デュアルスクリーンの良さにハマったら、もう元には戻れなくなるかも!
スマホの画面はひとつで十分!と思っていましたが、ゲームはもちろん、カレンダーを開きながらLINEしたり、動画を流しながらインスタみたり……これはマルチタスク大好きな人にもアリなスマホかもしれません。 そんな最新のデュアルスクリーンスマホLG G8Xを米GizmodoのSam Rutherfordレビューしました。
大画面スマホの人気がみるみる拡大したのは、2011年のSamsung Galaxy Noteの頃からでしょうか。ここ数年を振り返ると、SONY Xperia 1のようにエキストラロングな画面、ZTE Axon Mのような2画面スマホ、Galaxy Foldのような折りたたみ式スマホ、さらには裏表スクリーンというMi Mix Alphaなど、ユニークなスマホが続々出てきました。
新たに登場したLGのG8Xデュアルスクリーンは、700ドル(約7万5000円)という価格にして2つの画面が使えるという優れもの。Pixel 4 XLとSamsung Galaxy S10 +の中間ほどのスペックで、全体的に標準的なAndroidスマホです。RAM 6GB、ストレージ128GB、バッテリー4,000 mAh、microSDカードの拡張性、2,340 x 1,080の6.4インチ有機ELスクリーン、Snapdragon 855チップを装備しています。
さらにヘッドフォンジャック、ディスプレイ内指紋センサー、防塵・防水のIP68定格、Qiワイヤレス充電まで揃っているので、堅牢でハイエンドなスマホだといえます。が、フラグシップレベルかといえばそうではなさそうです。
G8X Dual Screen

これは何?:2つのスクリーンつき新型LG G8
価格:700ドル(約7万5000円・日本未発売)
好きなところ:価格。マルチタスクに最高。2つのスクリーン操作が簡単にできるようになっている。ヘッドフォンジャックあり。
好きじゃないところ:一部のアプリでは、複数のバージョンを実行不可。若干かさばりやすいデザイン。充電ケーブル。テレフォトカメラなし。顔認証なし。Android 9搭載。
LG G8Xの良いところは、24万円のGalaxy Fold と比べても、半分以下の価格でより多くの画面スペース(6.4インチ×2)が得られること。またFoldの場合、内側と外側のスクリーンを同時に使用できません。

なかには、デュアルスクリーンは特に必要ないかも...? という人もいるかもしれません。ただ、次のような人には特におすすめです。
それはずばり、ゲーム好きな人、パワーユーザー、そしてスマホでマルチタスクしたい効率重視派。ふたつの画面を使用すると、たとえばメールの作成中にカレンダーを確認することもできます。SNSで動画とコメントを同時に見たり、Twitterとインスタを両方開いたりすることもできます。個人的には、ひとつの画面で野球を見ながらゲームするのが好きです。

2つの画面を使いやすくするために、ジェスチャコントロールには3本指スワイプ、アプリを画面間で切り替えるにはシンプルなフローティングボタン、2番目の画面をオフにしたりメイン画面を暗くしたりするためには追加のショートカットが備わっています。また、テントモードとプレゼンテーションモードを備えた2-in-1のようにセットすることもできます。







デュアルスクリーンの使い方はそれぞれですが、特にモバイルゲーム好きには嬉しい機能が揃っています。
たとえばデフォルトでほとんどのRPGやアクション系ゲームで機能する基本的なレイアウトになっていて、Bluetooth通信なので多くのゲームでデュアルスクリーンがネイティブなゲームパッドとして検出されます。もちろん、レイアウトをカスタマイズすることも可能。これはたとえば仮想コントロールでプレイするシューティングゲームなどのタイトルに最適です。

