Disney+の奥の手は、夢の国の伝説に迫るオリジナル番組『The Imagineering Story』

Disney+の奥の手は、夢の国の伝説に迫るオリジナル番組『The Imagineering Story』
建設中のウォルト・ディズニー・ワールドの前のミッキーマウス Image: Disney+

秘蔵アーカイブ映像の数々も。

Disneyが動画ストリーミングサービス・Disney+をローンチしました。NetflixやAmazon Primeといった先行サービスがある中、Disney+がユーザーを獲得していくのは、いくらDisneyやPixar、Marvel、スター・ウォーズシリーズなどなどといった潤沢なコンテンツがあっても、そう簡単じゃないと思われます。

そこで…ってことかどうかわかりませんが、Disney+は他社には絶対真似できない奥の手を出してきました。彼らはDisneyの部門の壁を超え、オリジナル番組の中でディズニーランドの秘密の種明かしをしてるんです。たとえば米国カリフォルニア州のディズニーランドにあるマッターホーン・ボブスレーの中にはバスケットボールのコートがあるという伝説を聞いたことがあるでしょうか? または、ディズニーランドの地下には町があるという説もあります。レスリー・アイワークス氏によるDisney+のオリジナル番組『The Imagineering Story』では、そんな数々の伝説の真相がついに公式に明かされています。

Disneyテーマパークの進化を追う番組

全6話からなる『The Imagineering Story』は11月12日、Disneyのストリーミングサービス・Disney+のローンチとともにスタートしました。この番組ではDisneyのテーマパークの歴史とテクノロジーのイノベーションを、「イマジニア(Imagineer)」と呼ばれるクリエイターたちを通じて追いかけています。Disneyの草創期から華麗なる現代までを振り返る過程で、Disneyファンは夢にすら見なかった光景を見ることができます。そしてたとえばディズニーランド地下の町や、マッターホーンの中のバスケットボールコートが実在していることがわかります。

「(Disney+の中の人が番組制作初期の1シーンを)見たとき、彼らは言ったんです。『これ以上のことができるなら、どうしたい? 今のでも十分いいけど、他にもっと何ができるだろう?』と」アイワークス氏はio9に対し語りました。

「私の答えは『理想をいえば、視聴者を誰も行ったことのない場所に連れていってあげたい…マッターホーンのバスケットボールコートの伝説は本当なのかどうか? そういったことです。』そして思いました。『舞台裏にあるものを世界に見せるチャンスがあるとしたら、それは今だ』と。」

そんなワクワクの瞬間が『The Imagineering Story』全体(少なくとも最初の2話)にあるんですが、そこは番組のメインじゃありません。この番組の中心は、ウォルト・ディズニーが夢の実現を託したイマジニアたちの仕事を記録し、称えることです。アイワークス氏は「世界中を旅し、すべてのパークやリゾートを訪れて舞台裏に回り、インタビューをして、(Disneyの)イマジニアリングの新黄金時代を記録しました。制作にはぼ6年がかりで、上海(ディズニーランド)のオープニングや彼らが建設した新たなランドなどなども収めました。」

かつては極秘だった内容も

アイワークス氏がDisneyに雇われたのは約7年前で、当時彼女は自身の作品がどこに行くのかまったく予想していませんでした。それでも彼女は仕事にかかり、250回のインタビューと300〜400時間もの関連映像の撮影をこなしました。関連映像の中にはたとえばスター・ウォーズをテーマとする新ランド『スター・ウォーズ:ギャラクシーズ・エッジ』の初期プレビューのような極秘のものもあり、場合によっては彼女の作品内で使えるかどうかもわからないレベルだったと言います。

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イマジニアリングの最先端をデモする、ウォルト・ディズニー
Image: Disney+

秘密主義で有名なDisneyがなぜアイワークス氏にここまで開示したのかというと、その理由のひとつは彼女の血筋にありそうです。彼女はウォルト・ディズニーの最初のビジネスパートナーで、ミッキーマウスをともに作り上げたクリエイター/アニメーターでもあるアブ・アイワークス氏の孫なんです。そのため彼女は、この番組のテーマであるイマジニアの仕事の多くを直接見て、体験してきました。彼女の最初の作品はその祖父をテーマにした『The Hand Behind the Mouse: The Ub Iwerks Story』だったし、Pixarや、ルーカスフィルム傘下のIndustrial Light and Magicについてのドキュメンタリーも作っています。

「私とDisneyとのつながりがあり、…(中略)信頼もあったので、彼らは私なら秘密を守れると信用してくれたのだと思います。そして私は実際この7年間、秘密を守ってきました」とアイワークス氏。「私はこの人たちの多くと、家族ぐるみで知り合っていました。だから彼らが何か隠しているとか、『これは見せられない』とか『その話はしたくない』とか言われていると感じたことはないのです。」

その信頼とアクセスがあることで、物事は少しずつ形になっていきました。作品がDisney+のプロジェクトになると、ストリーミングサービスの細かい流れが決まるまで、アイワークス氏は2018年の1年間制作を止めざるをえなくなりました。その後2019年1月、彼女は再び走り出し、サービスのローンチに向けて新しいシーン(バスケットボールコートのような)を撮りはじめました。

フォーカスはイマジニアたちに当てる

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Epcot Centerの建設中
Image: Disney+

