アーニー! 大好きぃぃぃぃぃ!
突然ですが、私はアーノルド・シュワルツェネッガーが大好きです! 好きで好きでたまりません。アーニーのことを考えるだけで目がウルウルしてきたり、運動もしていないのに心拍数が120近くになったりするほど好きです。
小学校低学年の頃からアーニーが好きなので、もうかれこれ30年以上ファンやってます。そんな私の夢は「いつかアーニーに、通訳を使わず自分の言葉でありのままの気持ちを直接伝える」。その為に必死で英語を勉強し、映画のインタビューをする人を目指しました。そんなこんなで苦節30年! 遂に夢が叶ってオーストリアン・オークを愛称に持つアーノルド・シュワルツェネッガーにインタビューする機会に恵まれました。うぅぅぅれしいよぉぉぉぉ!
今回、私とアーニーを引き合わせてくれた記念すべき映画は、現在公開中の『ターミネーター :ニューフェイト』。たったひとつだけ聞けた質問の内容を明かす前に、私のアーニーへの愛を語っちゃいますね。
注意:今回のインタビュー記事は中川のアーニー愛で構成されています。インタビューの内容だけ読みたい方は「遂にその時がやってきた」までスクロールダウンしてください。
インタビュー内には映画のネタバレが含まれていますのでご注意を!
大スター アーニー
今でこそ、環境問題に熱心に取り組み、真面目なインテリで小難しい筋肉隆々な年配者のようなアーニーですが、80〜90年代のアーニーはハリウッドをリードする大スターでした。
子供の頃の私にとって、銀幕のアーニーはハンサムで知的で、強靭な肉体を持ち、決して諦めない不屈の精神まで持ち合わせていて、まさに理想の男性! スターらしく豪快な一方、ユーモアのセンスも抜群でノリノリ。押しも押されぬ大スターだった時でも、日本で破天荒なCMに出演するほどノリが良かったんです。今回の記者会見でも、「日本には何度もきました。若いときにはクレイジーなCMにも出演したことがあります」と話していましたが、本当に、自他共認めるクレイジーさ爆発なCMでした。中でももっともひどいのが「アリナミンV」。アーニーに「ちちんブイブイ」と言わせるだけでなく、「ドジなカメ」呼ばわりしたり、挙句の果てに痴漢冤罪にまで仕立て上げる始末。
(痴漢冤罪は3分30秒から)
これだけでなく、日清カップヌードルのCMにも出演していました。こんな調子だったので、アーニーが「クレイジーなCM」と言ったのももっともだと思います。
アーニーを求めて
私はただ好きなだけでなく無駄に行動的なファンでした。両親は協力的で、高校卒業後に「アーニーと同じ学校に通うためにアメリカ行く」と言い出した時も、賛成してくれたほど。
割とスムースにアーニーの出身校であるサンタ・モニカ・カレッジに留学した私は、勉強のかたわらアーニーの経営するレストランに通ったり、レストランの前のカフェで待ち伏せしたり、いつかアーニーと仕事がしたいとハリウッドのスタジオでインターンをしたり、事務所に登録して映画のエキストラをやったりしていました(そのエキストラの仕事でドウェイン・ジョンソンと一緒になり、撮影の合間に会話して握手したのは良い思い出です)。ところがそういった努力も虚しく、私はアーニーに一度も会うことができませんでした。
アーニーが州知事となり銀幕から距離を置くようになった頃、私はアーニーから遠く離れたオーストラリアに住んでいました。そのため、物理的にアーニーの追っかけをすることができなかったため、今度はアーニーが経験したことを自分も試してみることにしました。それがテニスとバレエです。
アーニーは画家のヒロ・ヤマガタとテニス友達です。つまり、テニスをしていればアーニーと親しくなれるチャンスが増えるはず。そう思った私は、いつかアーニーとプレイする日がくるかもと期待して、週に1回ほどテニスを習いました(うまくなりませんでした)。
また、アーニーはボディビルダー時代に体を美しく見せるためにバレエを習っていたので、私もアーニーの気持ちを少しでも理解したくてバレエもかじってみました(やっぱり全然うまくなりませんでした)。
しかし、このふたつを経験し、その難しさを身を以て知ったことで、それまで以上にアーニーを尊敬し崇拝するようになりました。アーニー! アーニー! アーニー!
