世の中、いろいろなガジェットがあるけれど...
みなさん、視力はどのくらいですか? もともとコンタクトだけどスマホ漬けで視力が落ちてきた気がする...という人、視力だけは昔から良くて3.0くらいありそうだという人(ドヤ顔の私含む)、しばらく視力検査してないから分からないという人...きっとさまざまですよね。
米GizmodoのVictoria Songは、地下鉄をおりてからスマホのカメラでズームしてみないと先の道が分からないくらい視力の低下を感じていたとか。そんな彼女がEyeQue VisionCheckを使ってみたレビューをお送りします。
VisionCheck

これは何:自宅でできる視力検査キット
価格:70ドル
気に入った:パジャマで視力検査して、アプリで眼鏡を注文できる
気になった:結局、眼科に行く必要がある(しかも、当然ながら眼科医のほうが正確)
EyeQue VisionCheckは、付属品をスマホに取り付けると視力検査ができて、オンラインでメガネの注文までできるというもの。10年以上眼科に行ってなくて、医者にかかるのがどうも苦手だという人(私)が求めていたガジェットかもしれません。最初は、EyeQueがどこまでできるのかちょっと懐疑的でしたが、CES 2019 Innovation Awardを受賞していることを知るとやや安心感もあったりなかったり....。
基本的な使い方はというと、まずiOSまたはAndroid用のEyeQue VisionCheckアプリをダウンロードします。付属品のミニ屈折計をスマホに固定して、なかを覗き込みます。すると、緑と赤のラインが見えるので、デバイス横のタッチセンサーを使いながら、このふたつのラインを合わせてひとつの黄色のラインにマージさせます。この作業をひとつの目につき約8回行うことで、テストは完了します。これにより、どのように光が目に屈折するかが測定できるのだそう。結果はアプリで確認できます。
さらにテストでは、瞳孔間距離を測定するためにプラスチックのメガネを使用します。基本的にはメガネをつけて自撮りして、アプリ上でメガネのブリッジと瞳孔のあいだにマークをつけます。このように瞳孔間距離を測るやり方はWarby Parker、GlassesUSA、Zenni Opticalなどのオンラインサービスでは一般的なものです。

どんなに最先端なガジェットを使ってみても、なんだか格好がつかないことってありますよね。オフィスの自席でEyeQueスタッフとSkypeでデモをやっていたら、同僚から「何やってるんだ」みたいな目で見られてしまいました。それにアプリ内のチュートリアルもあるのですが、完全に理解するまでには15分ほどかかったと思います。センサーを押すのもちょっとやりづらかったので、お年寄り向きではないかもという印象を受けました。同社いわく、正確性を高めるためには少なくとも3回テストすると良いようです。ただ、私のように前回の視力検査から10年くらい経っている場合、プラス3回(つまり計6回)やることを勧められました。全体として、6つのテストを完了するのに約1時間。その後、メガネをオンラインで注文して手元に届くまでには約2週間かかりました。
視力検査の結果はというと...何年もPC画面に向き合う日々からか、やはりかなり視力が低下していました。10年以上前の処方箋と比べると(※アメリカの視力換算方法にならって)各目が-7から-7.75に、右眼のCYLは-1.25から-2.25になりました。右眼のAXISはほぼ変わらず、170から164。左眼は10から29に悪化してました。
でも、この測定値がどれほど正確なのかはわかりません。届いたメガネをかけてみると「遠くにあるものが見えるってこういう感じか」という感覚はたしかにあったと思います。でも、まだぼやけて見える部分も...。考えてみると、私の目は眼科医から乱視のおかげで「悲劇的に悪い!」と告げられていたんでした。もしかすると、私の視力は悪すぎてEyeQueの測定可能範囲を超えてるなんてこともあるのかしら...?

結局、眼科医に診てもらうことにしました。
眼科での視力検査の結果、実際には右眼-9、左眼-8でした。CYLとAXISは右眼-2.25と165、左眼-1.25と15でした。つまりはEyeQueの結果とさほど違わない...? と思いきや、眼科医の考えはそうではなかったようです。
診てもらった医師の意見では、EyeQueのようなものは乱視などの複雑な問題がなく、処方箋の必要性がない人にとってはおそらく問題ないといいます。またこうしたデバイスでは、黄斑変性、白内障、緑内障などの深刻な状態を診断できないことについても強く強調していました。
もし他のガジェットと並べて考えるならば、たとえばApple Watchで不規則な心拍数や不整脈を監視できるようになったからといって必ずしも命を保証できるわけではなく、「アラームが鳴らない=なにも問題がない」ということにはなりません。それと同様に、EyeQueが視力の低下を検出しなくても、目が完全に健康であることを意味しない...というように考えるべきなのかもしれません。

またEyeQueはCES Innovation Awardを受賞しましたが、FDAのような認可を得たわけではないことも留意しておきたいところです。
眼科医からの結果を持ったのち、EyeQueの広報担当者に連絡すると次のようなメールが返ってきました。「実際にはマジックナンバーなどありません。眼科医は一般的に、最大0.5ジオプターまでの数値の違いを許容範囲と見なします。すなわち同じ日に別の眼科医を訪れた場合、わずかに異なる処方箋を受け取ることもあります。」
またEyeQueの検査結果については、眼科医での結果に匹敵すると述べていました。(少なくとも私の眼科医の反応を見る限りそうでもなさそうだったので、これには違和感が残ります。)EyeQueの調査によれば顧客の90%がEyeQueで注文したメガネは、以前のペアと同じ(33%)またはそれ以上(53%)であったとのことです。たしかに私が注文したEyeQueメガネは、古いメガネよりも優れていました。でも、もっと良かったのは眼科医の処方箋で手に入れたメガネなんですけどね。

「EyeQueは、医師の診療にかかっていない期間にもより多くの人が目の健康に関与できるように設計されています。これらのデバイスを自宅に置くことの利便性は、視力が気になるときや家族の視力に変化を感じたときなどいつでも簡単なテストを受けることができることにつながります」と、広報担当者は補足しました。
でも結局のところ私の場合、眼科に行く必要はありました。視力検査は約30ドルで、70ドルのEyeQueよりも安価です。EyeQueを使えばフレームやレンズの価格が抑えられるわけでもないので、全体的にお得感は期待できません。
じゃあ、EyeQueを使うメリットは何でしょう。EyeQueでメガネを注文し、自分で注文するのにかかった時間を考えると、早くて便利!というわけでもありません。でも、ひとつだけ言えることがあります。

それはほかでもなく、眼科医に行くという選択肢を余儀なくされたことです。私の場合、これに尽きます。でもすぐに新しいメガネが必要な場合、 保険に悩まされたり検眼士を見つけたりすることなく自宅でパジャマを着ながらでも視力検査ができるのも良いですよね。
そうはいっても、眼科医に行っていない理由が「面倒だから」な場合、自宅で視力検査するのに70ドル払う必要はないんですよね。どうかみなさんは私のようにならないよう、視力検査に行きましょう。
メモ
- 瞳孔距離を測定するためのミニ屈折計とメガネのキット(70ドル)。
- 正確な結果を得るためには少なくとも3度の検査が必要。キットを使ううえで学習曲線あり。
- EyeQueの測定結果はそれっぽいけど、眼科医のレベルには届かず。