ロシアはどこへ向かう? 国産ソフトを搭載しないガジェットの販売を禁止するかも

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  • author Victoria Song - Gizmodo US
  • 湯木進悟
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ロシアはどこへ向かう? 国産ソフトを搭載しないガジェットの販売を禁止するかも
Image: Tristan Fewings / ゲッティイメージズ

おそロシア…?

いまスマートフォンやタブレット、コンピュータの世界なんて、いろんな国のいろんな製品があって当然です。どんなに国産メーカーにがんばってほしくても、次々と海外から押し寄せる優れた製品サービスを前にして、逆に日本国内で数々のIT製品が姿を消していきました。だけど、再び純日本製品を盛り立てるべく、もう海外メーカーのガジェットは締め出すぞなんて国策を取ろうものなら、いったいどんなことになるでしょう?

そんなバカげたアイデアにしか思えないことが、実はロシアで起こり始めています。このほどBBCは、ロシア連邦議会の下院に当たる国会院で、2020年7月以降、ロシア製のソフトウェアをプリインストールしていないIT製品の販売を認めない法案が可決されたことを伝えました。これは必ずしもロシア製のソフトウェアしか搭載されていないガジェットを意味するのではなく、たとえ海外メーカーのソフトウェアを搭載するにしても、必ず同時にロシア製の代替ソフトウェアもプリインストールしておくことを求める内容と説明されています。ロシアの国内メーカーの発展を助け、ロシア語に頼りっきりな高齢者層のユーザーをサポートする目的があるんだとか。

いったいどのようなロシア製のソフトウェアを必ず搭載していなければならないのか、そこはまだ明らかにされていませんが、多くのガジェットの販売戦略が、多大の影響を受けることは覚悟しておかねばならないでしょう。たとえば、iPhoneを例に考えるならば、ブラウザのSafariを搭載して販売するのは構わないものの、同時に代わりのロシア製のブラウザアプリをプリインストールし、ロシアのユーザーが自由に選択できる状態にして販売しなければ、罰金刑を科されるという意味になります。メーカーにとってはロシア市場向けに特別仕様の製品を用意する価値がなければ、撤退も余儀なくされることでしょうね。

なお、まだ同法案の施行は決定したわけではなく、今後はロシア連邦議会の上院に当たる連邦院を通過し、プーチン大統領の署名によって発行する手続きが取られねばなりません。とはいえ、この法案が真に目指すのは、ロシア大統領府クレムリンが狙う、インターネットの完全支配で、あらゆるロシア国内のインターネットユーザーのトラフィックを国家管理し、国家による検閲閲覧制限を自由自在に進められる環境構築の一環で導入されるとする意見もあるようです。まるで中国のように、国内でネットを自由に使えなくする体制の完成を、ロシアは目指しているのでしょうか? すでに多くの人権擁護団体などが、ロシア政府の姿勢を批判しており、今後どこまで政府の規制がエスカレートしていくのか、なんとも不安な状況が加速していっているようです。

Source: BBC