そして迎えた11月6日
アーニーのインタビューは11月6日でした。このインタビューの機会を得るために、私のこれまでの人生があったといっても過言ではありません。当日の朝、私はアメリカから取り寄せた「COME WITH ME IF YOU WANT TO LIFT」のアーニー愛用Tシャツに袖を通し、不安と緊張で爆発しそうになりながらホテルの部屋に向かいました。

インタビューは、アーニーとリンダ・ハミルトンの合同で、呼ばれた媒体は7つ。時間はたったの25分。私は、1ヶ月ほどかけて30年分の思いを込めた質問をたった1つだけ用意していたのですが、漠然としすぎる気がしたのと、他の媒体さんを戸惑わせてしまうと考え、もっと作品の内容に触れた質問に急遽変更しました。
遂にその時がやってきた
極度の緊張から全身貧乏ゆすりマシンと化した私の前に、遂に30年間恋焦がれたアーニーがやってきました。彼は豪快に手を出して握手をしてくれました。大きく分厚く、掌にはマメができていて、皮膚は硬く毛羽立っていてザラザラしていました。ボディビルダー時代に1日5時間、今でも欠かさずトレーニングしている年季と根性の入った手。あんな手を触ったのは人生で初めてでした。そしてインタビューが始まり、私は悩んだ挙句にこんな質問を投げかけました。
── ふたりは『T2』でジョン・コナーを守る役を演じていましたが、本作で別のT-800がジョンをあっけなく殺してしまいました。あのシーンを見て、ふたりはどう感じましたか。
リンダ・ハミルトン:難しいわね。サラにとってとても難しいことが起こったと思う。彼女は『T2』でスカイネットを破壊し、未来を守りきったのだと思ってた。でも、別のターミネーター が送られて、ジョンは目の前で殺されてしまった。だから、サラはとても罪悪感に苛まれたはず。守りきれなかったこと、そしていい母親じゃなかったこと、そういう罪悪感に苦しんでいるだろうと解釈して演じたの。サラとジョンは親子としての充実した時間を過ごしていなかったし。サラはジョンがリーダーになると信じて、そのための準備をしてきた。でも、その未来はやってこなかったのよね。だから、行き場を失った思いを抱えながら生きる苦しさがあったと思う。
これは予想外な答えが戻ってきました。というのも、彼女はサラ・コナーがどう感じたかを語り、リンダ自信がどう思っているのかは話してくれなかったのです。アーノルドも同じように答えられたら困る。そう思った私は、「必ず通訳さんを通して話すように」と言われていたにも関わらず、英語で「アーノルド、あなたの意見を聞かせてください。ターミネーターとしての意見や考えではなく、あなたがどう解釈したのかを聞きたいです」ととっさに言いました。
すると、彼は少し考えてからこう言いました。

アーニー:サラ・コナーは未来を変えて30億人の未来を救った一方で、ジョンのレジスタンスのリーダーとしての未来も変えてしまったと私は考えている。両立できない未来にしてしまったので、結果としてジョンは殺されてしまったんだ。母親として、自分の息子が目の前で殺されるのは耐えがたい苦しみだと思う。
ただ、新しい『ターミネーター』シリーズの出発点としては良いと思った。殺戮マシンだったターミネーターが人間と共に20年近く暮らしていくなかで良心が芽生え、より人間らしくなっていった。家族や子供を守る中で、自分が何をしたのかという罪悪感を持ったんだ。マシンにとっては珍しい感情で、美しいと思う。ジョンがあの場面で殺されることは悲劇だが、結果的に本作を面白くしてくれていると思っているよ。
私の誤算
リンダの答えを聞いた時、正直言って戸惑いました。というのも、私はふたりが脚本に納得しているのかどうかを聞きたかったわけで、登場人物がどう考えたかどうかという話が出てくるなんて想像もしていなかったのです。
しかし、話を聞いていて気づきました。彼女たちが納得しているかどうかなんてレベルの話は、オファーを受けると決めた時点で「納得済み」だったわけです。そもそも、不満を持ちながらもイヤイヤ演じるくらいなら、ハッキリとオファーを断ることができるスターです。あのシーンをボディダブルが演じていて、そのことに対して不満を持っていたとは言え、客観視して「あの展開はないよね」とか「良いよね」といった反応が返ってくるわけがなかったんです。私は自分の読みの甘さに自己嫌悪になりました。と同時に、自分の名前で集客しているという自負を持つスターのプロ意識を見せつけられた気がしました。
アーニー…、私が馬鹿だった。私が馬鹿だったよ…! 州知事になる前の、時に下ネタも炸裂させる豪快なアーニーのイメージのままだった…。なんという不覚…! ファンとしてもライターとしても失格!
