色が格段に美しくなったけど、旧型を持っていれば買い替え不要。
善意あるマーケティング・チームが作り上げた、エセ科学のように聞こえる「量子ドット(Quantum dot)」という名の技術。
そうですね、それはニセモノでもあり、ホンモノともいえます。それぞれの企業には独自の開発技術に各々のブランド名を持っていますが、量子ドット・ディスプレイはテレビがより幅広い色を見せることを可能にする真のイノベーションであり、それは妥当な価格で美しいテレビを手に入れる最良の方法のひとつになっています。
今年、TCLは人気の6シリーズに量子ドットを導入しました。そして、これらのテレビに多くの時間を費やしてきた米Gizmodoのエステス記者は、このアップグレードをエキサイティングだ、と言っています。
旧型に似ている
Roku TVオペレーティング・システムを搭載した、量子ドットの新しいTCL 6シリーズについて強調したいのは、新しいモデルが昨年のモデルと非常によく似ている点です。100ゾーンの減光をする55インチHDRで、Rokuが内蔵されています。そのテレビをレビューしてから気に入ったので、TCLが中身をアップグレードして新しいTCL 6シリーズを同じ低価格で販売すると話したとき、私はそれをチェックしなければなりませんでした。
これには色を改善するための新しい量子ドット・フィルムに加えて、600ドルの55インチのモデルには100個、800ドルの65インチのモデルには120個の局所的な減光ゾーンがあります。そして以前のTCL 6シリーズと同様に、今年のモデルも4K解像度とDolby Vision HDRおよびDolby Atmosをサポートしています。
さらには旧型とは異なり、新型はGoogle Pixelスマホで動作するキャリブレーション調整アプリもサポートしており、テレビの設定を簡単に調整してより正確な色に調整できるようになりました。
TCL 6-Series (2019)

これは何?:量子ドット技術を搭載した安い4Kテレビ
価格:55インチが600ドル(約6万5,700円)、65インチが800ドル(約8万7,600円)
好きなところ:凄まじい色彩の正確さと、たくさんの素晴らしい機能
好きじゃないところ:最安の4Kテレビではないところ
旧型と比較すると違いが鮮明
しかし私は、量子ドットがTCLの機能満載にしてお手頃価格のテレビの画質を改善したことを評価しています。新しいモデルが発売されたとき、私は古いTCL 6シリーズのすぐ後ろにそれを設定し、各テレビで同じコンテンツを再生して違いを探してみました。その結果、簡単に言うと量子ドットを搭載した新しいTCL 6シリーズは、より豊かで正確な色であることを確認しました。
これこそが、量子ドット技術が実現しようとしていることなのです!
量子ドット・ディスプレイとは?
ここで少し解説を。すでに5年もの間、テレビ業界では流行語になっているので、量子ドット・ディスプレイという言葉を聞いたことがある人もいることでしょう。この技術自体は、名前に「量子」がついているので予想通り複雑ですが、マーケティング用の用語というよりは科学的用語です。
量子ドットは、実際には小さな半導体ナノ結晶で、光が当たると大きさに基づいて特定の色を発光します。最小のドットは直径約2nm(ナノメートル)で、青く輝きます。一番大きいものは4nm以上で、赤色に光ります。一般的には、量子ドットでいっぱいになったフィルムをLCD-LEDテレビに貼り付け、青色のバックライトで点灯させ、より鮮明で正確な色を生成することができるテレビを量子ドット・ディスプレイと呼んでいます。
旧型を持っているなら新型は不要
これは超カンタンな説明ですが、テレビメーカーは既存のモデルに量子ドット技術を簡単に採用し、テレビパネルのカラー・バリエーションを広げることができます。なのでTCLが量子ドットを満載したTCL 6シリーズを、量子ドットのない旧型と同じ価格で販売している理由は、そういうことなのかもしれません。
繰り返しになりますが、最新のTCL 6シリーズは旧型よりも優れているものの、非常によく似ています。もし2018モデルをお持ちであれば、アップグレードはお勧めできません。新型の方が優れているとはいえ、ちょっぴり優れた色を得るために、すでに完璧に優れた機能セットを捨てる価値はないのです。
それと同じで、もうひとつの素晴らしい量子ドット・テレビであるVizio PシリーズQuantumに2倍以上のお金をかけるのはちょっと…、という感じです。

