VRゲームといえばこれ、って会社をFacebookが買収しちゃった

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  • author Victoria Song - Gizmodo US
  • [原文]
  • 福田ミホ
VRゲームといえばこれ、って会社をFacebookが買収しちゃった
Image: Facebook

勢いを持続できるか。

Facebookが、VRゲーム「Beat Saber」の開発元の会社を買収しました。巨大テック企業が勢いのある小さな会社を飲み込むのは日常茶飯事ですが、米GizmodoのVictoria Song記者は、だからこそ心配しています。以下、心配なポイントをどうぞ。


「VR元年」と言われた頃から、VRデバイスやゲームはいろいろ出てきてそれなりに普及もしてますが、それでも特に良いゲームとかソフトウェアは何?というと、ぱっと思い浮かばない人も多いと思います。でももし何らかの名前が出てくるなら、最初に出てくるのが『Beat Saber』じゃないでしょうか?

Video: Beat Saber Official/YouTube

Beat Saberは、ほぼどんな人でもVR酔いせず、酔った〜とか自慢まじりに騒ぐこともなく楽しめるVRゲームです。そんなゲームを作る会社を、Oculusを配下に持つFacebookが放っておくわけがありませんでした。

11月26日、Beat SaberはFacebookのものになり、そのことはOculus公式ブログで発表されました。Facebookの広報担当者いわく買収金額などの条件は非公開ですが、少数精鋭のBeat SaberのチームはOculus傘下でも引き続き独立運営ができ、本社はチェコのプラハに置いたままにするそうです。

Beat Saberって知らない人もいると思いますが、とにかく楽しいゲームです。私はメガネをかけていてVR酔いしやすいので、VR自体はちょっと苦手ですが、それでもBeat Saberは大好きです。簡単に言えばフルーツニンジャとギターヒーローを混ぜたような感じで、フルーツの代わりにキューブを、ライトセーバーでリズミカルに斬っていきます。米Gizmodoのガジェット部屋にこもってBeat Saberをプレイした45分間は、今のオフィスに来て以来お気に入りの思い出のひとつです。ストレスを抱える私にとって、音楽に乗ってプレイしてレベルを上がっていくのはすごいカタルシスでした。

独立系スタジオが大企業に入ってはダメになっていった歴史

なので今回の買収は、多分買収したほうもされたほうもうれしいんでしょうが、正直残念です。Beat Gamesは今年3月、Beat Saberがクチコミの力で100万本売れたことを発表してました。成功しているVRゲームを手中に収めたFacebookはやったねと思ってるでしょうし、Beat Gamesは8人だけのスタートアップで、TechCrunchによればベンチャーキャピタルからの出資を避けてきてたので、これで金策の心配がなくなるってほっとしてるかもしれません。

でもこういうストーリーは今までさんざん見てきました。「優れたプロダクトを持つ小さな会社」が、「評判的に微妙な大企業に買収される」ってやつです。彼らは最初のうちは未来に向けた誓いの言葉を語るんですが、でもやがて世間が忘れてしまうと、約束を守らなくなっていきます。新しいプロダクトは以前ほど良くなく、買収のときの壮大なストーリーより小さくまとまっていきます。これはあまりに使い古されたストーリーであるせいか、Oculus公式ブログをポストしたコンテンツ担当ディレクターのMike Verdu氏も、FAQの中で言及しています。

独立系スタジオが大企業に入ってはダメになっていった歴史があります。それをどうやって回避しますか?


私はこの業界にしばらくいて、それをじかに見てきました。でも私は素晴らしいサクセスストーリーを見たり、そんなストーリーに参加したりもしてきました。今後時間をかけて私たちが証明したいストーリーはこういうことです。すなわち、独立系スタジオが志を同じくする味方と合流し、彼らはともにVRを新たな高みへと押し上げる道を見出すのだと。

この言葉を信じられるのは、ほんとにそうなったときだけです。Facebookはさしあたり、Beat Saberの中でこれまで予定していたこと、たとえば「360度モード」の提供や新しい音楽の追加といったことは予定通り進めていくと言ってます。また少なくとも今は、Oculus以外のプラットフォームにもBeat Saberの提供を続けると言っていて、Oculusだけ優先して他でのアップデートを遅らせるなんてことはしない、とも言ってます。彼らはまた、Beat Saberの楽しみ方のひとつでもある「MOD」についても言及しています。Beat Saberでは、好きな楽曲を使ってステージを作れますが、そうした楽曲の多くはオフィシャルのライセンスを受けたものではないでしょう。

「我々は、それが合法で我々のポリシー範囲内である限り、MODがBeat Saberに与える価値を理解し歓迎しています。我々はMODがBeat Saberのプレイヤーたちに提供する価値を守るべく最大限の努力をします」前出のMike Verdu氏は書いています。「参考までに、我々は最近のポリシー改訂で、デベロッパーモードの使われ方について、我々の意図をより明確にしました。その意図とはたとえば、デベロッパーが自身のアプリを開発するのを支援したり、ファンが新しいコンセプトを探索したりといったことです。デベロッパーモードは、第三者の知的財産権を侵害したり、悪質なコードを入れたりといった不正なMODを行なうためのものではありません。」

Facebookは大企業で、たとえば音楽のロイヤリティ不払いとかがあると責任を問われやすいので、こういうただし書きが付いてくるのは想定内ではあります。でも「大丈夫、放っておくからどんどんやってね」というメッセージじゃないのも事実です。

今回のニュースは、全然驚きじゃありません。そもそもFacebookがOculusを買収した時点で、彼らがVRに興味を持ってることははっきりしてるし、成功しているスタジオを傘下に入れるのは全体像にぴったりはまります。ただ、今は「良いもの」リストに入ってるものを、「来年はそうじゃないかも」リストに移さなきゃいけないのかな…と、ついため息が出てしまいました。

Source: Oculus公式ブログVarietyTechCrunchUploadVR

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