Adobe MAXでの最重要項目かも。
Adobe(アドビ)がコンピュテーショナル・フォトグラフィーの文脈に一手を打ちます。Adobeは、独自のAIプラットフォーム「Adobe Sensei」を駆使した新カメラアプリ「Photoshop Camera」を発表、プレビュー版を公開しました。iOSとAndroid向けに提供され、正式リリースは2020年とアナウンスされています。
世界中のプロが使うPhotoshopのデータから学習をくりかえすAdobe Senseiのちからをカメラアプリにパッケージ、ソーシャルとコミュニティのなかでだれもがAIのちからで写真を楽しめるアプリです。
Adobeが「長年クリエイティブに貢献してきたPhotoshopブランドとSenseiをなめてもらっちゃ困る」と、AppleやGoogleがちからを入れているコンピュテーショナル・フォトグラフィーの世界に堂々と入っていくようです。
プレスリリースで「Photoshopが提供してきたマジックをシャッターボタンを押す手元まで届けるAI活用のモバイルカメラアプリ」と紹介されていて、具体的なイメージとしては、PhotoshopやLightroomにあるような、写真を一発でいい感じに仕上げてくれる自動ボタン的な効果を、あと加工ではなくシャッターを押す瞬間にかけてあげるようなものっぽいです。

さてさて、Adobeは今日から年次カンファレンスの「Adobe MAX」をロサンゼルスで開催するんですが、その参加者は年々増えてまして、今年も62以上の国と地域から1万5000人以上のクリエイターが参加するんですね。プロ向けのクリエイティブツールとして誰もが認めるデファクトのAdobeですから、そのコミュニティも強力なわけで、Photoshop Cameraにはそのコミュニティのインフルエンサーや著名なアーティストによる「レンズ」と呼ばれる要素が盛り込まれているようです。
この「レンズ」に関してはプレスリリースを見てもまだよくわかりません。上に貼ったGIFのように、撮影した写真のなかの人物を切り抜いて、カラーをいじって装飾する、一連の加工のプリセットみたいなもの? おそらくPhotoshop CameraについてはMAXのKeynoteでデモがあるでしょうから、そこでもう少し詳しくわかるかな。
レンズは人気アーティストのビリー・アイリッシュとAdobeのコラボによるものも提供されるみたいですよ。

約30年間、世界中のクリエイティブを支えてきたPhotoshopブランドに、さいきんのAdobeの最重要項目であるところのモバイル・AI、そこにコミュニティのちからを注ぎ込む、Adobe無双な新アプリPhotoshop Camera。
クラウドとAIの時代でもプロのデファクトであることの地位はおそらくそうそうに変わらない。そうしたら次は、そのデファクトが持っているテクノロジーを次世代のクリエイター・コンシューマーに渡していくことで、Creative Cloudの範囲を拡大して、万人のためのクリエイティブプラットフォームとして再定義する。
これは明確にプロだけじゃなくコンシューマーを含めただれもが、Adobeのプラットフォームでクリエイティブができるように経済圏を拡げていく、さいきんのAdobeの取り組みをさらに加速させる一手のように思えます。AppleやGoogleのコンピュテーショナル・フォトグラフィーでの自動補正に慣れた写真好きが、もっとこだわりたいと思ったらそこにAdobeがいる。Adobeはスマホやタブレットなどを持っていませんが、だからこそデバイスに縛られず、iOS、Android、どのプラットフォームでもクリエイティブ軸の上位概念として存在感を示すことができる。
Photoshop Camera、どうなるのか楽しみです。プレビュー試したいなあ。
Source: Adobe