錯視じゃないよ! 触れて聴ける3Dホログラムが作られる

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  • author Andrew Liszewski - Gizmodo US
  • [原文]
  • 岡本玄介
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錯視じゃないよ! 触れて聴ける3Dホログラムが作られる
Image: Guardian News/YouTube

音波の圧でビーズを浮かせて操作し、それをプロジェクション・マッピング。

映画『スター・ウォーズ』のシーン「助けてオビ=ワン・ケノービ」で知られるホログラムは、スタートアップ企業が軍資金を確保するための漠然とした未来的な言葉であったり、亡くなったメタル界の北島三郎を呼び戻して、より多くのコンサート・チケットを売るための手段ではなくなりました。

SFの科学技術が現実になりつつある

サセックス大学の研究者たちが、どんな角度からも見られるだけでなく、触れることもできるアニメーション3Dホログラムを開発しました。これで『スタートレック』のホロデッキが現実世界に少し近い存在になりましたね。

他所とは似て非なる研究

研究者たちは、ユタ州のブリガム・ヤング大学のエンジニアたちが開発した手法と似た方法を採用しました。

ブリガム・ヤング大学の手法は、目に見えないレーザーで空中の小さな粒子を空中に浮揚させ操作し、3Dイメージのエフェクトを作成。そこをRGBライトで照らすのです。

ですがこちらのホログラムが違うのは、レーザーの代わりに音波を発生させるところ。2つ並べた超音波トランスデューサー(変換器)を使用して、わずか2mmの大きさの軽量ポリスチレン製ビーズを浮遊させて制御するのだそうです。

Video: Guardian News/YouTube

目の動きより速いので残像を見ることに

これは昔のブラウン管テレビのように、スクリーンを横切る電子ビームを使って、人間の目が捉えるより速く個々のピクセルを同時に発光させており、超音波変換器からの音波を操作して、ビーズを時速約32kmの速度で動かし、直径10cm大の形状を1/10秒以内でトレースする、という装置です。

錯視ではなく実在する

ビーズの移動は人間の肉眼で追跡できる速度よりも遥かに速いため、見る人は完成した3次元の形状しか見ることができません。そして、これらのホログラムは3次元空間に実在しています。錯視によって脳を騙すことで立体的に見える2次元画像ではないのです。なので立体効果を損なうことなく、どの角度からでも見ることができるということなのです。

音波でビーズを浮かせる

このテクノロジーは、目に美しい効果を与えるだけに限定されているわけではありません。変換器は、高速移動で発泡ビーズを回転させて形の輪郭を作り出すだけでなく、音波、特に人間の可聴範囲内の音波を作り出す周波数でも振動させることができます。

そのため、ビーズを操作して顔の画像を作成できるだけでなく、小さなスピーカーとして機能するので顔をしゃべらせることも可能です。しかし、そのレベルでは終わりません。研究者たちはさらに一歩進んで、触覚として感じられる周波数の超音波を作り出すことができると考えています。浮遊している蝶の羽ばたきのホログラムに手を近付けると、はばたきを感じられることが可能になります。

とはいえ、これは『新スタートレック』でU.S.S.エンタープライズの乗組員たちが余暇で楽しんだ、超リアルなホログラフィック・シミュレーションではありません。高度な力場やそのたの技術を使っているといわれていますが、まだ完成にはほど遠いものとなっています。


これを見た米Gizmodoのリシェフスキー記者は、邪魔くさいVRゴーグルよりも、仮想世界や3Dゲーム内を探索する方法としてこの新しいホログラム技術を喜んで手に取るだろう、と述べています。

我々も試せるものならやってみたいですね。

Source: The Guardian, YouTube