過去10年の「リブート映画」について振り返る

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  • author Charles Pulliam-Moore - io9
  • [原文]
  • 中川真知子
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過去10年の「リブート映画」について振り返る
Image: Shutterstock

見るなって言われても、気になるから見ちゃうよ…。

ここ 10年くらい、やたらとハリウッドのリブート映画が目につきません? なんでリブートする必要があるのでしょうか? 自分の好きだった作品がリブートされると、なんとなく自分の好きなものを否定されたような気持ちになったりして、ちょっと寂しさを覚えることがあるんですよね。ましてや、いい作品だったのにゴッテゴテのVFX満載になって、オリジナルのよさが消されたときなんてもう…(『SW』デジタルリマスター、君のことだ)。目も当てられないし、好きな作品を汚されたような気分にもなっちゃいます。

一方で、『猿の惑星』のシーザーの物語のように、バケモノ級によいリブートが出てくることもあるので、一概に「リブートはダメ」なんて言えません。というわけで、私はリブートをよいとも悪いとも言えない立場なんですが、果たしてio9のCharles Pulliam-Moore記者は、どんな考えを持っているのでしょう? ちょっと意見を聞いてみましょうか。


私たちがリブート作品について情熱を持って論じるのは、ジョッシュ・トランクの『ファンタスティック・フォー』やアレックス・カーツマンの『ザ・マミー/呪われた砂漠の王女』のように極端な失敗例もあれば、マシュー・ヴォーンの『X-MEN: ファースト・ジェネレーション』やジョーダン・ヴォート=ロバーツの『キングコング:髑髏島の巨神』のように興行成績的に大成功を収めたOKな例もあるからでしょう。

過去10年のリブート作品を振り返ってみると、そこまで「よい」と言えるものはありませんでした。一見うまくいったように見える作品でさえ、物語に深みを与えたとか、エネルギーを注入したかという意味では、成功したとは言えないと思います。その理由のひとつに、多くの人が「リブート」と「リメイク」を混同してしまっていることが挙げられるでしょう。

リメイクとリブートの違い

リメイクとは、言葉の通りオリジナル作品を再び作り直すこと。リブートは、ひとつのユニバース(世界観)の中に設定された一連のストーリーをリセットすること。リブート作品は本来、映画のオリジナルシリーズの連続性から完全に切り離されているものを指します。

つまりリブート作品には、私たちが慣れ親しんだ設定や物語と切り離してまでも存在しなくてはならない理由や意義が必要になってくるのです。この辺がリメイク作品とは違うところ。

マーカス・ニスペルの『コナン・ザ・バーバリアン』や、ジョー・カーナハンの『特攻野郎Aチーム THE MOVIE』は、シリーズにインパクトを与えることも、視聴者の想像力を刺激することもなく失敗に終わりました。しかし、アンドリュー・ガーフィールドの『スパイダーマン』のように、リブートして成功したケースもあります。これは、リブートする必要があったかどうかではなく、できるからやっただけ。スパイダーマンというキャラクターが人気だから、私たちは再びベンおじさんが殺されるシーンを見に行ったわけです。

リブートを作り続けるのは儲かるから

マイケル・ベイ監督の映画『トランスフォーマー』は、CGIを使った迫力の映像が物珍しく、観客を引きつけましたが、徐々にパロディ要素が強くなり、視覚的にも色あせて錆びていきました。しかし、映画はヒットし続け多くの収益をあげているので、スタジオとしても製作を中止する理由はありません。それに、2018年の『バンブルビー』のヒットもありました。『トランスフォーマー』シリーズが、『バンブルビー』のような成功を再現できるかどうかわかりませんが、スタジオとして興行成績的に成功すればいいわけなので、作品の良し悪しは重要視されないでしょう。

リブートによる新たな展開

また、リブートには新たな展開へのポテンシャルも秘めています。たとえば、ワーナー・ブラザーズとレジェンダリーの『キングコング:髑髏島の巨神』は、東宝の怪獣を新世代のモンスターバースに加えるきっかけとなりました。ユニバーサル・ピクチャーズは、このモンスターバースとマーヴェルのシネマティック・ユニバースに触発され、往年のモンスター映画をリブートしてダーク・ユニバースを展開することにしました。こちらのほうは、第一弾の『ザ・マミー 呪われた砂漠の王女』が大コケしてしまったので、結局ユニバースの構想はなくなり単体でのリブートになるようですが…。

リブートを作る上で重要なのは、ストーリーテリングの質とクリエイティブチームの強さです。またリブートと言っても、ララ・クロフトやチャッキーといった、映画に対してノスタルジアを感じさせるキャラクターの起源を描くなら、スタジオに利益をもたらしてくれることもあるでしょう。しかし、ポール・ファイギ監督の『ゴーストバスターズ』のように、オリジナルとはかけ離れた設定にしてしまうと、ファンが拒否反応を示して興行的な死刑宣告になりうるということがわかりました。

リブートが嫌なら鑑賞ボイコットを

しかし、この数百万ドル規模の試みが失敗に終わったとしても、業界はリブート作品を作り続けるでしょう。それは、全てがヒットしないとしても、全てが失敗に終わるわけでもないからです。リブートはポップカルチャーの一部になり、私たちが劇場に足を運ぶ限りリブートは継続的に作られていくではずです。このサイクルを止めたいのなら、私たち観客が映画館でリブート作品を見なければいいのです。作品に金を落とさないことで、ハリウッドに意思表示する必要があるでしょう。



でも、リブートって必ずしもダメな作品ばかりじゃないから悩ましいんですよねぇ。

Charles記者が失敗例として出した『ゴーストバスターズ』は、リブートだからダメというより、どちらかというと作品としてダメなんだと思います。クリス・ヘムズワースのキャラクターは際立っていたしおもしろかったけれど、それ以外では「大人が考えた子供が喜びそうな演出」続きで、なんというか『ゴーストバスターズ』という名前がついていなくても受けなかったのでは。

リブートって、人気フランチャイズのタイトルを掲げている分、期待値が上がってしまっているから難しいのかなと思います。私としてはボイコットしてまでサイクルを止めたいかと問われたら、「No」かな。だって、『猿の惑星』並みにいい作品が出てくることがありますからね。