購入時にはどこで折り合いをつけるか
600ドルのTCLと1,400ドルのVizioの違いをすべて網羅するのは、あまり有益ではありません。スペックだけを見ると、Vizio P-Series Quantumは、2,000ドルからのTCL 8シリーズとの競争力があり、3,000ドル以上するSamsung(サムスン)やLGのテレビとも競争したいと考えているようです。そして、これらの合計金額に驚くのであれば、それは正しい反応です。
もし最近のテレビに999ドル以上を費やしたいのであれば、画質にこだわったほうがよいでしょう。なぜなら新しいTCL 6シリーズが示しているように、安価な4Kテレビでもほとんどの人にとって充分なのです。それになかには、量子ドットのような素晴らしい技術を採用しているモデルもありますし。
色彩が豊かに映る
繰り返しになるかもしれませんが、新型TCLテレビは、従来品よりも色をうまく表示しています。肌のトーンがより自然に見え、ディテールがシャープに見え、色が鮮やかになってます。
しばらく映画『エクス・マキナ』を見ながら並べてテストした結果、この作品はテクスチャーとグレーの階調に重きが置かれていますが、時折り色が弾けるため、量子ドットを利用した新型がどれほど生き生きして見えるかが容易にわかりました。
またNetflixの映画『トール ガール』は、高身長の少女を常に明るい色を豊かに描いています。そのたのテレビはやり過ぎる傾向がある中、TCL 6シリーズはそうでもないことに感心しました。




キャリブレーション調整アプリが楽チン
それを踏まえても、もし同等のスペックのものをすでに持っているのなら、買い替えはお勧めしません。色の正確さは確かに素晴らしいのですが、それ以外は驚くほどの性能アップは感じられないでしょう。なんなら、もうちょっとだけお高くて、各スペックが優れたテレビにしたほうがいいと思います。
ただし、新しいTCL 6シリーズではいくつかのマイナーなアップグレードがあります。そのひとつが、前面ガラスのデザイン。画面の端にまで広がっています。とはいえまだ少しベゼルが見えますが。
私はまた、上で簡単に触れたiPQ Engine Mobileによるキャリブレーション調整アプリが持つコンセプトのファンでもあります。まだ今週発売されたばかりなので、この新型にあまり時間をかけて向き合っていません。しかし画面の写真を撮ることでキャリブレーションを行ない、設定をテレビに送信しましたが、これは専門家を雇うよりカンタンで安く済みます。
でも最安ではないので迷う
こういったことが、ホリデーシーズンでどのテレビを買おうか、悩ませてしまいます。TCL 6シリーズは、私が出会ったなかで最も手頃な価格の量子ドットテレビのひとつですが、決して最安というわけではありません。
Hisenseは55インチの量子ドットテレビを700ドル(約7万6,600円)で、VizioはMシリーズのQuantiumを500~550ドル(約5万4700円~6万円)で販売しているんです。思い切って量子ドット技術を忘れれば、55インチで530ドル(約5万8,000円)のTCL 5シリーズを手に入れることもできます(スペックは少し違いますが、このテレビはTCL 6シリーズにそっくり)。また特別セールになればサムスンやLGのテレビだってもっと値下げするでしょう。
しかし、新しいTCL 6シリーズに失望することはありません。昨年のモデルは素晴らしいテレビでしたし、お買い得でした。今年、TCLはいくつもの意味のあるハードウェアのアップグレードで品質を向上させました。率直にいって、量子ドットを利用したこの素晴らしい描画は、ブランドのストーリー全体を物語っていると思います。
まとめ
・量子ドット技術による発色の向上。
・使いやすいRoku TVオペレーティング・システム。
・とってもお手頃価格の600ドル(約6万5,700円)から。
・昨年のモデルや、似たような低価格の4Kテレビからアップグレードする価値はまだない。