番組の第1話ではウォルト・ディズニーの「テーマパークを作る」というアイデアを追いかけ、彼がその創造を任せた人たちを紹介しています。第2話はそのビジョンがフロリダ州のWalt Disney Worldに拡大するところにフォーカスしています。その後のエピソードでは、「スター・ウォーズ:ギャラクシーズ・エッジ」や、『アバター』テーマのランド「Pandora - The World of Avatar」などなどについて描かれます。でもアイワークス氏は、どのエピソードでもフォーカスは人にあてることを意識していました。

「他にもいろんなストーリーラインを入れることは可能でした。ホテルについて深堀りしたり、ホテルにおけるイノベーションといったものです。素材はたくさんあるのですが、パークとイノベーション、その世界の中のことにあえて抑える必要がありました。アニマトロニクスがあり、ストーリーがあり、待ち行列があり、テクノロジーがあり、乗り物のシステムがある、といったことです。これらをすべて、1950年代の最初のパークからいかに進化したかというストーリーラインの中に埋め込んでいきました。全体に通じる流れは、ウォルトが地球で一番幸せな場所を作ったということですが、幸せを作り出すのは難しい仕事です。それはほとんど私たちのマントラになりました。」

またこの番組では、ディズニーランドの70年近い歴史やその他のパークについて記録しただけでなく、上海ディズニーランドの建設も最初から撮影できたそうです。

「パークが更地から作られるのをただ見るだけでも、取材が6回必要でした」とアイワークス氏。「ウォルトが土にまみれて何をしたのか、そして今は上海が土から形になり、空白のページがあり、『テーマパークとは何か? それはどうなっていくのか?』という問いかけがある。それはとてもクールで感動的なストーリーで、きっと視聴者を鼓舞し刺激して「彼らにできるなら、自分にもできる」と感じてもらえると思います。」

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レスリー・アイワークス氏
Image: Disney+

やっぱり明かせない部分もあり

ただDisneyが秘密を明かしてくれたとはいえ、アイワークス氏にはできなかったこともあるそうです。

「いくつか、禁断の秘め事があるんです」とアイワークス氏。「(テーマパークの)バックステージには行かれませんでした。マジックが作られる場所、そこはとにかくダメなんです。言い換えればDisneyは、ミッキーマウスを演じている俳優さんがかぶりものを外したところは撮らせたくないんです。この作品ではDisneyがこれらのイリュージョンを守るべく、とくに子どものためにいかに注意を払っているかも解説しています。」

それでもこのドキュメンタリーには見どころが多すぎて、そんなDisneyの秘密中の秘密が明かされないままでも大丈夫です。250回のインタビューと数百時間の関連映像に加え、『The Imagineering Story』にはDisney全体の歴史、多くは初公開のアーカイブ映像が高解像度でいっぱいつまっています。たとえばディズニーランドの「ジャングルクルーズ」を車で走り抜けるシーンなんてすごかったです。

「スタジオのアーカイブには、まだ見られていない映像が何百本とあります」とアイワークス氏。「『Epcot Making-Of』(訳注:Epcotはフロリダ州のウォルト・ディズニー・ワールド・リゾート内のパーク)みたいなタイトルの付いたバインダーがたくさん保管されているんです。」

それはそれは巨大なパズルだった

アイワークス氏のチームはすべての映像を確認し、彼女がインタビューした人物の秘蔵映像を丹念に探して、ドキュメンタリーの完成度を高めていきました。

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「魅惑のチキルーム」のアニマトロニクスの鳥の制作
Image: Disney+

「登場する全員から、そのキャラクターが感じられるようにしたかったんです」とアイワークス氏。「インタビューできた人に関しては当然、その人の映像をなるべくさかのぼって探しだします。人物を立体的に表現するため、単に誰かが一方的に話してるというのでなく、ひとりの人間として見えるようにするためです。」

「登場人物がこれだけ多いと、それは大変な作業です」とアイワークス氏は続けます。「このドキュメンタリーは会社の部門とか組織のストーリーですが、その組織の中にこの人たちすべてがいるんです。なので私たちは、誰が他の人よりちょっと多く画面に写り、誰はそうでないかを決める必要がありました。でもたいていは、少なくとも年長の世代に関しては、彼らの映像をどれだけ発見できたかでそれが決まりました。それから年長世代について雄弁に語ってくれる若い世代の人もいます。彼らも私たちを助けてくれて、楽しかったです。大きなパズルのようでした。」

まさにパズルのように、最終的にはすべてがひとつになります。アイワークス氏はDisneyから依頼を受けてから、撮影し、編集し、ざっくり6時間の映像を試写し、Disney+が拠点となり、さらなるインタビューのために追加資金を集め、そして総仕上げを終えて、『The Imagineering Story』をデビューさせました。2話がまず公開され、その後週1話ずつリリースされます。もちろん、画面に映ることが全部ではありません。

Video: Disney/YouTube

「残りのエピソードについてはまだ話せませんが、特定のアトラクションの裏側には行けて、そこで仕事に取り組むひとたちを見てきました」とアイワークス氏。「マッターホーン(の改装)に潜入して、じつはカットされた部分もあります。これ以上のシーンやエピソードを作れることになれば、6時間に入りきらなかった要素を入れられるでしょう。ネタは多すぎて、『この番組、永遠に続けられそう!』と思えるほどです。」

Disneyファンなら本当に永遠に続いてほしいであろう『The Imagineering Story』、日本ではDisney+自体の展開がわかりませんが、何らかの形で見られるとうれしいですね…!

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