本当に手放しでいいんですか?
ってしつこいくらいに聞いたんですよ。でも、いいみたい。こうして運転できる時代がやってきたのです。
今秋に発売された日産の新型スカイライン。スカイラインと聞くと、「あのスポーティーなやつね!」というイメージが出てくると思います。うん、たしかにやる気を感じるスポーティーなフォルムはかっくいい! でも、実はスカイラインってスポーティーで攻め攻めな顔と共に、最新テクノロジーを操る知的な側面もあるのです。
その最たるものが、ハイブリッドモデル標準装備に搭載された先進運転支援技術「プロパイロット 2.0」。
スカイラインは、さまざまなセンサーとテクノロジーが詰まったインテリジェントカーであり、高速道路の同一車線内では「ハンズオフ(手放し)」状態で運転できる車となったのです。これが、未来か!
「プロパイロット 2.0」の快適さを体験!

今回は、この未来的な最新機能を試せる「プロパイロット2.0 帰宅試乗」という体験会に参加してきました。
これは、オフィスから自宅までの高速道路でハンズオフなドライブで帰宅できるユニークな体験会で、リアルに自宅まで帰ってOKで、車を返す必要もない。との好条件。
ちなみに、僕の家は都内から130kmほど離れている群馬県。都内に向かう時は、車と電車を乗り継いで、およそ2時間30分ほどかけて取材にでかけています。ちょっとした小旅行な距離で、仕事前に移動で体力を削られるのが辛い…。
そんな僕なので、スカイラインで、しかもハンズオフで帰れるのか?とワクワクでしたが、この日は時間が限られていたため、1時間程度のドライブコースへ変更。有楽町を出発して、首都高に乗って湾岸線を通って羽田方面へ向かうルートとなりました。
いつもは田舎道しか運転していないので、「首都高」と聞いて背筋がビクッとなったのは今だから言える秘密です。
「プロパイロット 2.0」の起動・操作はステアリングから

出発前に、同乗する日産のアドバイザーの方から操作方法の説明がありました。スマホ風に言えばUI確認ですね。
「プロパイロット」周りの機能はステアリングの右側にレイアウトされています。写真で指を添えている青いボタンが、「セーフティ・シールド」。さまざまなセンサーによって、車自体が状況に応じて安全機能を働かせるバリア機能であり、「プロパイロット」の起動ボタンでもあります。
新型スカイラインでは、7個のカメラ、5個のレーダー、12個のソナーで360度の周囲センシングを行なっているんだって。そっか、もはや車ってドライバーの知覚を超えているのか…。
この他にも巡航速度の変更や「プロパイロット 2.0」からの車の追い越しや高速道路を降りるなどの提案を承認、もしくはキャンセル操作なども、ステアリング上のボタンで行ないます。基本はこれらのボタンの役割、操作方法だけ覚えておけば良さそうです。事前説明は拍子抜けするくらいカンタンでした。

「プロパイロット 2.0」の基本操作がわかったし、ナビに目的地もセットしてある。 人生で初めてのハンズオフ運転で緊張感MAXですが、まぁ車がアシストしてくれるなら大丈夫でしょ。では、ドキドキのハンズオフドライブへレッツゴー!
手はお膝。こうみえても安全運転中
有楽町を出発したのは17時30分ころ。発車するときは「プロパイロット 2.0」OFFの状態です。
慣れない車&都内に加えて、人も車も混み合う通勤時間とはじめて尽くしで、僕の心も走り気味でしたが、10分ほどでなんとか首都高へ突入(ほっとしました)。首都高はやや混み合っているものの、車の流れはスムーズです。
『では「セーフティ・シールド」をオンにしてみましょう』
アドバイザーの方に促され、ステアリングの「セーフティ・シールド」ボタンをポチっと押すと、プロパイロットがスタート。

まずは「プロパイロット」が起動し、インパネやヘッドアップディスプレイのカラーが緑色に変わります。ほほぅ、プロパイロット機能が起動したことが視覚的にわかるってのはいいですね!

「もうアクセルから足を離しても大丈夫です」
指示に従ってアクセルから足を離すと、スカイラインは道路標識の制限速度に沿って巡航。ステアリングへのアシストも働いていて、カーブでもある程度自動でハンドルを切ってくれますが、ここまでは想定内。
ステアリングが自動で動こうが、操縦しているのは僕です。僕がこのスカイラインを運転しているのです。ここまでが「プロパイロット」。

「はい、ではここでハンズオフしてみましょう」
体験会の中で、僕が実際に言われたセリフです。普通に考えたらWhy?ってなりますよね。いや、それが普通だ。
ステアリング(ハンドル)に添える手は10時10分と教えられた世代ですし、初めて乗るスカイラインで、初めて走る区間、しかも高速道路。ほほほ、ほんとに手を離して大丈夫?

