DJIの立場危うし。
米国内務省は、中国がドローンを使って偵察やサイバー攻撃を行なうという懸念から、800機以上のドローン隊を地上待機にしている、とTHE WALL STREET JOURNAL(WSJ)が伝えています。
軍や国土安全保障省の関係者の間では、中国製または中国製の部品で構成されるUAV(無人航空機)が、中国政府のために国家の機密情報を収集しているのではないか? との懸念が高まっているのです。
DJIの報告書にはいくつかの疑問点が…
DJIは昨年、彼らが消費者データを誤って扱っているという考えを払拭させるべく、サンフランシスコを拠点とするコンサルティング会社からの、独自の調査結果を共有することで、増え続ける懸念を抑えようと試みました。
しかし、当時米Gizmodoが報告書を見直したところ…DJIが取り扱う、個人を特定可能な情報、飛行記録、およびデータ保存に関して、研究者によりいくつかの懸念が浮上していたことが判明したのでした。
内務省長官による停止命令
報告書では、ドローンによる火事への対処やダム、浸食、絶滅危惧種の監視について、内務省当局が抱く懸念を軟化できませんでした。
そこでWSJが最初に報じたところによりますと、内務省のデイヴィッド・バーンハート長官は水曜日、中華ドローンが安全保障上の脅威となる可能性についての検討が終わるまで、すべての運転を停止する命令を出した、とあります。
内務省の広報担当者、メリッサ・ブラウン氏が米Gizmodoに対し、こうコメントをくれました。
バーンハート長官は、内務省の無人航空機プログラムを見直しています。
この見直しが完了するまで、長官は中国製または中国製部品で作られたドローンが、今現在出動している山火事への対応、捜索と救助、生命や財産を脅かす可能性のある自然災害への対処などの緊急目的に使用されてない限り、そのたの使用を禁止するよう指示しました
DJI、ガッカリする
これを知ったDJIは、米Gizmodoに以下の声明文を送ってくれました。
この状況を知って落胆しています。内務省と協力して、厳しい要件を満たす安心で安全なドローンの解決策を開発したというのに
それは内務省の職員、独立したサイバーセキュリティー専門家、そしてNASAの専門家たちによって、15カ月をかけて作り上げたものなのです。
法案も提出される
先月のこと、超党派の議員グループにより、連邦政府機関が中国からUAVを購入することを阻止する目的の法案が提出されました。当時の声明文にて、法案の後援者のひとりであるトム・コットン上院議員がこう話しています。
中国は何年にも渡り、米国の企業や軍から機密性の高いドローン技術を盗んできたが、現在では商用ドローン市場において支配的な立場から、それを我々に売っている。敵が作ったドローンに依存することは、米国の安全保障にとって明らかなリスクである
これは昨年、アメリカが輸入した中華スマホが、中国に情報を送信しているとして禁止にした米中貿易戦争と同じ構図ですよね。加えて自分のとこから盗まれた技術を使った製品が、自国で幅を利かせているのは面白くない、というのも理解できます。
もしDJI機にスパイ装置が仕込まれているのであれば、アメリカはそれをリバース・エンジニアリングし、ドローンを使ったスパイ合戦なんかが起こったりして…?
Source: THE WALL STREET JOURNAL