LGいわく、Play Storeのあらゆるアプリはデュアルスクリーンに何かしらのかたちで対応しているといいます。
でも、すべてが期待通りかというとそうではないかもしれません。というのは、たとえばYouTubeやYouTube TVを同時再生することはできません。アプリ内で2本目の動画を再生しようとするともうひとつの動画が一時停止になってしまうのです。
また、同時に視聴できる2つのビデオプレーヤー(YouTubeとVimeoなど)があったとしても、どちらのオーディオを聴くかを選択することはできません。(両方か、どっちもなしか、になります。)
ただこればかりは残念ながら、Androidで同時にフォーカスできるアプリの数に制限があるため、LGの管理外だと判断できます。
ヘッドフォンでアプリの音を流しながら、別のアプリではG8Xのステレオスピーカーで音を流そうとしても機能しません。また、InstagramやTwitterアカウントを複数持っている人にとって、各画面で同アプリの複数のバージョンを実行するのに最適な方法もありません。Androidではこうした使われ方に完全に対応していないのが現状です。

次に、LG G8Xのカメラに着目してみましょう。高解像度の32メガピクセルの内側カメラと、後部には2つのカメラ(12メガピクセルのメインカメラ、136度の視野まで広がる13メガピクセルの超広角カメラ)がついています。また、4Kタイムラプス、自動シーン調整、内蔵ステディカムといった便利なモードも楽しめます。
ただ、どうしても競合と差がついてしまうのは、テレフォト(望遠)カメラがないこと。これは市場に出回っているスマホと比べて欠けている点かもしれません。
Pixel 4で撮影した画像と比べると、全体的にディテール、シャープさ、鮮やかさで追い越せない壁があるようにも見えます。G8Xもなかなか良いんですけどね。最新スマホに比べるとやはりわずかながら遅れをとっているようです。





G8Xデュアルスクリーンは基本的に便利ですが、扱いにくいこともあります。6.4インチの画面はすでにかなり大きいのですが、これにもうひとつのディスプレイ、さらにプラスチックフレームを加えて持つと……手一杯になります。
ボタンレイアウトに関しても、うまく最適化されていないように思えます。というのは、完全に開いた状態にしたとき、デュアルスクリーンのヒンジによって音量ボタンが使いづらくなるためです。
ただもっと厄介なのは、充電の仕方。USB-Cポートを介して充電するには、画像のような特別なアダプタを使用する必要があるのです。それ以外の方法は、2番目の画面を取り外すか、ワイヤレス充電パッドを使用するか。充電するたびにこの小さなアダプタをどこに置いたか探さなければいけないのは、ちょっとした一手間になることも。

また、9月上旬にAndroid 10がリリースされたにも関わらず、その約3か月後に登場したG8Xは、最新ではないAndroid 9 Pie対応。いつAndroid 10が利用可能になるか具体的なタイムラインは明らかになっていません…。振り返ればLGのOSの更新は常に遅い傾向があるので、これはあまり期待せずにいようと思います。

おそらく何らかの理由があるのでしょうが、G8Xには顔認証アンロック機能がありません。そのためスマホを開いたと同時にロック解除…とはならず、指紋認証かスマートロックを解除する必要があります。
また、画面ふたつと聞いて気になるのがバッテリー寿命ですが、標準のビデオランダウンテストでは、14時間17分持続となかなか頼もしいです。
LGいわくデュアルスクリーンケースには独自のバッテリーがありませんが、ふたつの画面を同時に使用しても消費量は20〜25%増のみだといいます。ただ、これは少し楽観的かもしれません。というのも、ふたつ目の画面をオンにした状態で、2つのビデオを再生してランダウンテストを繰り返したところ、バッテリー寿命は8時間23分間でした。これはこれでそう悪くないですけどね。

これで最新バージョンのAndroidが使えて、充電アダプタももう少し使い勝手が良ければなぁ…と思うところはあります。が、G8Xが提供する価値は十分に評価できます。たとえばですけど、デュアルスクリーンアクセサリーを究極のカバーケースと考えてみたらどうでしょう。スマホ保護+大量のユーティリティつきですよ。
もちろん、万人受けするスマホだとは思っていません。でも、この価格感でスクリーンふたつついてくるのってお得じゃありませんか?
まとめ
・ほぼすべてのAndroidアプリでデュアルスクリーンが利用可能。ただし、ふたつの動画を同時視聴するなどのケースを除く。
・カスタマイズ可能なゲームパッドによって、モバイルゲームがプレイしやすい。
・細身なほうではあるものの、デュアルスクリーンを使うとやはり手一杯になる。
・6.4インチ画面ふたつでこのスペックはお得感あり。