『大丈夫です、インパネが青くなりましたよね。今は「プロパイロット 2.0」の対応区間になって条件を満たしています。これは手を離して運転できる機能ですから大丈夫です』
なるほど、たしかにインパネを見るとプロパイロットの種類を示すカラーが「プロパイロット」の緑から「プロパイロット 2.0」の青へと変わっています。
つまり、これはすでに運転アシスト中!?
ステアリングから手を離す、なんて常識の中ではありえない行動すぎて、ちょっと手が震えるの。いや、マジで。でも、勇気を出してそ〜っと手を離してみると、これがまたすごい。ほんと手放しで運転できちゃってた。
アクセル、ブレーキの操作はもちろん、カーブではステアリングがクックック…とカーブに合わせて曲がります。それは、まるで僕の背後から「見えざる手」がステアリング操作をしているかのようで、気がつけば「なにこれすごい!」を連呼してました。あと、初めての状況に脳がバグってる感じもすごい!
「プロパイロット」では、ドライバーはステアリングを握る必要がありましたが、「プロパイロット 2.0」では、高速道路の3Dデータと前後1m・左右5cmの高精度なGPS機能と連携することで、道路に応じた制御を車自体が行なっているそうな。
そのため、現時点では対応区間は限定されるものの、いざ発動すればトップ画像のように手はお膝!でもOK。万が一のときに対応できるように僕は安全確認をしているだけでいいのです。

繰り返しますが、こう見えても安全運転中です。
ハンズオフドライブできない場所もある。人間のアシストこそが「プロパイロット」
運転の安定性も素晴らしいものがありました。
コーナーでのハンドリングもスムーズですし、左右へのブレや急加速、急ブレーキもありません。ドライバーが設定した速度や制限速度を上限として、先行車両との車間も一定に保ってくれます。
まさにお手本のような安全運転で、人間が運転しているように…。いや、ひょっとしたら僕より運転上手いかもしれません。並走する車から見たら、まさかハンズオフドライブしている車だなんて、絶対にわからないよ。

さらに、今回は試せませんでしたが、前に遅い車がいると追い越しを提案して、「承認」ボタンを押すと自動で追い越してくれるそうな。また、高速出口が近づいても同じく、自動でウインカーを出して、減速して、ハンドルを切って出口へと導いてくれるんだって。
しかし、高速道路のすべての区間でハンズオフドライブできるわけではなく、現在のところ対応区間でのみ(対応区間はこちらより)。また、「プロパイロット 2.0」中でも角度のキツいカーブや、急な割り込みがあるとステアリングの操作を促されました。

「プロパイロット 2.0」は、あくまでも自動車による運転アシストです。運転中に遊んでていいわけじゃあないので、その点はご注意を。また、よそ見や居眠りをしないようにダッシュボードの赤外線カメラが常にドライバーの顔を見張っています。
よそ見していると警告されるらしいですよ。僕は始終安全運転でしたけどね!
スマホと同じ。「システム慣れ」すると集中力が増す
「プロパイロット 2.0」を体験していて、面白い「気づき」がありました。
パソコンやスマホなどと同じで、ある程度システムを理解してくると、「なるほどこう使うのか」とシステムに任せた采配ができるようになってくるんですよね。
この日走行した道路は「プロパイロット」と「プロパイロット 2.0」が入り交じる区間だったのですが、状況に合わせて自分の意識配分が変わっていくんです。
どういうことかというと、プロパイロットがOFFのときは、周囲の状況、ハンドリング、アクセルワークのそれぞれにバランス良く意識が分散されている状況。「プロパイロット」区間に入ると、アクセルワークがほぼ任せられるので、自然と状況確認への配分を増やしていたように思えます。
そして「プロパイロット 2.0」区間になると、ハンドル操作すら不要になるため、リラックスする余裕も出てきて、周囲の状況確認へと意識を多めに振れます。

加えて、「プロパイロット 2.0」区間では、インパネの液晶部に道路の車線数や、周囲を走る車の車種(乗用車、トラックなど)までも判別して表示してくれます。こうして、自車を取り巻く道路状況がさらに解像度高く認識できるんです。
これに順応して「当たり前のもの」としてシステムを使いこなせるようになれば、危険も未然に察知できて、運転も楽ちん。って、あれ?これ最高じゃない?
通勤が楽になるかは人によりけりだけど、自動車という移動手段で大きく捉えると、「プロパイロット 2.0」の登場によって運転は間違いなく快適になります。それこそ肩こりや首や頭の重だるさなど、「運転疲れ」も取り払われるかも?
そう考えると、新型スカイラインの「プロパイロット 2.0」は今まで以上に、自動車を移動手段に選びたくなるテクノロジーなのかもしれません。
まぁ、初めての手放しはちょっぴり怖かったけどね!
Source: 日産自動車