しかし、そんな落ち込み気味の私に気づいたのか、リンダが…、あの大スターのリンダ・ハミルトンが私に合図を送ってくれたのです。
スターが私をみてくれた
彼女は私に目配せし「それ、アーニーじゃん!」と言わんばかりに指で合図を送ってくれました。そして、インタビューが終わって私が部屋から出ていくように促されている間に、
アーニーに「ほら、あのTシャツよ」と教えてくれ、2人で「良いね! 良いね!」と幾度となく合図を送ってくれました。私のテンションは最高潮。なかば「もう終わりにしてください。出て行ってください」と押し出されるように退場を言い渡される中、必死に「アーニー! アーニー!!」と絞り出すような声でひとりアーニーコールをしました。
その夜、私はもう1回アーニーを拝みたくて、新宿ゴジラロードで開催されたプレミアイベントにも参加しました。私はカメラマンではないのでプロ用のカメラなんて持っていませんが、スチール撮影班として入り、愛機iPhone XSを構えました。すると再び奇跡が…!
なんと、リンダがしっかりと私を覚えていて、再び「あの時のあなたじゃない!」と言わんばかりに指サインを送ってきたのです。決して妄想なんかじゃありません。
これがその証拠です。

Rev-9役のガブリエル・ルナがやってきた時、彼も私のところまでやってきて「アーニーのシャツじゃん」と話しかけてくれました。かなり近距離に来たルナは微かに良い匂いがしました。私はレッドカーペットという非日常と、朝からダダ漏れな脳内アドレナリンのせいでおかしなテンションになり、ガブリエルにセルフィーをお願いしました。
これがその証拠です。

新たな人生の目標ができた
結局、愛しのアーニーとはセルフィーできませんでしたが、それは次のゴールにしようと思います。アーニーが次回来日するときには、単独インタビューできるくらいになりたい。そして、今度こそ、彼の(評論家からは酷評された)自叙伝を愛読していること、彼の後輩であること、レストランに通い詰めていたこと、彼と話したいがために英語を勉強したこと、全て伝えられるようになりたいです。
最後に、私が思う「アーニーの魅力を最大限楽しめる映画Top5」を紹介したいと思います。
1)『トゥルー・ライズ』
2)『ツインズ』
3)『ターミネーター 2』
4)『プレデター』
5)『キンダガートン・コップ』
『T2』も良いですが、『T2』の成功後、ノリに乗りまくっているアーニーのオーラを楽してハリウッドスターの凄さを感じられるのが『トゥルー・ライズ』です。肌の艶と張りにウットリします。
最後の最後に、今回のレッドカーペットでアーニーのiPhone 11 Proのケースが話題になったので、私のカスタムiPhoneケースもどうぞ。
長々とありがとうございました。
Source: ターミネーター・ニュー・フェイト