人間の動きを瞬時にトレース。遠隔操作ロボット「リトル・エルメス」

  • author 岡本玄介
人間の動きを瞬時にトレース。遠隔操作ロボット「リトル・エルメス」
Image: IEEE SPECTRUM

将来は変形ロボも視野に入れてます。

たとえばトヨタが作った「T-TR1」のように、離れた場所にいる人間の動きをトレースして遠隔操作するロボットは今、そんなに珍しい存在ではなくなっています。ですが人間が持つ運動能力を完全に再現するほど、その運動性能は良くないのが現状。「T-TR1」は大の字の状態で片足立ちはできますが、パルクール新体操も披露するBoston Dynamics(ボストン・ダイナミクス)のATLAS君には勝てません。

しかし現在MITが、人間の動きを瞬時に模倣する遠隔操作2足歩行ロボ「Little HERMES (リトル・エルメス)」を開発中だ、とIEEE SPECTRUMが伝えています。

Video: IEEE Spectrum/YouTube

最後はNG集ですが、膝関節が逆に折れるのは痛々しいですね。

研究者による英断がロボットを少しでも簡素化する

「リトル・エルメス」開発におけるMITの決断はなかなか潔いもので、人間に匹敵するモーターと意思決定のスキルを備えた完全自律型ロボットを構築することは、まだまだ課題が多すぎる! ということでそこはバッサリ切り捨て、人間の判断力に委ねて遠隔操作し、災害時の偵察や救助をするロボットにシフトしている点です。無い物ねだりをせず、まずは持っている潜在能力を最大限に引き出す、ということなんですね。それに、人間への物理的なフィードバックをしないので、そのための機材もシステム開発も不要。お互い身軽になれるのです。

その代わり「リトル・エルメス」には、質量を最小化するための剛性を持つ軽量フレームの中に、衝撃に耐えるように設計された、高トルクを生成できるカスタム・アクチュエイターや、3軸の接触力センサー、耐衝撃性を備えた軽量の足センサーなど、脚の運動性能を高レベルで作動さることを特化したメカニズムが詰め込まれています。

操作する人間側の装備

人間側には胴体の動きを追跡するため、エクストリーム系スポーツで着用するプロテクターを流用し、支柱を伸ばして空中に固定。また両足にも足の動きを追跡する、可動部の付いた支柱を付け、それらはアクチュエーターに接続されます。

さらには人間のバランスを瞬時にフィードバックさせるインターフェイス(という名のお立ち台型センサー)も独自開発され、見た目度外視の簡易的なシステムでありながら、ここが映画『レディ・プレイヤー1』の主人公がアバターを操っていた場所となるのです。

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Image: IEEE SPECTRUM

今度は説明付きの実験映像をどうぞ。

Video: IEEE Spectrum/YouTube

重そうな胴体と華奢な脚なのに、小気味よく揺れたり連続ジャンプもこなします。イジワル人間に邪魔されても耐えていますね。これはセグウェイのように、倒れそうな方向と逆に重心を移動させていることがわかります。

将来はハイブリッド変形ロボにしたい

とはいえ「リトル・エルメス」の一番期待できる点は、同じくMITが作っている4脚ロボ「Cheetah 3」および小型版「Mini Cheetah」なんらかの形で合体させ、将来的には4脚で高速移動し、災害現場などで2足歩行型にトランスフォームするハイブリッド変形ロボの開発を見据えているところです。

もう手っ取り早いのは、イタリア発のケンタウロス型災害救助ロボ「Centauro(チェンタウロ)」に追随することでしょうけども、どうなることでしょうか…?

Source: YouTube (1, 2) via IEEE SPECTRUM

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