで次のようなコメントを寄せてくれました。

惑星の衛星を新たに発見するのは簡単ではありません。非常にぼんやりしていて、長年にわたって確実な軌道を追跡するのが困難であるためです。惑星を発見するのに世界で最大の望遠鏡を複数使い、長年の新発見を結びつけるのにコンピュータアルゴリズムを更新した結果、土星を周回していることから土星の衛星であることを正式に決定しました。

今回発見された衛星はかなり小さめ

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黄色のレチクルのあいだにある新たな衛星のうち2つ
Image: Scott Sheppard

新たな衛星を発見するのになぜ時間がかかるのか聞いてみると、ほの暗いものだからだと同氏は答えました。「土星はとても遠いため、周りにある数マイルほどのサイズの衛星しか見つけられない」といいます。彼らは、土星の周りに1マイル以上の大きさの惑星が100個以上ある可能性を疑っているようです。「ただ、より小さいものや暗いものを発見するには将来的に大きな望遠鏡が必要となります」と、Sheppard氏。

今回新たに発見された惑星は、直径およそ3〜4kmとかなり小さめ。また20個の衛星のうち3つは順行軌道(土星と同じ方向に回転)、17個は逆行軌道であることがわかっています。どれも土星からは比較的遠く、順行軌道のうち2つの惑星は、軌道を1周するのにおよろ2年かかり、残りの18個は約3年かかるといいます。(ちなみに月が地球を一周するのは27日。)

現在のところ「S5613a2 m」と呼ばれるこれらの惑星のなかには、もっとも遠いもので、土星の周りを公転するのに1,413日(3.87年)かかるものもあるのだそう。

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新たに発見された土星の惑星3つのグループ(青、緑、赤)
Image: NASA/JPL-Caltech/Space Science Institute(土星)、Paolo Sartorio/Shutterstock(背景)

順行軌道の衛星のうち2つが属するのは、イヌイットグループ(上の画像の青色の線)。イヌイット神話から名付けられました。イヌイット衛星は、大きな惑星あるいは物体の残骸の一部ではないかと考えられています。残る順行軌道の惑星は、ガリックグループ(上の画像の緑色の線)。17個の逆行衛星はノースグループ(上の画像の赤色の線)。イヌイット衛星と同様、もともとは大きな物体で、衝突か何かをきっかけに欠片となった可能性が示唆されています。

土星は地球から遠く、周辺にある衛星を発見するのが困難であることは先に触れました。Sheppard氏は米Gizmodoの取材で次のようにコメントを残しています。

今回の発見は、時間をかけて土星がどれほどの衛星を得たかを示しています。新たに発見された衛星は、土星から遠く離れた傾斜軌道にあるため、土星の形成プロセスの直後に引き寄せられたと考えられます。こうした衛星は、惑星の形成を助けた天体の残骸であることから、研究によって惑星が何から形成されたかを知ることができます。

Video: Lunartic/YouTube

最後に、なんとこの20個の衛星の名前は一般公募中となっています。よし、ここは自分のペットの名前でも...と意気込みそうになった方はごめんなさい。基本的には、神話上のグループに沿ったものである必要があるのだそうです。詳細は、コンテストページ(英語)に記載されているので、気になる人はぜひ。